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【第七話】
あの日から毎日寝食を共にしていれば、当然情も湧いている。
見た目もよく、性格もお行儀も良い。
咄嗟に『犬じゃないなら置いてはおけない』と言ってしまったが、特にこのアパートは男性禁止でもないし、私は独身で彼氏もいない。
…… どんなに頭の中で必死に考えても、シロタを切り捨てなければならぬ明確な理由が一個も思い浮かばなかった。
そのせいで、軽率だとは思ったが理由がどうしても浮かばず、私はつい「だ、駄目じゃ…… ないけど」と呟いてしまった。
「ホント!?じゃあ、僕ずっとここに居て良い?」
ぱぁと、一気に向日葵みたいな可愛い笑顔になる。
大人っぽい顔付きなんだから、凛々しく笑う方がもっと似合うのに。そう思うと、ちょっとクスッと笑ってしまった。
「じゃあじゃあ、千早様は僕の“番”だね」
ぱたぱたと尻尾を振り、シロタが目を輝かせている。
「…… つがい?それって、まさか鳥とかの番の事?」
「千早様の言うやつが何かはわかんないけど、僕の言う“番”は——こっちで言う“生涯の伴侶”の事かな」
合ってるじゃない。…… え、待って。って事は、私と結婚する気?プロポーズしてるの!?
「待って!ない、それはない!」
「何故?ずっとここに居てもいいんでしょ?じゃあもう、僕の番は千早様しかいないじゃない」
「だ、だって千早は人間じゃないんでしょ?犬とに——違う。狐と人間はね、結婚出来ないの。解る?」
「…… 出来ないの?」
「そうよ。シロタは人間じゃないし、獣耳や尻尾もあって親にも紹介出来ない。だから、結婚は出来ないの」
「番になるのに親は関係ないでしょ。この耳や尻尾は魔法で隠せるから平気だよ」
——隠せるのかっ!
「じゃあ何でもっと早く隠さなかったの!」
「耳や尻尾のある僕が、千早様には自然な姿だったから。素のままの姿が、千早様の知る僕だから」と、シロタが真顔で言った。
「あ…… そうよね、ごめん」
「急に耳と尻尾を隠したら、千早様は僕を追い出したでしょ?変装した人間の男でも入って来たんじゃって」
確かに、シロタの言う事はもっともだ。徐々に変化した姿を見てきたから、現状の彼を受け入れる事が出来たんだから。
「うん、絶対警察呼んでた」
「やっぱり…… 。よかった、徐々に姿変化させてって」
そう言って、シロタが安堵の息をつく。
「んじゃ、今度散歩に出る時は隠して行けるわね」
「耳を隠せば、もっといっぱい一緒に居られる?」
シロタが目を輝かせ、期待に満ちた表情で訊く。尻尾と耳の喜び方が犬そのもので、ちょっとほんわかした気分になった。
「うーん…… それは無理かな。私が昼間居ないのは、仕事でだし」
「…… そっか」
俯き、垂れる耳がなんだか可愛い。
「さて、この話はもうお終い。疑問も一応解消出来たし、これからは犬扱いはせずに対応させて頂きます」
もう訳の解らない話はこれで終えて、現状だけを見詰めよう。
そう思った私はもう気持ちを切り替え、シロタとは別の接し方をせねばと考えていたが、前に座る彼は不機嫌な顔になっていた。
「駄目、まだ僕は納得出来てない。なんで千早様と僕は番にはなれないの?人間と狐じゃ本当に無理なの?」
「無理だって、さっきも言ったでしょう?」
「やってみないと解らないよ!」
不機嫌いっぱいに叫び、素足にショーツ状態のままだった私の脚をシロタがガシッと掴んできた。
「なっ——」
文句を言う間もなく私の両の脚を思いっ切り開き、下腹部にシロタが顔を埋める。途端、「もう誘う匂いしない…… 」と、耳を垂れながらシロタがすごく残念そうな声を出した。
その姿がどうしても、狐よりも犬の様にしか見えない。
「あ、当たり前でしょう?どれだけ時間がたってると思ってるのっ。だからもう放して」
第一、誘ってもいないし!
