叶わぬ願いと望まぬ結末

第15章 隠された真実

全ての真実 1

　ゼーラルは語った。重々しく辛そうに母様の事を語った。

「ミーラ様、貴方はラルフ様が何処から来た方かご存じのですか？」

「魔界…じゃないの、か？まさかっ‼︎」

「そうです。ラルフ様はこの魔界に来られた際、見た目を変えました。それも私の魔法で…」

「ならば母様は…人間…」

「えぇ、そうです。ただ、ラルフ様は普通の人間ではありません。人間にしては多少の魔法が使える、珍しい人間だったのです。」

「父様は…知っているのか？」

　ミーラはいきなりの話で真実が波の様に押し寄せて来た為、思考停止に陥りかけたがなんとか理性で保つ。だが、父であるガルフが知らないのではないかと疑問に思った。だから言わなかったのではないかと。だが、ゼーラルは一瞬俯き、ラルフの部屋にある一冊のアルバムを手に取りミーラに差し出した。

「見えますか？こちらが、幼き頃のガルフ様。そしてこちらがラルフ様です。」

　ゼーラルが指差した写真には小さな赤髪の少年と真っ黒な髪の女性が写っていた。母様はこんな髪の色だったか？自身に問うが、ミーラは正確に母の姿を思い出せなかった。

「違和感がありますか？ミーラ様」

　ミーラは回答に困った。何故なら母様がどんな姿だったか思い出せないばかりか、写真に写る母の姿になぜか納得して懐かしさすら感じる自分が居たからだ。

「そしてこの写真はミーラ様の右が母ラルフ様と左が現人間国、王フィル様です。」

「なぜ、母様と？フィル王とは？」

「全てを聞けば、ラルフ様の容姿にも貴方様が不思議に感じていた全ても納得が行くでしょ。…これから話しますは、私ゼーラルが見し真実です。そしてラルフ様が語られた魔界と人間界の歴史になります。」