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4章~カジノで一攫千金!~
デジタルソルジャー
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アルビオンは、不安でどうにかなりそうになっているリリィを自信満々の顔で手を引っ張っていった。そして、そのまま倉の扉を堂々と開けた。そこには、兵士達がまだ残っていた。倉の中にあった地下への階段に何人か降りかけているところだった。そこにいた兵士達の顔と来たら驚きの一色。それもそのはず、つけていた者が帰っていったと思って本来の目的地に来たというのにまさか、それまでつけられているとは思わなかったからだ。さらに、驚いた理由はもうひとつある。兵士数十人に対してたった二人で乗り込んできたのだから。それにやって来た二人も子どもと女ときた、これは笑いを通り越して驚くしかなかった。そんな中でアルビオンはポケットの中からある板を取り出した。その板で何やら操作をし始めた。しばらくの間何もおきなかったためリリィの不安は高まり、兵士達の驚きが笑いに変わり始めた。アルビオンが板に触れてからちょうど1分たつかたたないかぐらいの時に倉の窓ガラスをブチ破る謎の物体が4つ飛び込んできた。その物体は円盤の形をしておりその円周には鋭い刃がついていた。そして、その物体は兵士の持つ槍を、剣を、鎧を、引き裂いて空中を飛び交った。そして、それらは兵士達を全て無力化したのちアルビオンの手に収まった。勿論の事ながらこれらはアルビオンの所有物であり先程の板で操っていたのである。よって、アルビオンは己自身の力、能力を行使することなくこの場を制圧したのだ。ここにおいて、アルビオンが行使したものと言えば、この円盤を作り上げる才能だろうか。リリィは、目の前でおきていた事を疑った。今ここに作り出されている現状を疑った。もとより、リリィにはこの場を制圧するつもりはなくこそこそ隠れながらついていこうと思っており、ましてや兵士達に見つかった時点で負けは確定したものだと思っていたのだ。
「何なんですかそれ…」
リリィはこの状態で一番訳のわからないものを、一番この状況に適応している者に尋ねた。
「これは、俺が戦うための力だ。」
リリィがまだ理解が不十分そうだったので、こうなった理由をアルビオンは順を追って説明し始めた。
「戦いの稽古をしてくれ。」
琥珀をでて、野宿の生活を始めた1日目の夜。ハルトが見張りをしているところへアルビオンがお願いしに行った。ハルトは、稽古をつけるような強さじゃないと謙虚な姿勢をとりアルビオンのお願いをやんわり断ろうとした。しかし、アルビオンはグランダイトの事件のことで何もすることが出来なかった自分に苛立ちを覚え、どうしても強くなりたいという意志があった。その思いをハルトに伝えると、ハルトは「稽古になるかどうかは分からないし俺は教えたことがないから教えることは出来ないけど毎晩三本勝負ならしてもいい」と、提案をした。そこから毎晩三本勝負をし、琥珀を過ぎてからは蓮にも三本勝負を挑んでいた。蓮も、感覚で戦うタイプの人間なので何かを教えることは難しかったのだろう。しかしアルビオンはいっこうに強くならない。グランダイトを出発したときと変わったのは体力ぐらいだろう。アルビオンが努力をしていないわけでは決して無かったし、短期間過ぎるということも無かった。さらにハルトは、アルビオンのような1つ1つ考えて行動するやつは早く育つと直感的に理解していた。だから余計になぜアルビオンは育たないのかを考えた。強くなるためにはどうするべきかを考えた。それは、アルビオンだけでなくハルト自身に関しても。ハルト自身の成長についてはすぐに答えが出た。戦闘の数をこなせば自分は強くなれると理解していた。では、アルビオンは?そう考えたときに何も浮かばなくなる。ハルト自身では、ないからかもしれないがハルトにはある言葉しか浮かばなかった。「アルビオンは戦闘に向いていない。」これをアルビオンに告げることは、物凄く無神経なことだとハルトも分かっていた。だが不意にハルトはアルビオンにそう告げてしまった。
「やっぱり、向いてないんじゃなね?」
当然アルビオンは落ち込んだ。しばらく塞ぎ込んでしまうほどに。ハルトは責任を感じてか、リリィに慰めるように促した。次の日の夜、ハルトと蓮は前日の事について話していた。あれは無神経だっただろ。や、じゃあアルビオンは戦闘に向いているといえるのか。などと、意味のない問答を繰り返していた。しばらくして、二人が落ち着いた頃、それを見計らっていたようにアルビオンがやって来て質問を投げ掛けた。「強さとは何か」この問にハルトは戸惑った。今までのハルトにとって強さとは、相手を蹂躙するためのものであったため転生してからの価値観からの強さの認識に具体的な形など無かったからだ。ハルトが少し考え込んでいるのをみてか、蓮が語りだした。
「じゃあ、アルビオンにとっての強さで思いつくものはなんだ?」
