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人間界のデビュー、お金をゲット
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「おはようございます」
「皆さん準備はよろしいでしょうか?」
「それでは、今日は日本の町をご案内しますね」
「この町は、日本の首都という場所でも中心部にあるので、歩いても移動できるのですが、ご老人もいらっしゃるのでバスで移動しましょうか。
「ところで、管理人さん」
「その”バス”という乗り物は、どんなものなんだね?」
「あ、ハデスさん。僕の事は、管理人さんではなくて、京太君で良いですよ」
「そうですね、沢山の人間を乗せて走る車です」
「バス停という場所から乗って、別のバス停という場所に降りるまで乗る事が出来ます」
「ただし、お金を払わないと乗れません」
「なに?お金がいるのか」
「ワシたちは金貨しか持っていないのだ。京太君、だれかこの国のお金に両替してくれないかのお」
「そうですね、それでは最初に金貨を現金に換えてくれる所まで行きましょうか」
そういうと、管理人さんは、三人と一匹を連れてバス停に向かった。
「金貨を代えてくれるのは、貴金属のお店です。其処までのバス停は、僕が奢りましょう」
「おお、京太君、それはかたじけない」
「ほんとうに、ありがとうございます、京太さん」
「ありがとう、京太さん」
三人は、かわるがわる管理人さんにお礼を言って、来たバスに乗り込む。
「あ!運転手さん、この人たちのバス代は全員僕が払いますから。この電子マネーでお願いします」
ぴ、ぴ、ぴ、ぴ、
「京太君、なんだその金属製のカードは?この国のお金なのか?」
「いえ、ハデスさん。これは電子マネーといってお金の代わりをしますが、お金そのものではありません」
「お金を別の処にしまっておいて、取引だけをこの機械で記録するのです。そうすれば、お金を持たずに出歩くことが出来るのです」
「うーむ、なんという便利な機械だ。魔法とは違うからくりなのだな」
「ハデスさん、面白い冗談ですね。たしかに、異国の人が見たら魔法のカードに見えるかもしれませんね」
「次は、商店街~、商店街~」
「あ!、ここだ!、降ります~」
「マリアさん、そこのおりますボタンを押してください」
ピンポン!
降車ボタンを押したとたんに、灯りが光って音がした。
「きゃ!」
受付の女の子は、降車ボタンの反応に驚いて、一瞬バランスを崩して、男の子に倒れかかった。
大きな胸が彼の顔に覆い被さった。
「きゃっ」
今度は別の意味で悲鳴を上げた、女の子だった。
「ご、ごめんなさい」
女の子は、真っ赤になって謝った。
「だ、大丈夫です。こちらこそ、胸に触ってごめんなさい」
男の子も真っ赤になって、謝った。
キキー、
バスが止まったので、男の子と女の子、主任さんと西の魔女さんは、慌ててバスから降りた。
ドラゴンさんは、女の子のカバンにしっかりと付けてある。
ブォー。
4人を残して、バスは何事もなかったかのように、去って行った。
男の子と女の子の顔は、まだ赤みが残っている。
「そ、そ、それでは、金をお金に変えましょう」
すこし、どもりながら、通りの向かい側にある貴金属屋さんに歩いていこうとして、女の子の手を掴んだ。
女の子は、しっかりと男の子の手を握り返した。
もう、顔の赤みは引いたようだ。
でも、まだ少し上気しているように、首筋が赤い。
主任さんと西の魔女は、にこにこしながら若い二人の後を付いて行った。
「ごめん下さい」
「金を両替したいのですけど」
「ハデスさん、金を出していただけますか?」
ハデスは、懐から大きめの金の板を取り出した。
「いらっしゃいませ、金の両替ですね。おや、この金には発行会社の品質保証のマークがついていませんね」
「どこからお持ちになったのですか?」
男の子は、主任に代わって言った。
「ごめんさない、この方たちは、遠い異国の地から来たので、メーカの刻印が無いのです」
「換金率は、そちらにお任せで結構ですので、金の純度を調べて頂き、お金に換えていただけますか?」
「うーん、まああ神宮寺様がそこまで仰るのなら、一応確認しますので、少々お待ちください」
…
「これはすごい!」
金を奥に持ち帰って、金の含有率を測定していたのだろう、従業員の叫び声が聞こえて来た。
「神宮寺様、失礼いたしました。これは紛れもなく、含有量99.9999の優れた金の延べ棒です」
