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しおりを挟む「学校帰りにどこか食べに寄るの久し振りかも」
ボソボソと呟く先輩に歩幅を合わせて歩く。
「んじゃ、折角なんで美味いの食いましょ」
「……てか、本当に私、奢られる程の事してないのに」
最寄りのマックへと向かう道すがら、尚もブツブツうるさい先輩の気をそらす為に話題を変える事にした。
「先輩の小説に出てくる桃瀬って奴、もっと性格悪く書いても良いと思いますよ」
アイブロウ先輩が「もう、内容忘れてってば!」と叫ぶ。
それを華麗にスルーして言う。
「もっと腹黒で質悪い男にしてもいいと思う。その方が面白くなりますよ、きっと」
アドバイスっぽく言いつつ、モデルとなった百田を格好良く書かれているのが気に入らないだけ。
「え、そうかな…?」
「そうっす。んで、新たな登場人物として、歳下のイケメン男子登場させるのどうすか?」
サラッと自分を示唆。
だけどそれには気付いていない様子の先輩は「なるほど」と頷いている。
「そういうのもありかもしれない。他には何かある?」
「例えば、そのイケメン男子と恋が始まったりとか?」
「うんうん、なるほど」
意外にも俺の素人な意見を聞いてくれる先輩に「先輩行き詰まってるみだから…」と前置いてから提案してみる。
「小説の続きが書けないなら、いっそ初めから設定を変えて書き直せばいいんじゃないすかね」
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