毒にも薬にもなりたくないっ

22.

結局、私が言った『結界説』を最有力としたニールは
結界を解くにはどうするか、という課題に移った

これは呪いではないので、ミケラウス自身が自覚して解かなければならない


ならば、と女性不信を少しでも改善しようということになり
私は毎朝ミケラウス殿下に挨拶をする事になった

え？ 何故かって？ ニールさんから見て王子が私のことをそこまで嫌っていないように見えるから、だそうだ


ニールさんって時々、思考がどこかぶっ飛んでる時あるよね。 あの人、私見て鼻血だして倒れたんだよ？ 貧相な体って言われたのちゃんと覚えてるからね？？？


そうして、ミケラウスは次の日の朝、目を覚まし


「そうか……治療を許したんだったな。治せるのか？  毒のお前に」

「まぁ……色々と贅沢させて貰ったので善処はしますよ。ですが……王子次第ですね」

「……私次第か」

という、まずまずな会話となった




「ところで体調はどうです？」


「朝から毒を浴びて気分が悪いな」


反抗的だった態度は落ち着いたようだが、生意気なのは王子だからなのか……



「そうですか！！ でしたら、解毒剤ありますよ！！ とぉーーーーっても苦いやつ！！ ですが我慢してくださいね！！ 解毒剤なんですから！！」


そう言って、ベッドテーブルにある水差しに造血薬をぶち込んだ


「な゛っ！！！ おい！！ 寝起きで喉がカラカラなんだよ……新しい水を持ってこい！！」


「だめですよ！！ ほら！！ 全身に毒が回ってしまう前に！！ ささっ！！」


ミケラウスの頬を掴み、水差しの注ぎ口を思いっきり口に突っ込む

「やめっゴボゴボ、ｺﾞｸｯ」


「ふふふっ、飲みましたね！ 偉いです！」


「ゲホゲホッ、ゴホォ、こ、殺す気か」


「いいえっ！ 生きて欲しいですね。あっ！ 飲まなかったら朝ごはん全部にぶっかけてやろうかと思ってました」


「貴様ッ！！ 出ていけ！！」


「はーい！ また後で！」


「もう来るなッ」


部屋を出るとコハクと手を繋いだニールが腹を抱えて震えていた


「あははっ、やっぱり面白い人だ。ふふっ殿下に対して、ぷッ……あんな対応できるのは貴方だけですよ……あははは…ﾊｧ」


「私もこんなに最速でコハクを手懐けられた人を見たのは初めてですよ」


「あぁ、コハクさんは甘い物が好きなんですね！ 胸ポケットに入れてた飴玉に気付いたようで差し上げたら手を繋いでもらえました」


照れたように笑うニールを見たスイレンは手懐けられたのはそっちか、と思うのだった