「直ぐに、市場価格に換算してお支払いいたします」
そういうと、従業員は慌てて奥の部屋に戻って行った。
「皆さん準備はよろしいでしょうか?」
「それでは、今日は日本の町をご案内しますね」
「この町は、日本の首都という場所でも中心部にあるので、歩いても移動できるのですが、ご老人もいらっしゃるのでバスで移動しましょうか。
「ところで、管理人さん」
「その”バス”という乗り物は、どんなものなんだね?」
「あ、ハデスさん。僕の事は、管理人さんではなくて、京太君で良いですよ」
「そうですね、沢山の人間を乗せて走る車です」
「バス停という場所から乗って、別のバス停という場所に降りるまで乗る事が出来ます」
「ただし、お金を払わないと乗れません」
「なに?お金がいるのか」
「ワシたちは金貨しか持っていないのだ。京太君、だれかこの国のお金に両替してくれないかのお」
「そうですね、それでは最初に金貨を現金に換えてくれる所まで行きましょうか」
そういうと、管理人さんは、三人と一匹を連れてバス停に向かった。
「金貨を代えてくれるのは、貴金属のお店です。其処までのバス停は、僕が奢りましょう」
「おお、京太君、それはかたじけない」
「ほんとうに、ありがとうございます、京太さん」
「ありがとう、京太さん」
三人は、かわるがわる管理人さんにお礼を言って、来たバスに乗り込む。
「あ!運転手さん、この人たちのバス代は全員僕が払いますから。この電子マネーでお願いします」
ぴ、ぴ、ぴ、ぴ、
「京太君、なんだその金属製のカードは?この国のお金なのか?」
「いえ、ハデスさん。これは電子マネーといってお金の代わりをしますが、お金そのものではありません」
「お金を別の処にしまっておいて、取引だけをこの機械で記録するのです。そうすれば、お金を持たずに出歩くことが出来るのです」
「うーむ、なんという便利な機械だ。魔法とは違うからくりなのだな」
「ハデスさん、面白い冗談ですね。たしかに、異国の人が見たら魔法のカードに見えるかもしれませんね」
「次は、商店街~、商店街~」
「あ!、ここだ!、降ります~」
「マリアさん、そこのおりますボタンを押してください」
ピンポン!
降車ボタンを押したとたんに、灯りが光って音がした。
「きゃ!」
受付の女の子は、降車ボタンの反応に驚いて、一瞬バランスを崩して、男の子に倒れかかった。
大きな胸が彼の顔に覆い被さった。
「きゃっ」
今度は別の意味で悲鳴を上げた、女の子だった。
「ご、ごめんなさい」
女の子は、真っ赤になって謝った。
「だ、大丈夫です。こちらこそ、胸に触ってごめんなさい」
男の子も真っ赤になって、謝った。
キキー、
バスが止まったので、男の子と女の子、主任さんと西の魔女さんは、慌ててバスから降りた。
ドラゴンさんは、女の子のカバンにしっかりと付けてある。
ブォー。
4人を残して、バスは何事もなかったかのように、去って行った。
男の子と女の子の顔は、まだ赤みが残っている。
「そ、そ、それでは、金をお金に変えましょう」
すこし、どもりながら、通りの向かい側にある貴金属屋さんに歩いていこうとして、女の子の手を掴んだ。
女の子は、しっかりと男の子の手を握り返した。
もう、顔の赤みは引いたようだ。
でも、まだ少し上気しているように、首筋が赤い。
主任さんと西の魔女は、にこにこしながら若い二人の後を付いて行った。
「ごめん下さい」
「金を両替したいのですけど」
「ハデスさん、金を出していただけますか?」
ハデスは、懐から大きめの金の板を取り出した。
「いらっしゃいませ、金の両替ですね。おや、この金には発行会社の品質保証のマークがついていませんね」
「どこからお持ちになったのですか?」
男の子は、主任に代わって言った。
「ごめんさない、この方たちは、遠い異国の地から来たので、メーカの刻印が無いのです」
「換金率は、そちらにお任せで結構ですので、金の純度を調べて頂き、お金に換えていただけますか?」
「うーん、まああ神宮寺様がそこまで仰るのなら、一応確認しますので、少々お待ちください」
…
「これはすごい!」
金を奥に持ち帰って、金の含有率を測定していたのだろう、従業員の叫び声が聞こえて来た。
「神宮寺様、失礼いたしました。これは紛れもなく、含有量99.9999の優れた金の延べ棒です」
「直ぐに、市場価格に換算してお支払いいたします」
そういうと、従業員は慌てて奥の部屋に戻って行った。
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