writerS

柊彩 藍

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兄弟

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 蒼太は、遂にグランドオーガを血の海に沈めた。そして、それはあまりにも冷酷で、普段の蒼太からは考えられないほど木っ端微塵に消し飛ばし、その肉片が誰のものか分からなくなるまでひどく殺した。そんな場に何かを言うものなどいなかった。何も言うことが出来なかったのだ。それは、writerSや防衛省の人達だけに限らず、敵までもである。敵に至っては、指ひとつ動かすことさえ出来ない状況だった。蒼太が放つ殺気を感じて本能が体を動かす事を拒否していたのだ。そこである一人の男がその張りつめて時が止まってしまったかのような状況を変えた。
 「少し暴れすぎだ。」
 空中に仁王立ちをしながら呟いた。すると蒼太は先ほどのようにスイッチが切れたように倒れてしまった。そして、その人物の登場とその人物が持つ魔力からその人物に目を向けざるを得なくなった。
 「そんなに俺を見つめてどうした。空中浮遊魔法が別段珍しいという訳でもないだろう。10年でもないからな。今では普通だろ。」
 そこでようやくその人物に対して声を出すものが現れた。
 「誰だ…蒼太に何をした!」
 一条は、刀握りしめその男に詰め寄る体勢になりながら上に浮かぶ人物を睨み付けた。
 「何殺してはないそもそも殺せないからな……それに俺は仮にも弟弟子を殺そうとなどしない。いずれ、蒼太にはこちら側についてもらう。」
 そう言って、蒼太の体に近づこうとした。
 バリ…バリバリッ
 「おう、これはこれはなんとも複雑な術式であるか。これをくぐろうものなら先に殺されてしまう。それに、どうやらこれは本は使っていないらしい。」
 紗希は、蒼太の前に立ち蒼太を庇った。そこで広げた術式は、範囲こそ広くないものの、あのときの悪魔よりも高度なものだった。
 「まあ、今回は退くとするか。こいつもただのごみにされてしまったからな。」
 立ち去ろうとする者を、大柴、一条、そしてたった今ここにたどり着いた煌輔が取り囲んだ。煌輔は、たどり着いた時に見た状況からすぐに飛び込みそうになった所を、倒れている蒼太を庇う紗希を見てとどまった。先ほどの蒼太を倒す者に自分がどうこう出来るものではないと。
 「なら、戦うか?お前らがその刃を納めるならば俺は、黙って退く。もちろん蒼太にも手を出さない。だが、そのまま切りかかってくるなら相応の対応しなければならないな。」
 男は、地面に巨大な魔方陣を広げた。男から膨張し溢れてくる魔力はとてつもないものだった。
 「分かった。」
 ボスが、退けと大柴達に命令する。
 「久しぶりだな。相川」
 どうやらボスは、この男を知っているらしい。
 「久しぶりだな、あの落ちこぼれが今では俺の前に立つ邪魔な障害物のトップなのか。お前なら大したことはないがこいつらはまた違うようだな。」
 退こうとする男に、ボスは忠告をした。
 「この街を元に戻せ。さもないとうちの優秀なもの達が俺の指示で動く。」
 その言葉を聞いたのか分からないが無言で立ち去った。そして、そのすぐあとに街の建物などは元通りになっていた。
 
 蒼太は、志穂の元に運ばれた。外傷は見当たらないが、完全に生き物としての機能が停止している状態だった。それは、つまり死んでいるということだ。しかし、そうでないと志穂は言い切った。それには、不安混じりの確信があった。志穂は、人間の全ての機能の状態を把握することが出来る。それに応じて処置をするのだが、その時怪我人のしろ死体にしろ、機能は段階的に落ちていくものだと言う。しかし、蒼太の体にどこにも劣化は確認出来ない。機能もしてはいないが劣化もしていないという。だとすると重度のショック状態にあると考えるのが妥当ではないか、と言う。さらに志穂は驚くべき事を話した。あの蒼太の兄弟子を名乗る男が何かをする前からこの状態に陥っていた可能性が高いと言うのだ。それは、あのバリバリに能力を発揮していたあのときに既にこの状態にあったということだ。活動しているあの時からだというのはおかしいのは志穂も解っていたが、そのタイミングではもうこうなっていたことは映像を見て分かると言い切った。
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