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エンペラーゴブリン編

第三十八話 神の召喚

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《カミバライ=ジン》(混沌なる開闢の天勇者)
 ATK 999999
 DEF 999999
 SPD 999999
 MP  999999
《スキル》
 勇者Lv9999。天使の神愛(天使と一つになった証)。地獄王の加護(爆笑)。スーパーマ◯オの加護(残機9666)。とあるファラオの加護(運命力+9999)。最強の決闘王デュエルキングの召喚が可能になる)。城之◯くんの闘志(敵の一部スキルがポンコツになる)。神回復(深い切り傷程度なら一瞬で完治する)。
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 合体前とは違い、オレながらとんでもないステータスだぜ。

「『混沌なる開闢の天勇者カオスエンジェリックオリジン』で『最強の決闘王デュエルキング』だと。ふざけるなぁぁっ!」

 顔面を殴られ目が血走ったエンペラーゴブリンくんの指から、巨大なビルのようなサイズのエネルギーボールが現れ、それをどんどん小さく小さく凝縮していき。

「死ねぇ。『ゴブリンスーパーデスボール』」

 ハンドボールサイズにまで圧縮されたそれを、オレ目掛けて投げるように放つ。
 合体する前はメジャーリーガーのストレートのようなスピードに感じたが、今はふわふわ浮かぶシャボン玉にしか感じられない。

「ふっ。遅すぎて欠伸が出るぜ」

 目を瞑りながら、余裕で攻撃が当たらないように体を傾ける。
 
 が。

「ホッホッ。まさかと名乗るお方が私の攻撃を避けるなどありえませんよねぇ」

「なに」

「私の攻撃を避けてばかりでと名乗るのはおかしいのではありませんか?」

「……」

 これは明らかな挑発だぜ。
 ジンくんそんな見え見えの挑発に乗ってはダメよ。絶対ダメ!
 どこからともなく天使の声が聞こえるが、少し考えた後、オレはわざと攻撃の当たる位置に体を戻し、『ゴブリンスーパーデスボール』を前から誘導するように空高く飛んだ。

「ホッホッホ。賢明な判断です。あなたが避けたら人間どもの住む街に落とすつもりでしたからねぇ」

 何か呟いているような気がするが、オレが攻撃した時とは違い、余裕の態度でオレを見上げるエンペラーゴブリンくん。
 だがその顔のお陰で、奴の考えている作戦が分かった。

「やはり街に落とすつもりだったか。お前の考えなんて最初からお見通しだったぜ」

 だがこの『ゴブリンスーパーデスボール』は、サダンくんにくらわせた『ゴブリンデスボール』より遥かに強力な攻撃だ。あの時のように成層圏辺りで爆発させても、街や周囲に大きな被害が出る可能性が高い。
 オレは途中で落ちようとしていた『ゴブリンスーパーデスボール』を風の力を使って上へ上へと引っ張りながら一緒に成層圏を超え、中間圏を更に超えて、熱圏に差し掛かったのを確認し。

「ここなら地上への影響は大丈夫そうだぜ」

 空気が薄くなりギリギリだった風のサポートを止め、重力に逆らって落ちようとする『ゴブリンスーパーデスボール』を直接体に受けた。
 そしておとずれたのはミニ超新星爆発のような爆発と、太陽のような極熱だった。

「ぐあああああああああぁ!!」

 体がどんどん焼けていく。スキル『神回復』が間に合わない。ヤバいぜ。エンペラーゴブリンくんの攻撃を舐めすぎた。このままだと死ぬ。
 だから言ったのにもぉ。ジンくんの馬鹿馬鹿!

 そんな天使の声とともに、頬のあたりに微かな衝撃を感じた。
 
 でも諦めないでジンくん。を味方にするのよ。

「熱を味方に? 一体どういう意味なんだ」

 すると、頭の中にモニターのような表示が現れ、そこに《神を召喚しますか? 【はい いいえ】》
《【召喚条件】摂氏一万度以上の熱》
 と表示された。

「一体なんだこれは。
 まさか、スキル『最強の決闘王デュエルキング』の効果が発揮されたのか」

 オレにとっては起死回生のチャンスだが、問題なのはどんな神が召喚されるのか分からないという事だ。万が一世界を破滅させるような邪神などが召喚させたら、オレのせいで世界が終わってしまうかもしれない。

「だが」

 爆発の熱に焼かれながら、オレは笑みを浮かべ。

「信じるぜ。最強の決闘王デュエルキングであるオレ自身を!」

 自信満々でスキル欄の【はい】を選択。

「《摂氏一万度以上の熱》を全て生贄に捧げ――」

 オレが選択したのと同時に、魔法陣が何十、何百と爆発を囲むように現れ、オレの周囲にあった熱をその魔法陣がどんどん吸い込んでいく。
 そして、全部の熱を吸い終えた瞬間。フラッシュバックのような感覚とともに、頭に召喚する神の名前が突然浮かび上がった。

深淵なる黒き女神ダークネスフレイムゴッデス。『スルト』を召喚するぜ!」
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