writerS

柊彩 藍

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奪還作戦

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 「さてお前らやることいってみろ。」
 アジトのすぐ近くにある山の上に集結したwriterSをみて、ボスは皆に問う。全員その問いに頷いた。
 「全員生きて蒼太を奪還だ。それ以外の結果は俺が認めん!」
 こうして蒼太奪還作戦が始まった。この時修はこの場にいなかったがその事がこの後大きな影響を及ぼす事になる。
 今回襲撃するアジトの特徴を説明する。アジトは盆地の中に一つ建物が見えているが、本殿はそこではない。その建物の地下深くにある地下空洞にある。しかし、そのためにはいくつかの場所を通らなければならない。まず目の前に見えている建物から地下に入りその後山の方向へ伸びる通路を走り抜け、山のなかで蟻の巣のようになっている通路を制覇し、その中に一つだけあるさらに地下へと続く通路にたどり着かなければならない。これは、ホームズが必死になって探してくれた情報である。その情報を元に建物から攻略…………はせずに、その建物に沖田と倉野を向かわせ陽動開始。その混乱に乗じて3ヶ所を同時に襲撃。まず1ヶ所目、建物からみて、北方向にある一番大きな山の中腹を破壊し、紗希が侵入。南南西に池宮と羽鳥。南南東に大柴とボスが侵入するという算段だ。こうすることで効率よく敵勢力を分散させることができさらに効率よく地下へのルートを探し当てることが可能となる。正直この作戦において重要なのは陽動部隊の二人だと言っても過言ではないだろう。彼らがどれだけ時間を稼ぐことが出来るかで地下への道を切り開くことが出来るかが変わってくる。もし、彼らが陽動だと気がつかれたとしてもなるべく時間を稼ぎたいところだ。そのため、最大火力では一番の沖田と、弁の立つ倉野を陽動に配置した。その他の編成もそれぞれがそれぞれを補い会えるような組み合わせとなっている。
 大きな爆発音と共に陽動が開始された。その爆発音に合わせて他の部隊も飛びいる。が、その時点で相手の方が2枚も3枚も上手だった。なぜなら、陽動に到着した沖田と倉野の前には誰もおらず、さらに誰も駆けつけて来なかった。その頃各自襲撃場所においてはピンポイントで待ち伏せをされているという異常事態に陥っていたのだ。ここで考えられたのは2つ。1つwriterSに内通者がいて作戦の情報が筒抜けだった。もう1つは、相手に未来予知に精通した魔術師が潜んでいた可能性だ。この時、調査部隊に配属されていた人はすぐに理由が分かった。昼間訪れた男性しかいないと。男性を訪れた時には証言と違う情報があればそいつが疑わしいという視点で物事を見ていた。しかし、それだけでは足りなかったのである。確かに男性は、嘘の証言などしていなかったが、その事件に関わりがないとは言っていなかった。そこに関してもっと疑ってかかるべきだったのだ。しかし、それを怠ってしまった。その結果が今に出ているのだろう。そうこう考えているうちにアジト中にアナウンスが響き渡った。
 「今日おうちにきた方々どうもこんにちは。僕はこっち側なので、とりあえず仕留められちゃって下さい」
 そのアナウンスの声は間違いなくあの男性の声に違いなかった。ボスは慌てて沖田達に連絡をして、沖田達が地下への道を探せと指示を出そうとしたが通信機の調子が悪く声が通らなかった。
 「あ、いい忘れてたけど電波妨害してるので外部や、内部同士での連絡は不可能となっておりますのでご了承下さい。」
 しかし、ボスは諦めなかった。大声で沖田達に指示を出した。しかし、その声は通る距離では無かった。
 「いや、あいつらなら大丈夫か」
 ボスは、思い出したように笑みを溢した。
 その頃、建物前では
 「こっちには来てないみたいですねー」
 沖田は、軽くそういう。その横で倉野はしばらく考えていた。
 「いっそここで暴れて分散させます?その方がよりあちらも動き易いんじゃないですか?」
 「それは、なぜだ?誰の目線で考えた案だ?」
 「もちろん自分達の利益しか考えてませんよ。」
 「ならやめとこうそれに、自分達の利益よりも俺らの役割は相手を不利にすることだ。このまま静かに進もう。」
 数々の教訓話を兼ね備えたイソップ寓話の本を所持している倉野はこういうときに常に冷静に判断することが出来る。今回も、自分の利益を考えてはいけないと判断したのだろう。今回の場合彼らの役割は陽動である。そのために鍵となる場所を探すことにしたのだ。
 
 「状況は?」
 「まあ、想定通りかと。」
 「勝ちたいか?」
 「最終的には……」
 「ならばなあ?」
 「分かってますよ。」
 数々の戦闘音が響き渡る中不気味な二人の男が電話で最終確認を行っていた。
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