物語の始まりは…

江上蒼羽

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金曜日の放課後、ずっと休んでいた部活に顔を出した。


「お、清原~久々じゃん」

「やっと来たのかよ」


仲間達から手厚い歓迎を受ける。


「寂しかった?つーか俺がいないと締まんないっしょ」


ドヤ顔で言うと、事情を知っていた仲間の一人が笑いながら聞いてくる。


「で、百田から出された課題は終わったのかよ」


それにまたドヤ顔で答える。


「全然!」


忽ち大きな笑いが起きた。


「なーにやってんだよ」

「早く終わらせろよ。お前なら余裕だろうに」


想像以上にウケた事に満足して、軽くストレッチをする。


「今日は何すんの?走り込み?シュート練習?」


3年の引退を機に部長になった長倉が前に出てくる。


「1週間ちょい休んで体が訛ってんだろ?1時間外周行って来いよ」


思わず「うへー」と声が出た。


「鬼だね、長倉部長」


これもまた仲間達に大ウケ。

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