writerS

柊彩 藍

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想われること想うこと

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 蒼太は、騒動が起こってから二日後に目を覚ました。蒼太は、静かに起き上がり辺りを見渡した。そして、自分の居場所を再確認した。
 「病室か……そうかそのまま気絶して……」
 蒼太がベッドから降りようとするとあることに気がついた。左ももに何かがのっている。視線をそこへ向けると、紗希が眠っていた。太陽の光が差し込む様子を見るにもう昼間なのだろうと理解した。しばらくボーッとしていると倉野と沖田が部屋に入ってきた。
 「お、蒼太!おそよう!もう昼だぞ。ってかあれから2日も目を覚まさなかったんだからな心配したぞ。」
 「あ、寝てるやつと起きてるやつが逆転している。」
 と二人は目を覚ました蒼太に明るく接した。それは、蒼太にとってとても心地よかった。ひどく心配されると申し訳なく思ってしまっていただろうから。
 「ん…んん?あれ~蒼太君が起きてる。心配したんだぞー全く……」
 紗希が一瞬起きて、寝ぼけたまま蒼太が目を覚ました事を確認し、そのまま寝た。
 「まあ、二日間寝ずに看病してたからな。それに『起きたときに1人だと寂しいじゃん』とか言ってたっけ。」
 蒼太は、少し申し訳なく思いながらも、嬉しくも思えた。蒼太には、心配してくれる親などもおらず、心配してくれる相手などいないと思っていた。
 「ん?んん?!蒼太君起きたの!?」
 紗希がようやく深い眠りから目を覚ました。
 「心配かけさせんなバカ……」
 紗希は拳を蒼太の胸に当て一言呟いて走って出ていってしまった。
 「まあ、気にすんな。そんなけ心配してくれていたってことだろ。」
 倉野は、驚く蒼太に一声かける。
 「コラァ!蒼太てめぇ!何でそんなとこいんだよ!散々俺を引き留めておいて」
 煌輔が、病室に飛び込んで来てそのまま蒼太の胸ぐらを掴んで蒼太に迫った。
 「ちょりーす。調子どう?蒼太。」
 そのあとを一条さんが入ってきた。
 「あ、一条!ちょりーす。」
 その一条に対して倉野が挨拶する。writerSと防衛省魔法生物特別対策科は、深い関係があるためわりと顔見知りが多い。
 「ごめんっててか煌輔は何で俺の事を知ってるんだ?」
 「何でって捕まったお前を助けに行っていたwriterSを助けに行ったからに決まってるだろ!」
 煌輔が、そう言うと蒼太はポカンとしていた。
 「誰に?誰に捕まったんだ?」
 蒼太は、捕まったときの事を覚えていなかったらしい。倉野は蒼太に、あのときの事を全て話した。すると蒼太は話をしていくごとに顔が青ざめていった。その様子を見た皆は異変に気がついた。少し話をやめて蒼太を1人にした。飛んで出ていったと思われていた紗希もその様子を見ていたようで扉の側で苦しそうに立っていた。そして、意を決して中に入ろうとした。
 「やめとけ」
 倉野は紗希の肩を掴んで止める。
 落ち着いてから、蒼太に少しずつ話を伺った。蒼太は、クラーケン討伐後皆と合流しようとしたが、その瞬間に意識を失ってしまったのだという。しかし、なぜ蒼太を助けるために皆が動いたことを聞いたときにあのような状態に陥っていたのかは分からなかった。蒼太は、目を覚ました次の日に退院した。writerSに戻り、志穂にいろいろと調べてもらった。身体的にも精神的にも異常はなかった。蒼太は、あのときなぜ苦しくなったのかを志穂に尋ねてみた。
 「調べた感じでは魔力的に干渉を受けている様子も無かったから、魔法で何かされたという線は薄いんじゃないかな。」
 蒼太は、少し安心したような不安になったような気がしていた。
 「まあ、気持ち的な問題じゃないかな。ほら、何か話聞いているときに何か感じなかった?」
 「すごく申し訳なかったです。それに、writerSの皆や一条さんそれに煌輔が、傷つく姿が頭に浮かんできて嫌だった。」
 志穂はニマニマしながら蒼太を見つめていた。
 「蒼太君ってばそんなに私たちのこと大切に思ってくれていたの~。嬉しいじゃんか~」
 志穂は、蒼太の脇腹をつつきながらからかうように言った。
 「大切に………」
 「そうだよ、蒼太君は、きっと私たちを想ってくれていたんだよ。だからその人が苦しむ姿を想像するだけで胸が痛くなる。私たちだってそうだよ。蒼太君の事を想ってる。だからさらわれたことが分かったときは迷いなく助けに行く選択が出来た。」
 「自分にもそんな人が…」
 「当たり前じゃないか!」
 「僕には記憶がないから、親の顔も愛情も知らなかった。ましてや想われること何てなかった。もしかしたら煌輔だって心配してくれていたかもしれないのにそれに気づくことさえなかった。だからこの感覚が分からなかったんだ。今度は、僕が返す番だ頑張らないと。」
 さっぱりとした顔でそう言った。
 「おう、頑張りたまえ。」
 それを笑顔で志穂は応援した。そして、蒼太が離れてから一言呟いた。
 「その想いの種類が違う人がいることにはいつ気がつくかな?」
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