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サイドストーリー
朗読
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コンコン……。那緒の部屋をノックする音が聞こえる。
「はーい、どうぞ」
那緒の許可を聞き、部屋の襖が開く。
「今時間ありますか?」
大和がそう言い、那緒の部屋に入ってきた。
「本読んでいただけなんで平気ですよ」
ベットに座り、壁に寄りかかりながら本を読んでいた。襖を閉め、大和がベットに上がり、那緒の隣に座る。
「これ、今度本に載せようと思っているお話なんですがね、那緒の評価を聞きたいなと思いまして。見てもらってもいいですか?」
「いいんですか?出版前に読ませてもらっても」
大和は薬剤師として総合病院で薬剤師の仕事をパートでしているが、本業は小説家だ。那緒に読ませる為に描いた絵本の創作から始まり、彼女の好みに合わせて色々な内容の物を書いている。そのことが出版社勤めの友人にバレてしまい、本職となってしまった。
「ええ、これは那緒の評価がどうしても欲しい作品なんですよ」
そう言いながら、大和が印刷した小説を那緒に渡す。
「じゃあ、読ませてもらいますね。ちょっと待ってて下さい」
「できれば、ゆっくり読んでもらえますか?速読しないで」
本をとにかく多く読みたいと、速読法を身につけている。だが今回は、それはしないでゆっくり読んで欲しい内容のようだ。
「いいですよ」
ニコッと微笑み、表紙となっていたページを捲り、那緒は大和の書いた話に目を通す。
「………んなっ」
顔を真っ赤にして那緒が肩を震わせる。ニコニコと笑顔でそれを大和が見詰めている。
「どうですか?その話。短編集の最後にはいいと思いませんか?」
「ダメっ!絶対に駄目です‼︎」
感想なんか言えなかった。そんな余裕は微塵も無い。
「何故です?よく書けていると自分では思うんですが」
「だ、だってこれ……」
「ちょっと官能的でしたか?」
「1ヶ月前の私達の……あ……えっと……あの……い、営みじゃないですか……」
言い回しに悩みながら、ボソボソと言う。
「覚えていてくれてましたか」
大和が場違いに優しい笑顔を見せる。
「こんなの載せちゃ駄目です!大和さんだって、いつも誰にも見せたくないって言ってるじゃないですかっ」
「見せたくはないですね。でも、可愛い奥さんを自慢はしたい。微妙な男心をわかってはもらえませんか?」
首を傾げ問われても『仕方ない』なんて思いない。
「わからないですそんなの!」
ブンブンと全力で、那緒が顔を横に振る。
「どうしても嫌です?」
「どうしても駄目です!」
しばしの沈黙が部屋を満たす。
先に口を開いたのは大和の方だった。
「じゃあ……那緒が僕の目を見ながら、今読んだ文章を声に出して朗読してくれたら止めてあげますよ」
「……え」
那緒の瞳が大きく開き、意味を理解出来ずに困惑した。
「那緒だったら、今くらいの長さの文章覚えているでしょう?簡単なはずですよ、一冊だって普通に見ないで言えるんですから」
「で……できません、そんな……」
緩く首を横に振り、ベットの上で後ずさる。
「でしたら、不特定多数の人間に僕達の行為が曝されるだけですね」
「『……そして那緒は、熱くた……たぎ……』——む……無理です。もう許してぇ」
涙目になる那緒。それをずっと大和は優しい眼差しで見続けていた。
「恥ずかしいです?」
「……当たり前じゃないですか!」
「しょうがないですねぇ……」
そう言いながら、自分の前に座る那緒の体を持ち上げ、那緒を膝に座らせる。まるで子供に絵本を読む父親の様な体勢だ。
「こういう時、那緒が小さくてよかったなって思いますよ。抱き上げやすいですからね」
「どうせ私はチビですよぉ」
ギュッと那緒を抱き締めて、先を促す。
「続けて?これで顔は見えないでしょう?」
「えぇぇぇぇっ!ま、待って下さい!余計に無理ですって!」
「何故?見られる中で卑猥な言葉を言い続けるよりはずっと簡単でしょう?」
