異世界転生しました。〜優し過ぎる彼と冷た過ぎる私〜

黒狼 リュイ

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第5章  異世界編  森の国

"ヨウ"という人物 4

 そんなユキをヨウは決して放って置いてくれない…
 ユキは触れてほしくない
 ヨウは触れてくる
 ユキは聴かれたくない
 ヨウは聴いてくる

 ユキは一人で居たい
 ヨウは一人で居させたくない

 互いの気持ちも行動も裏表。決して交わる事はない。ユキはヨウを知らない。それで居れば大丈夫だっただろう。けれどユキはヨウをいや、日野 太陽を知っている。それは今まで通りのユキでは居られない。なぜならユキは太陽の言う助けられなかった雪乃だからだ。

 だが、ヨウは知らない。ユキが雪乃である事を。

 だからこそ、ユキのあまりの体温の低さとユキの無意識な反応。まるで誰も自分に近づけさせないといった雰囲気。それをヨウは隣ですぐ近くで感じた。そんなヨウがユキを一人にはしないと傍で体温を分け与えるかの様にユキの肩に触れ手を握った。
 だが、ユキはどんどん冷めていく…

 そして、ヨウが言った最後の一言がユキ自身をより冷たくさせる。

「俺は、あの子を助けてあげなきゃいけなかった!だけど今はもうダメなんだ…でもまだユキは…から…」

 ユキはヨウの肩を突き放した。そして辺りを氷で覆う。ヨウが居る場所だけを残して…
 そうしてユキは一人で森に入った。
 耳にはヨウの言葉が残って離れない…

"ダメなんだ、あの子は死んでしまったから。でもまだユキは生きているから助けたい"

 それはヨウの優しい言葉。だけどユキには冷たい言葉。
 霜原 雪乃はもう存在しない。だけど同じ様なユキは存在している。

(だから…罪滅ぼしか…)

 怒りも悲しみもユキにとっても雪乃にとっても共通していた。
 雪乃もユキも本当は同じなのに、はっきり違うと存在も否定された様に感じてしまった。もし、太陽がヨウなら雪乃を知る他の人達がユキを見て雪乃を思い出してくれるなら雪乃もユキも孤独を感じない。そう思って期待していた。

 だけど現実は違った。

(雪乃は死んだ。もう霜原雪乃は居ない。誰の心にも居なくなってしまったのだろう…)

 ヨウには、太陽には可哀想な雪乃でも良いからただそれだけの存在で居て欲しかった。それを踏まえてなんて、前世の私が消されてしまった、そんな風に感じるとユキは居た堪れなかった…
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