クロスフューチャー

柊彩 藍

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4章~カジノで一攫千金!~

Sの正体

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 アルビオン達の操作が進行しているなかハルト達は不利な状況でありながらも激戦を繰り広げていた。蓮は闘技場に穴を開けたときに落ちてきていたモンスターの残骸に火をつけ、ハルトはその炎の中に兵士達が持っていた水袋をくべた。たちまち白い煙をあげその上を蒸気で満たしていった。獅子の仮面は弓で射ることは不可能と判断し降りてきた。二人は、白刃戦に持ち込むことに成功した。うまく行けば一対一の状況を作ることが出来る、二人に狙われるよりかはこちらの方が断然可能性が見えてくる。しかし、その可能性が時間がたつにつれて薄れていくのを二人は感じた。最初に刃を交えたときにこいつは強いと感じたが対処しきれないほどではなかった。しかし、ハルトと蓮は体力を消耗していくのにたいし、仮面の二人組は一向に動きが悪くなる気配がなかった。ハルト達が限界に達したところで仮面の動きが止まった。仮面はぶつぶつと何かを呟きながらその場を去っていった。ハルト達は助かった。ハルトは、その場を離れていく仮面を必死で追いかけようとしたが蓮がしっかりととめた。行ったところで何もできないと分かっていたから。ハルトは、蓮に止められてようやく冷静になった。ハルトは、蓮に隠し通路の奥へと行くことを提案し、蓮はそれを承諾した。
 ハルト達はものすごく広い空間へと出た。しかし、そこはとても窮屈に感じるほど空気が重たかった。その重圧から逃げたしたいと感じたほどだ。ハルトは、身を隠しながら足を進める。そこらじゅうからうめき声が聞こえてくる。ここでモンスターを作っていると考えて間違いないとハルトは確信した。ふと少し上に視線を向けるとアルビオンとリリィがこの空間を除いていた。しかし、周りに見回りの警備がいたため少しずつアルビオン達に近づき合流することにした。その途中でリリィはハルトに気がついた。するといきなり手を振り大声で
 「アル君ハル君ですよ!」
 その空間にいた全ての知的生命体がおどろいただろう。ハルトは急いで近くの警備を気絶させた。それでも騒ぎは収まらなかった。一人の警備に援軍を呼ばれてしまった。兵士達がここへ来て、それらにハルト達が苦戦しているなか仮面が現れた。ハルトとアルビオンが遭遇した全ての仮面がやって来た。ハルト達は、なすすべもなくその三人に囚われてしまった。手枷をつけられ四人は1つの部屋へと連れられた。
 そこの空間はまるで玉座のような作りでその中心に顔を布で隠した女性が堂々と腰を掛けていた。仮面はハルト達四人をまとめてくくりつけたあとその女性のもとへ歩いていった。なにやら話をし始めたようだ。
 「こいつらが俺らの計画を邪魔しようとしてたのか?それにしては弱いな」
 「だからといって弱者が立ち上がらないとは限らないじゃない?」
 「まあ、いい俺たちはデータさえもらえればそれで…ところであの四人はどうする?」
 「ちょっと私がお話ししてくるわ」
 女性は、こちらへ歩みより顔をおおっていた布を取り払った。蓮とリリィはその顔を見てひどく驚いた。一方、ハルトとアルビオンは対照的な態度をとり冷静な様子だった。その女性は、セレストだったからだ。最初から疑いの目で見ていたハルト達にとっては何も不思議なことではなかったが、蓮とリリィにとってはそれなりにショックだっただろう。
 「大人しく殺られてくれれば良かったのにねぇ?しまいにはあんないけないことまでしちゃうなんてやっぱりお仕置きが必要かしら」
 セレストは楽しそうにハルトの頬を撫でる。
 「あなたは何をしようとしてる。セレスト!」
 アルビオンは、その目でセレストを睨み付けた。アルビオンには1つの仮説があった。いびつなモンスター、死のギャンブルという制度、無尽蔵にあふれでてくるモンスター。これらからアルビオンは死のギャンブルの参加者をモンスターに変えていたのではないかと考えていた。そのため、人体実験と称して友達を殺されたアルビオンは怒りを抑えきれなかった。
 「あなたがアホどもの参謀だったのね。その様子を見ると拷問するよりも人がモンスターに変えられているところを見た方が効きそうね。ンフフ」
 セレストは、その場を離れていこうとした。
 「おい!どこへ行く!早くデータをよこせ」
 獅子の仮面がセレストを呼び止めた。
 「ちょっとイタズラをするための道具を持ってくるだけじゃない。そんなに焦らなくてもデータもとってくるわ」
 セレストはそう言い残し、データを取りに行った。
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