明楽日生

江上蒼羽

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11月7日(日)

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ついこの前の話。

下の娘が学校の行事で1泊2日の宿泊体験へと出掛けた。

出発前



「むちちゃん(下の娘)行きたくないって言っていいんだよ!お母さん学校に電話するから!」

「お父さんも仕事休んで一緒に行こうか?」



夫婦揃って下の娘と離れるのが辛くて大騒ぎ。



「むちちゃんと離れるなんて出来ないぃぃ!!」



騒ぐ両親を見て、下の娘は冷静に



「すぐ帰ってくるから良い子にしててね」



と言って大きな鞄を抱えて出発して行った。


上の娘の時は勿論寂しくて仕方なかったけれど、当時はまだ下の娘が1年生で手が掛かっていたのもあり気が紛れていた。

けれど、今回は寂しくて寂しくてどうにもならなかった。

仕事に行っても下の娘の事ばかり考え、時にちょっと涙を滲ませたくらいにして。

いつまでも下の娘が赤ちゃんのイメージでいるもんで、可愛く仕方がないのだけれど、流石にいい加減子離れしなくてはならないなと思った。


気が遠くなるような長さに感じた1泊2日。

既に帰宅しているであろう娘に早く会いたい一心で仕事帰りにどこにも寄らず真っ直ぐ帰宅。

車から降りて勢い良く玄関のドアを開けたら、上の娘から



「むち寝ってるから静かにして」



と怒られた。

相当疲れていたのか、自分の部屋で熟睡していた娘の寝顔を見て、嬉しいのと無事に帰ってきてくれてホッとしたのとでウルッとしてしまった。

娘は夜の8時近くまで寝ていたので、感動の再会は3時間くらいお預け。


娘から沢山の土産話を聞きながらの家族揃ってご飯は至福の時間だった。

多分来年の修学旅行の時も出発前に夫婦で大騒ぎするんだろうな……

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