選ばれないアデルシア

秋野清香

文字の大きさ
3 / 3

アデルシアの選択1

しおりを挟む
私は、常に選ばれる立場だった。
選ばれることが当然だと思っていた。

だって、選ばれたら死力を尽くして取り組むわ。

私を選んだことを後悔なんてしないよう血が滲むような努力をするわ。

未来のレティシア王妃に選ばれるのも、当然よ。
世界の覇権を握るグラシア王国と、国力は低いが平和ななレティシア王国の架け橋となりレティシア王国へさらなる繁栄をもたらしてあげる。

特別な私を、特別だと認め相応しい扱いをするならば報いてあげる。


私は美しくなければいけない、せめてレティシア王国の誰よりも。
強くなければいけない、例えば将軍よりも。
賢くなければいけない、時には王よりも。
私は特別でなければいけない、だって特別でないと愛されない。
選んでもらえない。

選ばれることを望み、選ばれ続けてきたけれど。
私が15年生きてきて、選んだことは一つだけ。

婚約者として、選んでくれたルークを愛したことだけ。
それだけが私が選んだことだった。
私はルークに選ばれ、ルークを選び人生を共にしたかった。

まさか、婚約者として10年共に過ごした私よりたった一年同じ時を過ごした平民がルークに選ばれるなんて。
天真爛漫な笑顔が、裏表のない性格が、突出した才能はないがこつこつ努力をする姿勢がルークを虜にしたらしい。

ルークが私を罵る声が忘れられない。
「アディは愛想笑いばかりだ」
「本音を見せず、生きていて信頼できない」
「自分の才能を鼻にかけ、他者を見下す」

貴方にだけは、本当の笑顔をみせていたのに。
貴方にだけは、本音で話していたのに。
貴方を見下してなんかいないのに。

ルークが私との婚約を破棄する❓
私は捨てられるの❓
私以上にルークを愛することができる存在なんていないのに。
愚かなルーク。

私は何もかも持っていた。
血筋、家柄、財力、美貌、才能を持っていた。
何もかも生まれながらに備えた私だからこそ、ルーク自身を愛せたの。
次期レティシア王としてルークではなく、ルーク自身が好きだった。

ルークが選んだ平民の少女さえ、あなた自身を見てはいない。
騎士物語に出てくる王子様として見ているわ。

私は貴方が王子でなくても、好きなのに。
何一つ贈り物をくれなくても好きなのに。
王にならなかったとしても好きなのに。

不仲な私の異母兄と組んで、私を奴隷に落とすなんて。
私の愛を踏みにじるなんて。

私が生まれて15年間、自分自身で選んだことはルークを愛することだけだった。
そのルークが私を捨てるなら。
ないがしろにするならば、持てる力の全てを持って叩き潰してあげる。

私は人生で二回目の選択をするわ。
ルークを愛することをやめて、憎むことを選ぶ。
そして、ルークにこの世の誰よりも憎まれたい。


貴方への愛は海に捨てていきましょう。
私の人生を支えてきた特別でとびきりの愛は死んでしまった。

これからは貴方へ特別でとびきりの憎しみをあげる。


しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません~死に戻った嫌われ令嬢は幸せになりたい~

桜百合
恋愛
旧題:もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません〜死に戻りの人生は別の誰かと〜 ★第18回恋愛小説大賞で大賞を受賞しました。応援・投票してくださり、本当にありがとうございました! 10/24にレジーナブックス様より書籍が発売されました。 現在コミカライズも進行中です。 「もしも人生をやり直せるのなら……もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません」 コルドー公爵夫妻であるフローラとエドガーは、大恋愛の末に結ばれた相思相愛の二人であった。 しかしナターシャという子爵令嬢が現れた途端にエドガーは彼女を愛人として迎え、フローラの方には見向きもしなくなってしまう。 愛を失った人生を悲観したフローラは、ナターシャに毒を飲ませようとするが、逆に自分が毒を盛られて命を落とすことに。 だが死んだはずのフローラが目を覚ますとそこは実家の侯爵家。 どうやらエドガーと知り合う前に死に戻ったらしい。 もう二度とあのような辛い思いはしたくないフローラは、一度目の人生の失敗を生かしてエドガーとの結婚を避けようとする。 ※完結したので感想欄を開けてます(お返事はゆっくりになるかもです…!) 独自の世界観ですので、設定など大目に見ていただけると助かります。 ※誤字脱字報告もありがとうございます! こちらでまとめてのお礼とさせていただきます。

真実の愛がどうなろうと関係ありません。

希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。 婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。 「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」 サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。 それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。 サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。 一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。 若きバラクロフ侯爵レジナルド。 「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」 フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。 「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」 互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。 その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは…… (予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

妻を蔑ろにしていた結果。

下菊みこと
恋愛
愚かな夫が自業自得で後悔するだけ。妻は結果に満足しています。 主人公は愛人を囲っていた。愛人曰く妻は彼女に嫌がらせをしているらしい。そんな性悪な妻が、屋敷の最上階から身投げしようとしていると報告されて急いで妻のもとへ行く。 小説家になろう様でも投稿しています。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

処理中です...