アルビオンは考えるまもなく
「武力、権力、智力」と答えた。
「智力ってのは想像つかないけど、強さってのは単純に強いだけじゃダメなんだ。これは、親父が迅に言ってたことなんだけど。強さとは武力ではなく…」
蓮が何かをいいかけた時にハルトは閃いた。
「そうだ!」
「いや、めっちゃいいとこで切らんといて!」
「ん?どうせ、気持ちが強くないとダメだとか言うよくある話だろ。そんな、話はどうでもいいもっと現実的に強くなる話をしよう。それに、気持ちでいったら正直なところ俺よりアルビオンの方が強い。」
「わかったよ。その通りだからお前の話を続けろ。」
「アルビオンは戦わなくていい!」
アルビオンと蓮は、何も反応出来なかった。驚きからか怒りからかはわからないが全てが度を越えて無になっていた。ハルトはそのまま続ける。
「何かさラドクリフみたいなメカで戦えばいいじゃん。」
その言葉に、アルビオンは光を見いだした。己が強くなるための道を照らす光を。
「何なんですかそれ…」
リリィはこの状態で一番訳のわからないものを、一番この状況に適応している者に尋ねた。
「これは、俺が戦うための力だ。」
リリィがまだ理解が不十分そうだったので、こうなった理由をアルビオンは順を追って説明し始めた。
「戦いの稽古をしてくれ。」
琥珀をでて、野宿の生活を始めた1日目の夜。ハルトが見張りをしているところへアルビオンがお願いしに行った。ハルトは、稽古をつけるような強さじゃないと謙虚な姿勢をとりアルビオンのお願いをやんわり断ろうとした。しかし、アルビオンはグランダイトの事件のことで何もすることが出来なかった自分に苛立ちを覚え、どうしても強くなりたいという意志があった。その思いをハルトに伝えると、ハルトは「稽古になるかどうかは分からないし俺は教えたことがないから教えることは出来ないけど毎晩三本勝負ならしてもいい」と、提案をした。そこから毎晩三本勝負をし、琥珀を過ぎてからは蓮にも三本勝負を挑んでいた。蓮も、感覚で戦うタイプの人間なので何かを教えることは難しかったのだろう。しかしアルビオンはいっこうに強くならない。グランダイトを出発したときと変わったのは体力ぐらいだろう。アルビオンが努力をしていないわけでは決して無かったし、短期間過ぎるということも無かった。さらにハルトは、アルビオンのような1つ1つ考えて行動するやつは早く育つと直感的に理解していた。だから余計になぜアルビオンは育たないのかを考えた。強くなるためにはどうするべきかを考えた。それは、アルビオンだけでなくハルト自身に関しても。ハルト自身の成長についてはすぐに答えが出た。戦闘の数をこなせば自分は強くなれると理解していた。では、アルビオンは?そう考えたときに何も浮かばなくなる。ハルト自身では、ないからかもしれないがハルトにはある言葉しか浮かばなかった。「アルビオンは戦闘に向いていない。」これをアルビオンに告げることは、物凄く無神経なことだとハルトも分かっていた。だが不意にハルトはアルビオンにそう告げてしまった。
「やっぱり、向いてないんじゃなね?」
当然アルビオンは落ち込んだ。しばらく塞ぎ込んでしまうほどに。ハルトは責任を感じてか、リリィに慰めるように促した。次の日の夜、ハルトと蓮は前日の事について話していた。あれは無神経だっただろ。や、じゃあアルビオンは戦闘に向いているといえるのか。などと、意味のない問答を繰り返していた。しばらくして、二人が落ち着いた頃、それを見計らっていたようにアルビオンがやって来て質問を投げ掛けた。「強さとは何か」この問にハルトは戸惑った。今までのハルトにとって強さとは、相手を蹂躙するためのものであったため転生してからの価値観からの強さの認識に具体的な形など無かったからだ。ハルトが少し考え込んでいるのをみてか、蓮が語りだした。
「じゃあ、アルビオンにとっての強さで思いつくものはなんだ?」
アルビオンは考えるまもなく
「武力、権力、智力」と答えた。
「智力ってのは想像つかないけど、強さってのは単純に強いだけじゃダメなんだ。これは、親父が迅に言ってたことなんだけど。強さとは武力ではなく…」
蓮が何かをいいかけた時にハルトは閃いた。
「そうだ!」
「いや、めっちゃいいとこで切らんといて!」
「ん?どうせ、気持ちが強くないとダメだとか言うよくある話だろ。そんな、話はどうでもいいもっと現実的に強くなる話をしよう。それに、気持ちでいったら正直なところ俺よりアルビオンの方が強い。」
「わかったよ。その通りだからお前の話を続けろ。」
「アルビオンは戦わなくていい!」
アルビオンと蓮は、何も反応出来なかった。驚きからか怒りからかはわからないが全てが度を越えて無になっていた。ハルトはそのまま続ける。
「何かさラドクリフみたいなメカで戦えばいいじゃん。」
その言葉に、アルビオンは光を見いだした。己が強くなるための道を照らす光を。
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