明楽日生

江上蒼羽

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10月17日(日)

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毎日夕飯前にビニール袋を持って、家の各部屋を巡回してゴミを回収している。

2階は3部屋あり、上の娘の部屋、下の娘の部屋、夫婦の部屋と割り振ってある。

夫婦の部屋といっても下の娘が1人で寝られないとの事で、私は下の娘の部屋で寝ている。

その3部屋のゴミを集めるのだけれど、基本的に家族はリビングに集まるので各部屋のゴミ箱はほとんど空。



……なのだけれど。

ここ最近、日によって旦那の部屋のゴミ箱に小さく丸めたティッシュがいくつか捨ててある時がある。

ティッシュだけ。

それが何回か続き、何のティッシュだろう……と素朴な疑問が生じた。

男性なんでね、まぁ色々とあるんでしょうね。

いや、それのティッシュにしては塊が小さいし、少ないような……等と首を傾げていた。

デリカシーのない人間ながら、さすがにデリケートな問題故、旦那本人には聞けない。

旦那は下ネタが嫌いな人なんで、聞こうものなら不機嫌になるのが目に見えてるし。

もやついた日々を過ごしていた所



「最近さ、夜中にYouTubeで過去のスカッとジャパンの父と娘の感動系スカッと動画観て感動してんだよね」



と言い出した。



「自分と娘に置き換えると泣けるんだよね。歳だから涙腺弱くなってるせいもあるだろうけど、鼻水止まらなくなる」



あ……あーなるほどね!

謎のティッシュの正体が分かってスッキリ。

それと同時に



“夜中にソロプレイを楽しんでおられるのかな……”



なんて下品な事を考えていた己を恥じた。

私は、とんでもなく薄汚い心を持った女だぜ。

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