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柊彩 藍

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嘘か誠か

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 男性の家の前に到着した調査部隊は、ボス1人だけを玄関前まで送り出し他の人はその家を囲むように陣取っていた。大人数で押し掛けても警戒心を煽るだけなので正確な情報は得られないと判断したボスの指示だった。さらにこうすることで万が一逃げられてしまった場合に素早く捕獲することができる。突撃部隊には武力で劣るがそれでもかなりの強さ経験を積んでいると言っていいだろう。
 ピンポーン
 ボスは、男性の家のチャイムを鳴らす。しかし、反応は無い。もうここにはおらずどこかへ逃げている可能性も考えたがもう一度だけチャイムを鳴らすことにした。
 ピンポーン
 ……………ガタガタ
 男性の家の中から物音が聞こえた。そして、玄関のドアが開く。
 「あのどなたですか?こんな朝早くに」
 男性は寝起きのだらしない格好で家から出てきた。まだ、完全に目が覚めていないらしく、昇り始める朝日に目を細めていた。
 「私はこういうものです。少しお話をうかがってもよろしいでしょうか。」
 ボスは、偽造の警察手帳を男性に見せた。偽造の警察手帳については、修の方から警察に使用用途と製造したことについて伝えてもらった。それを見た男性は、少し戸惑ったような表情を浮かべて家の中へ案内した。
 「それでどう言った要件でしょうか?」
 男性は居間に座るとボスに尋ねた。
 「とりあえずこの映像を見てください。」
 ボスは持ってきていたノートパソコンを開き監視カメラの映像を見せた。一通り見たところでボスが口を挟みつつ監視カメラについての内容について言及していく。
 「ここに映っているのはあなたで間違いないですか?」
 様々な動画に登場する男性を指差して本人かどうかを、確かめる。
 「少しこの動画では分かりにくいですが、この行動から見ると僕で間違いないですね。」
 男性はあっさり認めた。その後の質問にも淡々と答えていく。あまりにためらいが無さすぎるためこいつではないのでは無いかという疑惑さえ感じ始めた。しかし、ボスはこの男性が一切事実を話さないものとして考えてきたためなんとか疑惑の目を持ち続けることが出来た。そして踏み込んだ一問を問う。
 「なぜ、モンスターの出現にいち早く気づくことが出来たのですか?」
 ボスはこの質問の真偽ではなく男性の表情の変化や、しぐさに注目していた。それは男性が話すであろう言葉にあらかた予想をつけておきそのタイミングの反応でそれが何を意味するのか理解しようとしていた。しかし、それに対して男性は顔色ひとつ変えずに答えた。
 「それは、僕の得意魔法が予知だからですよ。そのお陰でおそらくたくさんの人々を救うことが出来たと思います。だとしたらこんな得意魔法でも使い方次第だと期待が持てます。」
 男性は、笑顔で答えた。そして人々を救えた喜びであると語った。その姿に嘘は無かったように思える。そしてその後、いくつか質問をしてボスはそこから立ち去った。
 ボスは、男性の家をあとにしたあと調査部隊をカフェに集合させた。そのときの映像や会話記録を何度も確認した。会話記録の音声から気持ちに揺らぎが見えるかどうかまで確認したがどこにもおかしい場所などなかった。それと同時にその男性についての個人情報も調べたが得意魔法も男性の言葉と一致していた。午後からもう1人の男性の家にも訪ねたが1人目の男性と似たような言葉をいい。さらにそれが事実と全く同じであった。これで二人の疑われる理由は無くなってしまった。それは、この調査が無意味であったと知らせるのと同時に捜査が行き詰まった事を感じさせることとなった。
 
 「レベルこれで良かったのか?」
 電話で男性が不安そうな声で話す。
 「あぁ、問題ないこれであちらの捜査は混乱するだろう。」
 電話越しの男の声は自信に満ち溢れていた。
 「しかし、私たちの情報を開示して捜査が混乱するなどわけが分かりません!」
 「ならば、全ての指示の意味を教えてやろう。まず、人を逃がすために指定した位置的だ。あれは、監視カメラには映らないと言ったが嘘だ。むしろはっきり映る位置にいるように指示した。」
 「ですよね。初めてあの映像を見せられたときは焦りましたよ。」
 「それに、人を逃がしたのは人的被害を最低限に押さえるためでもあるが、お前の存在に気づかせるためでもある。そうすれば必ずお前に疑問の目が向くだろう。そうすることで我々の存在には気づかれない。」
 「だったら何で、私に手の内をバラすよう指示されたのですか?」
 「それは、一番簡単だろう。何せ疑問を向けたさきが全くの無実に見えるのだから。捜査の手がかりを掴めたと感じた連中は、お前を容疑者として見れなくなる。これでやつらの捜査は終わったも同然だ。一番警戒していたシャーロック・ホームズの本を有するものも大したことはなかったな。傑作だよ。まんまと罠にかかってくれて。」
 電話の向こうの男は耳が痛くなるほど大声で笑いながら言った。
 「あと、そちらの任務はどうでしょうか。うまくいってますか?」
 「どうだろう。……今成功したと連絡が入った。」
 「では、失礼します。」
 男性は、電話を切ると不適な笑みを浮かべた。
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