1 / 54
【プロローグ】
【プロローグ】後継者の発見
『何も無い』と表現するのが一番適切と言える程にただっ広い空間で一人。巨大な《惑星》の立体的なホログラムみたいなモノの前に居る。周囲には『資料』と呼ぶには名ばかりの雑多な本、箇条書きの文章や絵の書かれた束が大量に積み上がっていて、たまにドササッと崩れていく。フィクション、ノンフィクション、歴史書に、世界地図の他にも科学的な専門書まで。多岐にわたる分野のものがないまぜになってしまっているけど、きっちり分別しておくのは難しい。だって自分自身がそもそもその『違い』がよくわかっていないからだ。
私が『手』的なモノをスッとあげ、左右に動かすと惑星のホログラムみたいなモノが連動して動いていく。同時にその周囲に現れる様々な数値化されたデータ群。それを見て、惑星の環境を微調整をしていく。何だかまるで惑星開拓型のシュミレーションゲームみたいだ。
……だけどコレは、ゲームではない。
現実に、この星の上では無数の命が生き、そしてポロポロ死んでいっている。永い永い歳月、それらをひたすら前にしていると、どうしたって心が押し潰されて疲弊していく。そのせいで元の姿は随分前に崩れ、私はもう『人間』と呼べる様な形状をしていない。霞の様な、光の様な、霧の様な。とにかくまぁそんな存在になってしまった。こんな姿では眠れず、ずっと一つの事だけを願いながら黙々と、もはや『作業』と化した『惑星の管理』を続けている。
「——“管理者”様!“管理者”様ぁぁぁぁぁ!大っ変っです!」
珍しく、私の補佐を勤めてくれているモノ達が大騒ぎしている。最初の頃はぼてっとした鳥みたいな形状だったはずの補佐達も、今では《認知》の歪みのせいか蛍程度の光になっていて、会話する度に毎度毎度申し訳ない気持ちに。でも仕事という名のお片付けは不思議と出来るままなので、私にだけ、アレらが『そう見えるだけ』なのかもしれない。
「どうしたって言うの?そんなに騒ぐだなんて」
呆れながら返すと、「見つかったんです!——“後継者”様が!」と補佐達がワーワーと騒ぐ。
……『後継者』というワードを聞いても頭が処理出来ない。長年ずっと待ち焦がれてきた反動のせいでしばらく思考停止していたが、やっと理解出来た瞬間、私は「やっと、後継者が!」と叫んでしまった。私がまだ人の姿をしていたのならガッツポーズをとっていた所だ。
「……ただ、一つ問題が」
補佐の一人がぽつりと呟く。
「……え?」と抜けた声を返すと、補佐達が言葉を続ける。
「“後継者”様は、その、不幸な目に遭い続け、すでに何度も死に戻りを繰り返していまして……」
「“管理者”様の後継者になれるだけの莫大な“魔力”を、その原動としている為」
「あと一度でも死に戻ると、もうその希少な“魔力”を使い果たしてしまうという寸前なのです」
その言葉を聞き、顔を青くして声にならぬ悲鳴をあげたい気分になった。——次の瞬間、私は目の前の惑星の、『実物』の方へ飛ぶ様に向かったのだった。
私が『手』的なモノをスッとあげ、左右に動かすと惑星のホログラムみたいなモノが連動して動いていく。同時にその周囲に現れる様々な数値化されたデータ群。それを見て、惑星の環境を微調整をしていく。何だかまるで惑星開拓型のシュミレーションゲームみたいだ。
……だけどコレは、ゲームではない。
現実に、この星の上では無数の命が生き、そしてポロポロ死んでいっている。永い永い歳月、それらをひたすら前にしていると、どうしたって心が押し潰されて疲弊していく。そのせいで元の姿は随分前に崩れ、私はもう『人間』と呼べる様な形状をしていない。霞の様な、光の様な、霧の様な。とにかくまぁそんな存在になってしまった。こんな姿では眠れず、ずっと一つの事だけを願いながら黙々と、もはや『作業』と化した『惑星の管理』を続けている。
「——“管理者”様!“管理者”様ぁぁぁぁぁ!大っ変っです!」
珍しく、私の補佐を勤めてくれているモノ達が大騒ぎしている。最初の頃はぼてっとした鳥みたいな形状だったはずの補佐達も、今では《認知》の歪みのせいか蛍程度の光になっていて、会話する度に毎度毎度申し訳ない気持ちに。でも仕事という名のお片付けは不思議と出来るままなので、私にだけ、アレらが『そう見えるだけ』なのかもしれない。
「どうしたって言うの?そんなに騒ぐだなんて」
呆れながら返すと、「見つかったんです!——“後継者”様が!」と補佐達がワーワーと騒ぐ。
……『後継者』というワードを聞いても頭が処理出来ない。長年ずっと待ち焦がれてきた反動のせいでしばらく思考停止していたが、やっと理解出来た瞬間、私は「やっと、後継者が!」と叫んでしまった。私がまだ人の姿をしていたのならガッツポーズをとっていた所だ。
「……ただ、一つ問題が」
補佐の一人がぽつりと呟く。
「……え?」と抜けた声を返すと、補佐達が言葉を続ける。
「“後継者”様は、その、不幸な目に遭い続け、すでに何度も死に戻りを繰り返していまして……」
「“管理者”様の後継者になれるだけの莫大な“魔力”を、その原動としている為」
「あと一度でも死に戻ると、もうその希少な“魔力”を使い果たしてしまうという寸前なのです」
その言葉を聞き、顔を青くして声にならぬ悲鳴をあげたい気分になった。——次の瞬間、私は目の前の惑星の、『実物』の方へ飛ぶ様に向かったのだった。
あなたにおすすめの小説
片思いの貴方に何度も告白したけど断られ続けてきた
アリス
恋愛
幼馴染で学生の頃から、ずっと好きだった人。
高校生くらいから何十回も告白した。
全て「好きなの」
「ごめん、断る」
その繰り返しだった。
だけど彼は優しいから、時々、ご飯を食べに行ったり、デートはしてくれる。
紛らわしいと思う。
彼に好きな人がいるわけではない。
まだそれなら諦めがつく。
彼はカイル=クレシア23歳
イケメンでモテる。
私はアリア=ナターシャ20歳
普通で人には可愛い方だと言われた。
そんなある日
私が20歳になった時だった。
両親が見合い話を持ってきた。
最後の告白をしようと思った。
ダメなら見合いをすると言った。
その見合い相手に溺愛される。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった
くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。
血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。
夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。
「……涼介くん」
薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。
逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。
夜、来て。
その一言が——涼介の、全部を壊した。
甘くて、苦しくて、止まれない。
これは、ある夏の、秘密の話。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
辺境伯と幼妻の秘め事
睡眠不足
恋愛
父に虐げられていた23歳下のジュリアを守るため、形だけ娶った辺境伯のニコラス。それから5年近くが経過し、ジュリアは美しい女性に成長した。そんなある日、ニコラスはジュリアから本当の妻にしてほしいと迫られる。
途中まで書いていた話のストックが無くなったので、本来書きたかったヒロインが成長した後の話であるこちらを上げさせてもらいます。
*元の話を読まなくても全く問題ありません。
*15歳で成人となる世界です。
*異世界な上にヒーローは人外の血を引いています。
*なかなか本番にいきません