72 / 89
5章~エルフVS忍~
終戦
しおりを挟む
大きな爆発音が森に鳴り響いた後、森には静寂が広がった。そのあまりの音の大きさそこに吹き上げられた砂の高さ、地面を伝ってくる振動。そこで感じたすべての事が規格外だったのだ。それが原因となり全てのものは争うことを放棄した。あるものは確実な勝利を、またあるものは絶望的な敗北をその脳裏に描いた。それは直接戦闘に立つことの無かった指揮官でさえ感じるほどだった。
「見ろこの破壊力を!これなら失いかけていた勝利もすぐ目の前にあるというものだ!ラドクリフⅡよ!立ちふさがる全てを蹂躙せよ!」
ジキルは、その声を高らかに響かせた。その声を聞いた兵士たちは確実な勝利を手にいれたことに安堵し、握りしめていた鉄の塊達を地面に捨てた。それが例え敵前であろうとも。
「あれは…もう無くなったはずじゃ……」
自らの技術を使われたことに気付いたアルビオンは事の絶望さを、戦場に出向く者たちよりも感じていた。それがどれ程の殺戮兵器であるかは理解しているからだ。そして、現段階でラドクリフを処理出来る人物は、ハルトのみなのである。しかし、アルビオンはハルトの行動力を考えて自由に行動をとらせていた為ハルトの現在地が分からない。それゆえハルトに指示を出すことすら出来ないのだ。そして、戦場に立つものたちはその激音を恐れた。彼らの知っている範囲で自分達があれほどの破壊力を持ったものを所持していないからである。そして彼らもまた手に持っていた鉄の塊を地面に捨てた。その絶望的すぎる状況に戦う気力をなくしたのだ。
そして、勝ち誇ったジキルの元に金属が擦れる音が聞こえてきた。
ギ…ギギ…ギ………ギギギギ……
「おい、こんなところに来なくてもいいぞ。はやくあの雑魚を片付けろ。」
ギギギ…………ギ…………………ガシャン
何かが落ちた音をきっかけにジキルは振り向いた。そして、腰を抜かした。その目に映る全てに驚愕した。まず一つ視界があまりにも開けていること。そして、音を鳴らしていたのはボディを引き剥がされたラドクリフⅡの核であること。さらに、開けているはずの視界に重く暗くのし掛かる暗いオーラ。ジキルは、状況が全く分からない。目の前で起きていることは理解出来る。しかし、起こるはずのないことが起きているゆえその理由がわからなかった。ジキルは、更に恐怖を植え付けられる。重く暗くのし掛かるような重圧を発していたのは一人の人間であるということである。その人間を覆う黒いオーラのせいで何者かを判断することは出来なかったがかろうじて人影だと認識できるものだった。その者の前には核が転がっている。ラドクリフⅡは、消されたのだ。動力源を残して。ジキルは、緊急用に所持していた。聖帝戒本部へ帰還する魔法書を使用し退散した。
しばらくして、ジキルの率いてきた兵士は撤退をはじめ、半蔵と蓮は秘宝を取り返して帰って来た。なぜ兵士が撤退していったのかというと、ジキルの逃走を確認したクロフトが、手に終えない敵が出現したと判断し兵士を引き上げるように指示を出したのだ。そして、アルビオンはそれを確認し生存確認を行った。
「ハルトがまだ戻ってない。」
敵を追ったのか、やられてしまったのか定かではなかったのだが、まだ生きていることを望みとして捜索することを頼んだ。忍もエルフもすぐに承諾してくれ、大人数でハルトの捜索が始まった。しかし、その捜索中にあるものを発見する。
「これは…」
その言葉の先を表現することが出来ない程の光景がそこには広がっていた。シルヴァヌスを囲う山のうち一番大きな山の半分が消滅していたのだ。そして、それを発見してから少し立った後にハルトは発見された。気は失なっていたもののその体には傷一つなくきれいなままだった。そしてその体はえぐられた山の際にあった。見つけたものは急いでハルトを担いで帰り、アルビオンの元へ運んだ。
「ハルトさんは無事です。この通り。しかし、気を失なってるようなので休息が必要かと」
ハルトはベッドの上に寝かされ、アルビオンたちはその姿を見て少し安心した。しかし、ルナが血相を変えて近づいてきた。
「これが無事?無傷?何を見ている。早く治療しないとハルトが死ぬ!」
ルナは、真剣な様子であったがそのハルトの姿から考えてあまり真実だと信じることが出来なかった。
