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第4話
レミーと報酬のパンケーキ
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そんなこんなで、喫茶店に入ってからもう早2時間近く経った。ちょうどお昼時に喫茶店に入ったから日は暮れ始めている。お腹もちょっとずつ減ってきている始末…いつまで私はハルーとここに居るのかしら?そろそろ帰って新刊状況の確認をしたいのだけど?後お昼ご飯ね?
そう考えていると、ハルーが店員さんを呼び何か注文をした。私にはその注文は聞こえない。…私も注文したかったのに…ここのパンケーキが美味しいって店に来る若い子達が噂してたから気になって居たのに…
(残念だわ…)
鳴りそうなお腹を少々抑えながら、まだハルーが何か質問してくるのでは?と身構えていたレミーは次の瞬間驚いた。
「失礼致します。こちら当店自慢のもふもふウサギパンケーキです。こちらのパンケーキには、ウサギを象ったリンゴを2枚のパンケーキの上に乗せ周りをホイップクリームで覆った物となります。どうぞお召し上がりください。」
そう店員さんの言った通りのパンケーキが、レミーの前に出された。あまりの可愛さと美味しそうな見た目に目を奪われたレミーは、恐る恐るハルーを見上げた。
「私…頼んで無いわよ?」
「うん。僕からのお礼だよ。質問に応えてくれたし、一緒に来てくれたから。あれ?嫌だった?ここのパンケーキはすごく美味しいんだよ!レミロアも気にいるかと思ったんだけど…?」
「あ、私は…う、嬉しいわっ。…甘いもの…好きだから…ありがと。」
「喜んでもらえて嬉しいよ。さぁ、食べてレミロア」
空腹に耐えかねていた私は、目の前に出されたパンケーキをナイフとフォークで切り分け一口、また一口と食べる。私はハルーからのパンケーキを今日一番の最高の瞬間のように感じていた。
パンケーキはすごく甘くてふわふわで、ウサギは見事な形だし、ちょっと勿体無いな?とか思ってしまうくらい可愛かった。
そんな私の姿を見てハルーは、ニコニコしながら「ねぇ?美味しい?」って聞いてきた。あまりの急さに、私は「…美味しい、わよ?」って応えるしか出来なかった。いつもは本の話しを本屋でしているハルーとの会話。それが場所と物が違うだけでこんなに気恥ずかしさを感じてしまうなんて…驚いた。
そう感じているレミーにハルーは聞いた。
「最後に教えて?レミロアは、誰かを特別に思うならどんな時?」
「なによ?急に…ハルー今日は変よ?」
「いいから」
「…。」
ハルーはレミーを見つめ離さない。目線は、一挙一動を見逃さないとでも言うようだ。この時レミーは、感じた。
(今日、ハルーの質問に応えなきゃ良かった…今更引けないじゃない…)
レミーは、真っ赤になりそうな顔をハルーに向け一度呼吸をしてから今日最後の質問に答えた。
「私が誰かを特別に思うとしたら。」
「したら?」
「私が"本より好きになれたら"よ。」
「"本より好きになれたら"か…」
「はっはい!!これでお終い!わ、私はパンケーキを食べるのよ!?邪魔しないでよ?!」
「うん、分かったよ。ありがとう応えてくれてレミロア。ゆっくり食べていいよ?」
そうして、気恥ずかしい質問攻撃は終了した。その後私はハルーから奢ってもらったパンケーキを堪能し、私達は喫茶店を後にした。
なんて心臓がドクドクした日だったんだろう。
(バーン伯爵家のザティス様は、来るわ…
ハルーはなんだかいつもとは違うわ…)
喫茶店を出た後、ハルーとは別れた。
「また、明日。今度は本屋に行くよ。本返したいしさ。」
「えぇ、分かったわ。また来て下さい。」
いつもの会話に戻るはず…なのに、何故か行きより帰りの方がハルーの顔を見るのに勇気がいる気がしたレミーだった。
そう考えていると、ハルーが店員さんを呼び何か注文をした。私にはその注文は聞こえない。…私も注文したかったのに…ここのパンケーキが美味しいって店に来る若い子達が噂してたから気になって居たのに…
(残念だわ…)
鳴りそうなお腹を少々抑えながら、まだハルーが何か質問してくるのでは?と身構えていたレミーは次の瞬間驚いた。
「失礼致します。こちら当店自慢のもふもふウサギパンケーキです。こちらのパンケーキには、ウサギを象ったリンゴを2枚のパンケーキの上に乗せ周りをホイップクリームで覆った物となります。どうぞお召し上がりください。」
そう店員さんの言った通りのパンケーキが、レミーの前に出された。あまりの可愛さと美味しそうな見た目に目を奪われたレミーは、恐る恐るハルーを見上げた。
「私…頼んで無いわよ?」
「うん。僕からのお礼だよ。質問に応えてくれたし、一緒に来てくれたから。あれ?嫌だった?ここのパンケーキはすごく美味しいんだよ!レミロアも気にいるかと思ったんだけど…?」
「あ、私は…う、嬉しいわっ。…甘いもの…好きだから…ありがと。」
「喜んでもらえて嬉しいよ。さぁ、食べてレミロア」
空腹に耐えかねていた私は、目の前に出されたパンケーキをナイフとフォークで切り分け一口、また一口と食べる。私はハルーからのパンケーキを今日一番の最高の瞬間のように感じていた。
パンケーキはすごく甘くてふわふわで、ウサギは見事な形だし、ちょっと勿体無いな?とか思ってしまうくらい可愛かった。
そんな私の姿を見てハルーは、ニコニコしながら「ねぇ?美味しい?」って聞いてきた。あまりの急さに、私は「…美味しい、わよ?」って応えるしか出来なかった。いつもは本の話しを本屋でしているハルーとの会話。それが場所と物が違うだけでこんなに気恥ずかしさを感じてしまうなんて…驚いた。
そう感じているレミーにハルーは聞いた。
「最後に教えて?レミロアは、誰かを特別に思うならどんな時?」
「なによ?急に…ハルー今日は変よ?」
「いいから」
「…。」
ハルーはレミーを見つめ離さない。目線は、一挙一動を見逃さないとでも言うようだ。この時レミーは、感じた。
(今日、ハルーの質問に応えなきゃ良かった…今更引けないじゃない…)
レミーは、真っ赤になりそうな顔をハルーに向け一度呼吸をしてから今日最後の質問に答えた。
「私が誰かを特別に思うとしたら。」
「したら?」
「私が"本より好きになれたら"よ。」
「"本より好きになれたら"か…」
「はっはい!!これでお終い!わ、私はパンケーキを食べるのよ!?邪魔しないでよ?!」
「うん、分かったよ。ありがとう応えてくれてレミロア。ゆっくり食べていいよ?」
そうして、気恥ずかしい質問攻撃は終了した。その後私はハルーから奢ってもらったパンケーキを堪能し、私達は喫茶店を後にした。
なんて心臓がドクドクした日だったんだろう。
(バーン伯爵家のザティス様は、来るわ…
ハルーはなんだかいつもとは違うわ…)
喫茶店を出た後、ハルーとは別れた。
「また、明日。今度は本屋に行くよ。本返したいしさ。」
「えぇ、分かったわ。また来て下さい。」
いつもの会話に戻るはず…なのに、何故か行きより帰りの方がハルーの顔を見るのに勇気がいる気がしたレミーだった。
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