毒にも薬にもなりたくないっ

新堂茶美

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20.

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動くことの出来ないニールの肩を叩いたのは国王だった

「……遅かったみたいだ。すまない」

その顔は諦めたような困ったような表情だ

横で眉間に皺を寄せたニールの父であるガイナー公爵がミケラウスと王妃を見つめている

父と目が合うと

「お前だけに背負わせてすまなかった」

と言われ、呆然としたままのニールには何も出来ず、この場は父と国王へ任せることとなった


その後、父から話がしたいと言われ、今までずっとミケラウスと共にいた王城から久しぶりに自分の家へと帰ったニールは母や弟達の暖かい笑顔を見てホッとしつつも今日の出来事が頭から離れなかった


一緒に起きていると駄々を捏ねた弟達を寝かしつけた母が眠りについた頃に父は帰宅した


執務室に呼ばれたニールは、父と向き合う

ひとつ、息を吐いた父はゆっくりと語りだした


「王妃も王子もとりあえずは無事だ。あのメイドは……庭園に居た女性みなが我を忘れていたのもあるが、誰も殿下に咎はないと口を揃えて言っている。メイドの両親も娘が悪いと言うばかりで……
ミケラウス殿下は、魅了の呪術をかけられているそうだ

お前はすぐに異変に気付いて、私達に警告してくれたのにな……

今更、ミケラウス殿下が教師から性的暴行を受けていた、という報告があった。後悔し、自死したというその教師の遺書から分かった。それも朽ちた森で見つかった1年も前の死体の傍にあったものだ」

やっぱり、だとか、どうして、だとか色々な思いが頭を駆け巡り、俯いたまま膝で拳を作る

「裏で違法な『魔力増強』の実験に王妃が関わっていたらしく、王妃の母国や王妃が管理する研究所に調査を行っていたんだが……

私達は身近なところが全く見えていなかったようだな……
それでも陛下は何度も話し合いの場を設けていたそうだ……だが政策にばかり口を出す王妃とどうしても折り合いが付かなかったらしい……私も何度も理想論ばかりを述べる王妃に参ってはいたんだが……ミケラウス殿下はずっとそんな王妃の理不尽を背負ってきていたんだろうな」


「どうして……今更……」


「あぁ……本当に……申し訳ない」


2度も謝るなんて……厳格な父がこうも簡単に頭を垂れているところなどニールは見たことも無かった




その後、庭園での出来事はメイドが瘴気で錯乱し、王妃と王子が怪我をした。という事故で済まされた

余りにも無理矢理な済まされ方だが、閃光で目が眩み見えていなかったものがほとんどで、それよりも熱の覚めない女性達が数日、城の周りをウロウロと徘徊し、その中に高位貴族の夫人や令嬢も居たことで、話題は逸らされた


王城の広間に数十人の解呪師を呼び、ミケラウスに魅入られた人々を解くと同時に陛下自らが広間全体に魔法陣を展開しミケラウスに魅了されたことを忘れる忘却の魔法をかけた


王妃は奴隷を使って違法に自身の魔力を高めていた事が分かったがミケラウスに切られた瞼に傷痕が残り、療養という形で社交の場から引いていたため、公にはならず、その一年後、自室で毒により死亡しているのが発見された


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