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ドラゴンの女王編

第五十八話 マッサージを受ける夢

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「ジンくん。私今、とってもドキドキしてるよ」

 天使が止まった俺の手を、子猫に触れるように優しく両手で掴み、自分の谷間に入れた。
 ベッドに置いてある枕よりも柔らかい感触と、鼓動が手に伝わる。

 ドクドクドクドク――!

 全速力で走った後のように、天使の鼓動が早い。
 そんなに早いと、俺も――。

 ドクン……ドクン……ドクン。

 ――早くはならないよね~。

「むー。ジンくん手強いよ~」

 興奮しない俺に頬を膨らませ、天使が胸に付けていた白い布をとった。
 そして、あらわになったふくよかな胸。

「これでどお?」
 
 人間離れした美しい天使の裸体を見て、触れて、俺の下半身も…………………なんともないな。むしろ縮んだか。

「寝よ寝よ」

「そんなぁ」

 天使の胸元に挟まれていた手を引き抜き、精神的に疲れていた俺は、天使に危害を加えるのも面倒になり、そのままベッドに倒れて寝る。

「……じゃあ私も」

 真似するように天使もベッドに倒れ、俺の腕に抱きつきながら横になる。
 腕に感じるプリンのような柔らかな感触。
 と、同時に、指に感じるプニプニヌルヌルとしたこの感触は一体――。
 気になって、少し指を動かしてみる。

「あんっ……!」

 ビクンと天使の体が震える。

「なんだなんだ」
 
 指を見ると、そこには何も穿いていない天使の股があり、指の先っぽがその中に――。

「なんだ。天使の【ピー】かよ」
 
 くだらねぇ。と思いながら、そのまま目を閉じて眠りについた。

 ◆◆◆

 夢の中で俺は、白衣姿で美人なお姉さんにマッサージを受けていた。
 お姉さんは、ヌルヌルするオイルを塗りながら、顔や胸周りを中心に手で揉み揉みしてきた。

「どう? 気持ちいい?」

「ああ、気持ちいいぞ」

「よかった~」

 なんだか聞き覚えのある声で話しかけ、ホッとしながら、嬉しそうに唇から胸元を重点にますます揉み揉みしていくお姉さん。
 オイルが多くて少しベタベタするけど、悪くない心地よさだ。

「ここはもうお終い。
 次は下をマッサージするね」

 お姉さんがそう言い、俺の許可を取らずにズボンやパンツを勝手に脱がしていく。
 が、不思議な事に、その行為に恥ずかしいという感情は一切なく、なんの抵抗もせずに俺は全裸になった。

「こことここ。あとはここも――」

 慣れたように手を動かし、お姉さんがチ◯コの周辺を重点的にオイルを塗ってきた。

「くふふ。じゃあ、いくよ」

 気のせいか、興奮するような手つきで、お姉さんが息を止めながら、チ◯コをだけを揉み揉みしてきた。

「んっんっ…………はぁはぁはぁはぁ――」

 苦しいのか何度も喉を鳴らし、マッサージを終えると、水面から上がったように呼吸を整えるお姉さん。
 なんで息を止めているんだろう。
 気になったが、マッサージ自体は気持ちよかったので、そのまま続けてもらう。
 しばらく同じようなマッサージは続き、突然お姉さんの手がピタリと止まり、泣きながら小声で呟く。

「なんでぇ、どうして固くならないのぉ~」

 どうやら、俺のチ◯コが固くならないから泣いているようだ。

「……なんでだろうな」

 俺も呟き、首を上げて下半身を見る。
 確かにマッサージ自体は気持ちよかったが、俺のチ◯コは終始しおれたままだった。不思議だ。

「私はあきらめない。マッサージを続けるね!」

 お姉さんは涙を拭き取り、再びやる気を取り戻した。
 パワフルなお姉さんだ。

「そっちがその気なら、これでどうだぁああああ――!」

 お姉さんがさっきより激しくチ◯コマッサージを始めた――。

 数時間後。

 理由は不明だが、俺のチ◯コはしおれたままだった。

「どうしてよぉぉぉぉぉ――」

 お姉さんが俺のお腹に覆いかぶさるように泣き崩れた。
 なんか可哀想だな。
 俺は泣き崩れるお姉さんの頭を優しく撫でる。

「泣くなよ。次頑張ればいいじゃん」

「お客さん……。
 ありがとう。お姉さん元気出たよ!」

 お姉さんが顔を上げ、俺にぎゅっと抱きついた。
 白衣のような服を着ているが、ダイレクトに肌の感触が伝わってきた。
 興奮はしなかったけど、不思議だ――。
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