…… まぁ、正直シロタの事は考えていたけど。
赤い顔を少し上げ、下腹部に顔を埋めるシロタの方を見る。
「諦めないよ、僕達絶対番になれるよ。出来ない理由が解らないもん。実は雄でしたっていうなら諦めるけど、千早様はどう見たって雌じゃないか!」
シロタは悔しそうな顔をしながらそう叫び、私のショーツを横にずらし、シロタが露わになったワタシの秘部を舌で舐め出した。
「ちょ!やめ——」
「イヤだ、何故駄目なの?どうして?」
ざらつく舌が陰裂や肉芽に触れ、ビクッと脚が跳ねてしまう。
ガシッとシロタの頭にある尖った耳を引っ張り、「駄目って言ってるでしょ!」と言ったが、ちょっと痛そうに眉を顰めるだけで、彼は止めようとしない。
「だめぇだって——」
必死に何度もそう言っても、止まらぬシロタの舌の感触で力が抜け、抵抗する手にうまく力が入らなくなってきてしまった。
見た目もよく、性格もお行儀も良い。
咄嗟に『犬じゃないなら置いてはおけない』と言ってしまったが、特にこのアパートは男性禁止でもないし、私は独身で彼氏もいない。
…… どんなに頭の中で必死に考えても、シロタを切り捨てなければならぬ明確な理由が一個も思い浮かばなかった。
そのせいで、軽率だとは思ったが理由がどうしても浮かばず、私はつい「だ、駄目じゃ…… ないけど」と呟いてしまった。
「ホント!?じゃあ、僕ずっとここに居て良い?」
ぱぁと、一気に向日葵みたいな可愛い笑顔になる。
大人っぽい顔付きなんだから、凛々しく笑う方がもっと似合うのに。そう思うと、ちょっとクスッと笑ってしまった。
「じゃあじゃあ、千早様は僕の“番”だね」
ぱたぱたと尻尾を振り、シロタが目を輝かせている。
「…… つがい?それって、まさか鳥とかの番の事?」
「千早様の言うやつが何かはわかんないけど、僕の言う“番”は——こっちで言う“生涯の伴侶”の事かな」
合ってるじゃない。…… え、待って。って事は、私と結婚する気?プロポーズしてるの!?
「待って!ない、それはない!」
「何故?ずっとここに居てもいいんでしょ?じゃあもう、僕の番は千早様しかいないじゃない」
「だ、だって千早は人間じゃないんでしょ?犬とに——違う。狐と人間はね、結婚出来ないの。解る?」
「…… 出来ないの?」
「そうよ。シロタは人間じゃないし、獣耳や尻尾もあって親にも紹介出来ない。だから、結婚は出来ないの」
「番になるのに親は関係ないでしょ。この耳や尻尾は魔法で隠せるから平気だよ」
——隠せるのかっ!
「じゃあ何でもっと早く隠さなかったの!」
「耳や尻尾のある僕が、千早様には自然な姿だったから。素のままの姿が、千早様の知る僕だから」と、シロタが真顔で言った。
「あ…… そうよね、ごめん」
「急に耳と尻尾を隠したら、千早様は僕を追い出したでしょ?変装した人間の男でも入って来たんじゃって」
確かに、シロタの言う事はもっともだ。徐々に変化した姿を見てきたから、現状の彼を受け入れる事が出来たんだから。
「うん、絶対警察呼んでた」
「やっぱり…… 。よかった、徐々に姿変化させてって」
そう言って、シロタが安堵の息をつく。
「んじゃ、今度散歩に出る時は隠して行けるわね」
「耳を隠せば、もっといっぱい一緒に居られる?」
シロタが目を輝かせ、期待に満ちた表情で訊く。尻尾と耳の喜び方が犬そのもので、ちょっとほんわかした気分になった。
「うーん…… それは無理かな。私が昼間居ないのは、仕事でだし」
「…… そっか」
俯き、垂れる耳がなんだか可愛い。
「さて、この話はもうお終い。疑問も一応解消出来たし、これからは犬扱いはせずに対応させて頂きます」
もう訳の解らない話はこれで終えて、現状だけを見詰めよう。
そう思った私はもう気持ちを切り替え、シロタとは別の接し方をせねばと考えていたが、前に座る彼は不機嫌な顔になっていた。
「駄目、まだ僕は納得出来てない。なんで千早様と僕は番にはなれないの?人間と狐じゃ本当に無理なの?」
「無理だって、さっきも言ったでしょう?」
「やってみないと解らないよ!」
不機嫌いっぱいに叫び、素足にショーツ状態のままだった私の脚をシロタがガシッと掴んできた。
「なっ——」
文句を言う間もなく私の両の脚を思いっ切り開き、下腹部にシロタが顔を埋める。途端、「もう誘う匂いしない…… 」と、耳を垂れながらシロタがすごく残念そうな声を出した。
その姿がどうしても、狐よりも犬の様にしか見えない。
「あ、当たり前でしょう?どれだけ時間がたってると思ってるのっ。だからもう放して」
第一、誘ってもいないし!
…… まぁ、正直シロタの事は考えていたけど。
赤い顔を少し上げ、下腹部に顔を埋めるシロタの方を見る。
「諦めないよ、僕達絶対番になれるよ。出来ない理由が解らないもん。実は雄でしたっていうなら諦めるけど、千早様はどう見たって雌じゃないか!」
シロタは悔しそうな顔をしながらそう叫び、私のショーツを横にずらし、シロタが露わになったワタシの秘部を舌で舐め出した。
「ちょ!やめ——」
「イヤだ、何故駄目なの?どうして?」
ざらつく舌が陰裂や肉芽に触れ、ビクッと脚が跳ねてしまう。
ガシッとシロタの頭にある尖った耳を引っ張り、「駄目って言ってるでしょ!」と言ったが、ちょっと痛そうに眉を顰めるだけで、彼は止めようとしない。
「だめぇだって——」
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