異世界転生しました。〜優し過ぎる彼と冷た過ぎる私〜

黒狼 リュイ

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第5章  異世界編  森の国

"ヨウ"という人物 2

 ユキはヨウの話を聞いた。
 後から思い返すとそれは、きっと聞きたいから聞いたのだろう。でも、この時のユキは心が冷えた様に固まって動きはしなかった。
 なぜなら目の前に居るそれは、敵かも知れない。そう意識してしまうから…

「俺はその日、いつもの様に大学、学校から帰る為に電車…えーっとユキにどう話せば良いのかな?あっ!」

 ヨウはユキの疑う気持ちに気付かず、意気揚々と話し始めた。最初は身振り手振りで話しをしようとしていたが、途中からユキの右隣に座って地面に絵を描き始めた。
 木の棒で描き始めたそれは、車と電車。そして小さな家と大きな家。

「俺は、この"電車"にいつもなら乗ってたんだ。だけどその日はたまたま、学校が長引いて…乗れなかった。」

「もしかして…」

 ヨウの描く絵をよく見ているとユキ、雪乃には少しだけ懐かしく感じた。
 色も何もないけど分かる。この座席にこの電車内、この名前…雪乃が最後の記憶に残った電車だった…

「うん、この電車に彼女は居た。そしてこれが彼女との別れになったんだ。電車は、駅に人が落ちたと緊急連絡が入って停止したんだけど、彼女はその瞬間に身体を支えれ無くて頭をパイプに強くぶつけて…そのまま。」

 雪乃は、あの日命を失った…
 ユキは、雪乃が転生した身体の持ち主…

 この時、あり得て欲しく無かった事実が、ユキの雪乃の冷たい心をより強く凍らせた。
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