28 / 57
【28】
しおりを挟む薄く目を開くと、アイブロウ先輩は目を見開いたまま固まっていて、今だけは俺を見てくれてるんだと嬉しくなった。
その後すぐに衝撃が走る。
「……いった…」
突き飛ばされた拍子に椅子に着地した。
一瞬だけ尻に鈍痛が走る。
「………」
先輩は暫く固まったまま。
堅くて険しい表情ながらも、頬は見る見る内に紅潮していく。
体も小刻みに震えている。
「………アイブロウ先輩?」
そんなに嫌だった?とショックを隠せないと同時に、自分が衝動的に取った行動に混乱していたりする。
「な、何で……何で……」
震えた声で「何で」と繰り返す先輩は、くしゃくしゃに顔を歪ませる。
泣く寸前のそれを一度だけ俺に向けてから、逃げるように駆け出す先輩。
図書室のドアが乱暴に閉められた音がした。
嵌め込みのガラス部分が割れるんじゃないかってくらいの叩き付けるような大きな音がやけに耳に残った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる