本より好きになれるなら

黒狼 リュイ

文字の大きさ
19 / 76
第4話

動揺とコーヒー 3

しおりを挟む
「まず、一つ目に昨日君の家に人が来た筈だ。誰が来たのか教えてもらえないだろうか?」
「何故人が来たのをハルーが知っているのかしら?」
「それは君の家の前に馬車が止まっていた。それからその馬車は少々高級感があった馬車に見えた。なら、君の家には名のある貴族が来たんじゃない?」
「そうだとしたら?」

 彼の態度は先程までのキョドキョドとしたなよなよしい雰囲気は何処へと消え、ハキハキとした物言いに打って変わった。今の私は彼のスピーディーな質問に淡々と応えてしまいそうになるのを少々頭の片隅に置いていた冷静さを用いて注意している所だ。
 すると、彼は言った。

「僕は、君の周りに君を煩わせてしまう様な物や人が居ないか心配なんだ。」
「…あなた、まるで保護者のような言葉よ?それ」
「ほ、保護者?!…せめて、かれ…とい…はぁ…」
「なに?聞こえないわよ?」
「と!とりあえず!どんな人が来たの!?」
「そうね。ただのオレンジ髪の青年よ。…そうね、ハルーと似たような年かしらね?きっと」
「僕と似たような?オレンジ髪?もしかして!名前は…家名はバーン伯爵?!」
「あら、そうよ。バーン伯爵。知ってるの?」

  まさか、ハルーからバーン伯爵の名前が出るとは思っていなかった私は驚いてしまった。普通に平民として生活をして居れば伯爵や侯爵なんてなかなか出会ったりする事はない筈。なのになぜ?知ってるのかしら?

「あ、いや、ごめん!次っふ、二つ目の質問!」
「え?えぇ。落ち着いたら?ハルー?」
「だい、大丈夫…うん。この質問が実は重要なんだけど…」
「…」(ハルーが全く落ち着いてないわ…)

 ハルーは、机の下にある両手をもみもみしながら、なかなか質問を口にしない。余程聞きづらい事なのかと思った私が沈黙を破った。

「実は、そのバーン伯爵とある事柄を理由に協力を
結んだの。」
「え?ある事柄?それは僕も聞いて良い事?」
「…私は元父に復讐を彼は好きな女性を手に入れる為に協力を取り付けた。…あなたが話さないから私の勝手な独り言よ?だから誰が聞こうと良いも悪いもないわ。」
「っ!!」

 そう、私はなんの気紛れかザティス様との話しを独り言として話した。例えハルーが聞いても問題無いと私が思ったから話した。それに…

 ハルーに話しても大丈夫だと思うから…根拠もないけど

 すると、意を決したように深く深呼吸をし、ハルーはようやく二つ目の質問をした。

「不躾な質問だけどレミロアは、好きな人とか居ないの?」
「好きな…人?」
「うん、重要な事なんだ…」
「好きな人は…居ないわ。」
「そう、かぁ。」

 私が答えるとハルーは、一瞬嬉しそうな顔をしすぐに曇り顔に変わった。

「でも…」
「でも?」
「約束があるわ。遠い約束が。私には大事な約束よ。」
「!…そう、約束。うん!分かったありがとう。ごめんね、時間取らせて。ここは僕が奢るよ!」
「え、えぇ。ありがとう。」

 今日の私は気紛れが過ぎるんだろうーー
あの約束を人に言ってしまったのだからーー
ーーしかもハルーに…

 でも何故かハルーは聞いた途端に満面の笑顔だし、私の目を真っ直ぐ見つめてくるし…
 なんか背中がぞわぞわする居づらい感じがするわ…

(ハルー私の目を一体いつまで見るのよ!?)

 私は話した後からなぜか気恥ずかしくなり小さなコーヒーカップで隠れもしないだろう顔を隠すようにコーヒーを飲んだ。明日はきっと胃が痛いわ…いろんな意味で…
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】どうか私を思い出さないで

miniko
恋愛
コーデリアとアルバートは相思相愛の婚約者同士だった。 一年後には学園を卒業し、正式に婚姻を結ぶはずだったのだが……。 ある事件が原因で、二人を取り巻く状況が大きく変化してしまう。 コーデリアはアルバートの足手まといになりたくなくて、身を切る思いで別れを決意した。 「貴方に触れるのは、きっとこれが最後になるのね」 それなのに、運命は二人を再び引き寄せる。 「たとえ記憶を失ったとしても、きっと僕は、何度でも君に恋をする」

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を

さくたろう
恋愛
 その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。  少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。 20話です。小説家になろう様でも公開中です。

異母姉の身代わりにされて大国の公妾へと堕とされた姫は王太子を愛してしまったので逃げます。えっ?番?番ってなんですか?執着番は逃さない

降魔 鬼灯
恋愛
やかな異母姉ジュリアンナが大国エスメラルダ留学から帰って来た。どうも留学中にやらかしたらしく、罪人として修道女になるか、隠居したエスメラルダの先代王の公妾として生きるかを迫られていた。 しかし、ジュリアンナに弱い父王と側妃は、亡くなった正妃の娘アリアを替え玉として差し出すことにした。 粗末な馬車に乗って罪人としてエスメラルダに向かうアリアは道中ジュリアンナに恨みを持つものに襲われそうになる。 危機一髪、助けに来た王太子に番として攫われ溺愛されるのだか、番の単語の意味をわからないアリアは公妾として抱かれていると誤解していて……。 すれ違う2人の想いは?

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

処理中です...