クロスフューチャー

柊彩 藍

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5章~エルフVS忍~

強者VS弱者

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 「に、逃げろー!」
 蓮の近くにいた兵士は激しい火傷をおい吹き飛ばされほとんど意識は残っていない。さらにそこから離れていた兵士も、熱気で肺が焼けそうなほどの熱を発していた。兵士達は、慌てふためき、一目散に逃げていった。ものの数秒で立っていられる人間の中で蓮の付近に存在するものはいなかった。これだけ爆発的なエネルギーを放出しているため辺りの木々は自然に発火していた。そして、それは夜だと気づかないほどに光を放っていた。この時この光景を目にしなかったものはいないだろう。シルヴァヌスの付近にいる人々は、突然の光と音に思わず振り向いたに違いない。当然、両指揮官がそれを無視するはずもなかった。
 「暴走したのか?!」
 アルビオンは、琥珀での出来事が起こってしまったのではないかと思った。しかし、その後に暴れているような様子がしなかったのでアルビオンは、蓮が意図的に起こしたものであると判断した。
 「タリア様が力を使って俺たちが動けるようになるまであとどのくらいかかる?」
 それにある一人のエルフが答えた。
 「恐らく一時間もかからないでしょう。しかし、そこからすぐに移動を始めたとしてたどり着くのは馬を使っても一時間はかかります!」
 「二時間か………なら、小隊を編成して援護に向かってくれ。戦力的にそれで大丈夫だ。」
 「それでは少なすぎます!」
 「それが最大だ。それに蓮は強い。安心しろ。」
 
 「まて、なんであいつがそこにいるんだ。あれは琥珀に縛られていたんじゃないのか!」
 「ジキル様あれはなんですか!まるで竜じゃないですか。」
 「クロフト、それで合ってるんだよ。あれは竜だ。それも最悪の。昔琥珀に竜狂戦士を作ると聞いていたが、それが敵にまわるとは思ってなかった。」
 「私が出ます。」
 「出来るか?」
 クロフトはその問いに一つの条件を出した。
 「広域テレパシーは、切断させてください。」
 「いいか、やることは一つこれ以上被害を広げるな。誰も死なせるな。足止めをしろ。援軍を頼んどく。それまで耐えてくれ。」
 クロフトは、ジキルの指示を聞いてすぐさま炎の元へと駆けていった。
 
 数分後クロフトは、蓮の元へたどり着いた。クロフトがついた頃には熱気は蓮によって抑えられ近づけるようになっていた。しかし、逆にいうとほとんど完璧にコントロールする域まで達してしまったということだ。蓮は、クロフトに気付き攻撃をしようとするが全てかわされてしまった。
 「生きる意思のあるものは私に全てを委ねろ!」
 クロフトはまわりの兵士に向かって大声をあげた。その声に応じて、逃げて離れていた兵士達も戻って蓮を包囲した。しかし、蓮には負ける気がしなかった。兵士達の武装を見る限り強そうに見えない。何か特別な力がありそうなものもいない。強いて言えば、クロフトがその何かを持っている可能性があると考えたほどで本能が負ける要素を認識しなかった。実際に戦力的にも圧倒的といっていいほど蓮の方が強かった。しかし、その戦いは驚くほど長引いた。何と一時間も蓮は包囲を突破する事が出来なかったのだ。それどころかその一時間で誰一人として傷を負わせることすら出来ていなかった。それだけではない、非常に弱いものではあるが攻撃を受けていたのは蓮の方なのである。それも複数回。これは、ただ、一発まぐれが命中したわけでは無いことを示している。これで、クロフトの働きがどれ程影響を与えているか分かるであろう。クロフトには、テレパシーを応用した能力を使うことができる。対象は一人に限定されるがその内面に抱える言葉を聞き取ることができる。つまりクロフトが定めた対象の考えたことは、全てクロフトに筒抜けというわけだ。しかし、それと併用して広域にテレパシーを送るには器が足りないため。ごく限られた、範囲においてテレパシーを展開し、そこにいる兵士に指示を出すことで蓮の攻撃を全て回避または防いだ後にチマチマと攻撃を重ねていったのだ。クロフトは、戦略面において自らが戦闘能力で劣る相手に圧倒したのである。だが、それにも限界が来てしまった。魔力の多いクロフトではあるが、魔力の消費スピードにおいて圧倒的に速いのである。ついにテレパシーを送り指示を出すことが困難になってしまった。更に木々の間から見えた平原の様子を見て引かざるを得なかった。まだしばらくはかかるだろうがエルフ達の援軍がやって来たのだ。クロフトは最後に逃走の指示を出した。蓮も追いかければ勝てたのではあるが、さんざん策略的に負けた事が引き金となり。罠なのではないかと追うことをやめてしまった。
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