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しおりを挟むすると、先輩は俯いていた顔を上げる。
「……私が聞いてるんだけど?」
怒っても呆れてもいない淡々とした口調。
照明の乏しい薄暗い廊下じゃ先輩の表情が読み取れないけど、戸惑っているのは確かだと思う。
何でしたの?と聞かれても、俺だって何であんな事したのか明確な理由を言えないし、そもそもちゃんと分かってない。
体が勝手に動いただけで、先輩を混乱させたり困らせたかった訳じゃない。
俺にドキドキして欲しいとか………そんな事も思ってない。
自分でも整理出来ていない感情を上手く言葉に出来そうもないから、誤魔化すように首の後ろ辺りを掻いた。
「……ごめんね、アイブロウ先輩」
俺が素直に謝ると、先輩は「え…?」と不思議そうに声を挙げる。
「あーゆーの、百田としたかったでしょ?」
先輩の反応を見たくなくて、踵を返してさっさと歩き始めた。
先輩が黙ったままついて来る気配を感じ取りながら、ついつい意地の悪い事を言ってしまう。
「アイブロウ先輩、分り易くてウケる」
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