そう言いながら、大和が那緒のスカートの中に手を入れる。
「んぁっ……駄目ですって」
太腿をそっと大和に撫でられて、嬌声が出た。
「ほら、朗読してくれないと、もっと別の場所も触りますよ?」
「………『滾る秘部に、自ら……』んんっ……そこはっああああっ」
「そこは?言葉通りに触ってあげたんですが、ダメでしたか?」
コクコクと那緒が頷く。顔が赤く、体がプルプルと震えて子犬みたいだ。
「でも……ここは大丈夫そうではないですよ?今触ったばかりとは思えないくらいに濡れてますね。卑猥な言葉を口にしているうちに、感じました?」
大和がクスッと笑う。指に蜜を絡ませながら膣壁を撫でられて、那緒が彼の指をギュッと中から締め付けた。
「わかってるくせにぃ」
潤んだ瞳で大和に那緒が抱きつく。
「……欲しくなっちゃいましたか?」
口元をへの字にして、那緒が何度も頷く。
「いやらしい子ですね、僕の奥さんは……」
那緒の腰を持ち上げ、膝で立たせ、大和が自分の着物の裾をずらして熱く滾る怒張を曝す。
ゴクッと那緒が唾を飲む音が部屋に響く。
「自分で……出来ますよね?」
先走りに濡れる怒張で陰部を擦られ、すっかり頭の煮詰まった那緒が、素直に頷いた。
「……はぃ」
自ら大和に跨り、自分の濡れそぼる陰部に彼の怒張を手でそっと包んであてがう。
「ゆっくりでいいですよ、ほぐしてないですからね」
那緒が力なく頷き、肩を震わせる。
彼女の蜜で滴る陰部は、大和の欲望に満ちたモノを難なく受け入れていった——
「本当に僕があれを載せると思ったんですか?」
「……違うんですか?」
「載せる訳がないでしょう?那緒を閉じ込めて、一生誰にも曝したくないとすら思っているのに」
「じゃあ、じゃあなんであんな!」
「ああでもしないと、那緒は卑猥な言葉なんて言ってくれないでしょう?だからちょっと自分で書いてみたんです」
ニコッと大和が微笑む。
「……大和さんのばかぁぁぁぁっ!」
「でも、今思うと楽しかったりしません?」
「うぐぅ……」
結局はいつも大和の掌の上だなと、那緒は思うばかりだった。
【終わり】
「はーい、どうぞ」
那緒の許可を聞き、部屋の襖が開く。
「今時間ありますか?」
大和がそう言い、那緒の部屋に入ってきた。
「本読んでいただけなんで平気ですよ」
ベットに座り、壁に寄りかかりながら本を読んでいた。襖を閉め、大和がベットに上がり、那緒の隣に座る。
「これ、今度本に載せようと思っているお話なんですがね、那緒の評価を聞きたいなと思いまして。見てもらってもいいですか?」
「いいんですか?出版前に読ませてもらっても」
大和は薬剤師として総合病院で薬剤師の仕事をパートでしているが、本業は小説家だ。那緒に読ませる為に描いた絵本の創作から始まり、彼女の好みに合わせて色々な内容の物を書いている。そのことが出版社勤めの友人にバレてしまい、本職となってしまった。
「ええ、これは那緒の評価がどうしても欲しい作品なんですよ」
そう言いながら、大和が印刷した小説を那緒に渡す。
「じゃあ、読ませてもらいますね。ちょっと待ってて下さい」
「できれば、ゆっくり読んでもらえますか?速読しないで」
本をとにかく多く読みたいと、速読法を身につけている。だが今回は、それはしないでゆっくり読んで欲しい内容のようだ。
「いいですよ」
ニコッと微笑み、表紙となっていたページを捲り、那緒は大和の書いた話に目を通す。
「………んなっ」
顔を真っ赤にして那緒が肩を震わせる。ニコニコと笑顔でそれを大和が見詰めている。
「どうですか?その話。短編集の最後にはいいと思いませんか?」
「ダメっ!絶対に駄目です‼︎」
感想なんか言えなかった。そんな余裕は微塵も無い。
「何故です?よく書けていると自分では思うんですが」
「だ、だってこれ……」
「ちょっと官能的でしたか?」
「1ヶ月前の私達の……あ……えっと……あの……い、営みじゃないですか……」
言い回しに悩みながら、ボソボソと言う。
「覚えていてくれてましたか」
