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柊彩 藍

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World of Fairy

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    世界に魔法学が広まり。義務教育として取り入れられるようになってから。10年ほどたったことだった。それまでは科学者は科学者、魔術師は魔術師といった風に技術を完全に違った者として捉えていた。しかし、二人の天才がその常識を破り、互いに手を取り合い一つのプロジェクトを立ち上げた。その名も〈World  of  Fairy〉つまりおとぎの国ならぬ、おとぎの世界というわけだ。と言っても、どういうプロジェクトなのか理解出来ない人がほとんどだろう。このプロジェクトの内容はある本の、世界観、人物、食べ物、生き物を具現化し、本の世界を現実に出現させようというわけだ。これくらいならどちらかの技術でなし得たのではないか。だがそうは、いかなかったのだ。二人の天才がお互いに出会うまでは別々の方法で同じ課題に取り組んでいた。一方は科学技術で、それは映像として再現し匂いなども再現できたしその登場人物にも話すことができた。しかし、映像なので触れない、話せると言っても、所詮はプログラムに記録された定型文をしゃべるか少し日常会話が自由にできる程度だ。正直これを前にして本物とは、呼べないだろう。もう一方は魔術の面からアプローチしたが、これもまた、本物とは遠い不完全だった。こちらの方は具体化させ、動かせるまではいった。しかし、それはただのホムンクルスにすぎない。自然な会話をすることにも成功したが、本を媒体としているため。本に喋りかけている変な奴に見られかねない。そこでお互いが同じ課題に取り組んでいることをしって、ならば二つの技術が協力すればなし得るのではないかと考えたのだった。その二人の名は屋戸場 璃空(科学側)と外崎 征矢(魔術側)である。二人は、このプロジェクトを成功させたのだがその一片を語ろう。
 「外崎、お前の出来ることはなんだ。」科学者は言った。
 「私が出来るのは、具現化と意思を引き出すことだ。しかし、同時にしようとすると、どこかでズレが生まれる。じゃあ逆にお前の出来ることはなんだ?屋戸場。」魔術師は言った。
 「私の出来ることは具現化と、意思を埋め込むことただし行動パターンに規則性が生まれてしまう。」
 「これでは、協力してやったところで出来ないのではないか?」
 「見方を変えてみればいい。」二人が話し合って、行き詰まっているところに一人の男が声をかけた。その男は魔術においても、科学においてもさして成績を残しているわけではないただの男性だ。そう、凡人なのだ。凡人というわりに努力に努力を重ねてそこそこの地位を得た、彼らの先生のような位置にあたる人だ。
 「本橋さん」
 「先生!」
 「どれ、二人はどう具現化つまりこの世に作り出すか?と言うことを考えておるんだな。」
 「そうですが…」
 「だから、上手くいかんのだ。」
 「どういうことですか?先生」
 「お前さんらの困っていることはどうしても作り物じみているということではないのか?」
 「はい、どうしても作り物感が抜けないので。」
 「当たり前じゃないか、作っているのだから」
 「!?」そこで外崎はある案を思い付いた。
 「ならば他の方法でするべきではないか?」
 「なあ、屋戸場魔力で作動するゲートのようなものを作ることは出来ないか?」
 「出来なくはないと思うが、魔力についての知識を俺は知らない。それに、それを作ったところでどうする…!そうか」
 「ああ、本の世界と、こちらを繋げてそれを魔力で具現化させる。」
 「でもそしたら魔術だけでできたんじゃ?」
 「それは、流石に無理がある。恐らくそれをしたところで幽霊のようなものを引き出してしまうに過ぎない。人の力で魔力をコントロールするのには限界がある。」
 「なるほど、それをこちらの技術でコントロールしろと」
 「よし、こうなったら仕事にかかるぞ。」
 「ああ、屋戸場君、外崎君、その装置が出来たら呼んでくれんか。私が書く人物についてしか書かない本で実験しよう」
 
 「出来た。」
 「あとは、先生の本で実験するだけだな。」
 「というかこれほどまでにできるとは思ってなかったよ。この技術を使えばゲートを作ってしまえば、人が願えば具現化させられるようになったのだから。」
 「まあ、あまり危険な者を願われると恐いからその機能は動かさないけどな。」
 「先生!じゃあ始めます。」その先の実験は無事成功し、本番でも難なく再現することが出来た。いや、出現させることが出来た。みるみるうちに研究所の辺り数キロに渡りこの世のものとは言えない世界、ファンタジーの世界、つまり本の世界を作り出すことに成功したのだった。
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