明楽日生

江上蒼羽

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2月26日(金)

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仕事から帰ると、先に帰宅していた下の娘が私の顔を見るなり神妙な面持ちで言った。


「M先生、亡くなったんだって」


えっ、まさか……とは思ったけれど、小学生の娘がこんな冗談を言う訳がない。

そもそもこんな不謹慎な嘘を吐く理由もないし、傍に居た上の娘もしんみりしていたので、すぐに本当なんだと受け入れた。


M先生は、子供達が小学校で大変お世話になった男の先生。

教務主任の立場だった。

小さな学校なので、とてもアットホームな雰囲気で、子供達ものびのびと過ごしていた。

その小学校の中でM先生は、お父さんのようにおおらかで優しく、時に厳しく子供達に接してくれていた良い先生だった。

上の子は先生が大好きだったようだけれど、下の子は少し怖がっていた。

下の子のクラスのヤンチャな男の子が先生に口答えをした時


「何だと?!もう一回言ってみろ!!」


と激しく怒鳴ったらしく、その時から先生が苦手だったらしい。

よっぽど怖かったんだろうな……と思った反面、それだけ熱く真剣に子供達と向き合ってくれていたんだろうな……とも思う。

M先生は、下の娘のクラスによく給食を食べに来ていたようで、娘は


「先生ね、給食美味しそうに食べるんだよ」


と言っていたのが印象的だった。

食べる事が好きな先生だったらしい。

下の娘の担任になった新採用の先生がM先生の昔の教え子だったようなので、教え子が受け持つクラスを特に気に掛けていたのかもしれない。

今年度教頭として別の学校に異動していったM先生は、9月に行われた運動会にわざわざ遠方から応援に駆け付けてくれていた。

その時は元気そうで、半年も経たずに旅立ってしまうとは誰も夢にも思わなかっただろうな。


職場のリーダーさんもM先生と面識があったので、今回の訃報をお知らせさせて頂いた。

リーダーさんも大変驚いていて、M先生との印象深いやり取りを懐かしそうに語ってくれた。

その後新聞のお悔やみ欄を確認したらしいリーダーさんが


「まだ若かったのにね」


と残念そうに言ったのに対して、私も「そうですよね……」と同意した。

M先生、まだ50歳にもなってなかった。

流石に早過ぎる。

このご時世だから、家族葬になるだろうけれど、お見送りしたかった生徒や元生徒、保護者、教職員はきっと多いと思う。

私もその内の一人。


この場を借りて、ご冥福をお祈りします。

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