大和が場違いに優しい笑顔を見せる。
「こんなの載せちゃ駄目です!大和さんだって、いつも誰にも見せたくないって言ってるじゃないですかっ」
「見せたくはないですね。でも、可愛い奥さんを自慢はしたい。微妙な男心をわかってはもらえませんか?」
首を傾げ問われても『仕方ない』なんて思いない。
「わからないですそんなの!」
ブンブンと全力で、那緒が顔を横に振る。
「どうしても嫌です?」
「どうしても駄目です!」
しばしの沈黙が部屋を満たす。
先に口を開いたのは大和の方だった。
「じゃあ……那緒が僕の目を見ながら、今読んだ文章を声に出して朗読してくれたら止めてあげますよ」
「……え」
那緒の瞳が大きく開き、意味を理解出来ずに困惑した。
「那緒だったら、今くらいの長さの文章覚えているでしょう?簡単なはずですよ、一冊だって普通に見ないで言えるんですから」
「で……できません、そんな……」
緩く首を横に振り、ベットの上で後ずさる。
「でしたら、不特定多数の人間に僕達の行為が曝されるだけですね」
「『……そして那緒は、熱くた……たぎ……』——む……無理です。もう許してぇ」
涙目になる那緒。それをずっと大和は優しい眼差しで見続けていた。
「恥ずかしいです?」
「……当たり前じゃないですか!」
「しょうがないですねぇ……」
そう言いながら、自分の前に座る那緒の体を持ち上げ、那緒を膝に座らせる。まるで子供に絵本を読む父親の様な体勢だ。
「こういう時、那緒が小さくてよかったなって思いますよ。抱き上げやすいですからね」
「どうせ私はチビですよぉ」
ギュッと那緒を抱き締めて、先を促す。
「続けて?これで顔は見えないでしょう?」
「えぇぇぇぇっ!ま、待って下さい!余計に無理ですって!」
「何故?見られる中で卑猥な言葉を言い続けるよりはずっと簡単でしょう?」
そう言いながら、大和が那緒のスカートの中に手を入れる。
「んぁっ……駄目ですって」
太腿をそっと大和に撫でられて、嬌声が出た。
「ほら、朗読してくれないと、もっと別の場所も触りますよ?」
「………『滾る秘部に、自ら……』んんっ……そこはっああああっ」
「そこは?言葉通りに触ってあげたんですが、ダメでしたか?」
コクコクと那緒が頷く。顔が赤く、体がプルプルと震えて子犬みたいだ。
「でも……ここは大丈夫そうではないですよ?今触ったばかりとは思えないくらいに濡れてますね。卑猥な言葉を口にしているうちに、感じました?」
大和がクスッと笑う。指に蜜を絡ませながら膣壁を撫でられて、那緒が彼の指をギュッと中から締め付けた。
「わかってるくせにぃ」
潤んだ瞳で大和に那緒が抱きつく。
「……欲しくなっちゃいましたか?」
口元をへの字にして、那緒が何度も頷く。
「いやらしい子ですね、僕の奥さんは……」
那緒の腰を持ち上げ、膝で立たせ、大和が自分の着物の裾をずらして熱く滾る怒張を曝す。
ゴクッと那緒が唾を飲む音が部屋に響く。
「自分で……出来ますよね?」
先走りに濡れる怒張で陰部を擦られ、すっかり頭の煮詰まった那緒が、素直に頷いた。
「……はぃ」
自ら大和に跨り、自分の濡れそぼる陰部に彼の怒張を手でそっと包んであてがう。
「ゆっくりでいいですよ、ほぐしてないですからね」
那緒が力なく頷き、肩を震わせる。
彼女の蜜で滴る陰部は、大和の欲望に満ちたモノを難なく受け入れていった——
「本当に僕があれを載せると思ったんですか?」
「……違うんですか?」
「載せる訳がないでしょう?那緒を閉じ込めて、一生誰にも曝したくないとすら思っているのに」
「じゃあ、じゃあなんであんな!」
「ああでもしないと、那緒は卑猥な言葉なんて言ってくれないでしょう?だからちょっと自分で書いてみたんです」
ニコッと大和が微笑む。
「……大和さんのばかぁぁぁぁっ!」
「でも、今思うと楽しかったりしません?」
「うぐぅ……」
結局はいつも大和の掌の上だなと、那緒は思うばかりだった。
【終わり】
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