「いいから早く誰でもいい回復魔法師を呼べ。ハルトの内臓がぐちゃぐちゃになっている。」
そうハルトの体に外傷はひとつもなかった。しかし、内臓がひどく損傷していたのである。物理的な攻撃ではなく魔力的な攻撃でも食らったのだろう。ハルトは、気を失なっているどころか、瀕死状態だったのだ。
「見ろこの破壊力を!これなら失いかけていた勝利もすぐ目の前にあるというものだ!ラドクリフⅡよ!立ちふさがる全てを蹂躙せよ!」
ジキルは、その声を高らかに響かせた。その声を聞いた兵士たちは確実な勝利を手にいれたことに安堵し、握りしめていた鉄の塊達を地面に捨てた。それが例え敵前であろうとも。
「あれは…もう無くなったはずじゃ……」
自らの技術を使われたことに気付いたアルビオンは事の絶望さを、戦場に出向く者たちよりも感じていた。それがどれ程の殺戮兵器であるかは理解しているからだ。そして、現段階でラドクリフを処理出来る人物は、ハルトのみなのである。しかし、アルビオンはハルトの行動力を考えて自由に行動をとらせていた為ハルトの現在地が分からない。それゆえハルトに指示を出すことすら出来ないのだ。そして、戦場に立つものたちはその激音を恐れた。彼らの知っている範囲で自分達があれほどの破壊力を持ったものを所持していないからである。そして彼らもまた手に持っていた鉄の塊を地面に捨てた。その絶望的すぎる状況に戦う気力をなくしたのだ。
そして、勝ち誇ったジキルの元に金属が擦れる音が聞こえてきた。
ギ…ギギ…ギ………ギギギギ……
「おい、こんなところに来なくてもいいぞ。はやくあの雑魚を片付けろ。」
ギギギ…………ギ…………………ガシャン
何かが落ちた音をきっかけにジキルは振り向いた。そして、腰を抜かした。その目に映る全てに驚愕した。まず一つ視界があまりにも開けていること。そして、音を鳴らしていたのはボディを引き剥がされたラドクリフⅡの核であること。さらに、開けているはずの視界に重く暗くのし掛かる暗いオーラ。ジキルは、状況が全く分からない。目の前で起きていることは理解出来る。しかし、起こるはずのないことが起きているゆえその理由がわからなかった。ジキルは、更に恐怖を植え付けられる。重く暗くのし掛かるような重圧を発していたのは一人の人間であるということである。その人間を覆う黒いオーラのせいで何者かを判断することは出来なかったがかろうじて人影だと認識できるものだった。その者の前には核が転がっている。ラドクリフⅡは、消されたのだ。動力源を残して。ジキルは、緊急用に所持していた。聖帝戒本部へ帰還する魔法書を使用し退散した。
しばらくして、ジキルの率いてきた兵士は撤退をはじめ、半蔵と蓮は秘宝を取り返して帰って来た。なぜ兵士が撤退していったのかというと、ジキルの逃走を確認したクロフトが、手に終えない敵が出現したと判断し兵士を引き上げるように指示を出したのだ。そして、アルビオンはそれを確認し生存確認を行った。
「ハルトがまだ戻ってない。」
敵を追ったのか、やられてしまったのか定かではなかったのだが、まだ生きていることを望みとして捜索することを頼んだ。忍もエルフもすぐに承諾してくれ、大人数でハルトの捜索が始まった。しかし、その捜索中にあるものを発見する。
「これは…」
その言葉の先を表現することが出来ない程の光景がそこには広がっていた。シルヴァヌスを囲う山のうち一番大きな山の半分が消滅していたのだ。そして、それを発見してから少し立った後にハルトは発見された。気は失なっていたもののその体には傷一つなくきれいなままだった。そしてその体はえぐられた山の際にあった。見つけたものは急いでハルトを担いで帰り、アルビオンの元へ運んだ。
「ハルトさんは無事です。この通り。しかし、気を失なってるようなので休息が必要かと」
ハルトはベッドの上に寝かされ、アルビオンたちはその姿を見て少し安心した。しかし、ルナが血相を変えて近づいてきた。
「これが無事?無傷?何を見ている。早く治療しないとハルトが死ぬ!」
ルナは、真剣な様子であったがそのハルトの姿から考えてあまり真実だと信じることが出来なかった。
「いいから早く誰でもいい回復魔法師を呼べ。ハルトの内臓がぐちゃぐちゃになっている。」
そうハルトの体に外傷はひとつもなかった。しかし、内臓がひどく損傷していたのである。物理的な攻撃ではなく魔力的な攻撃でも食らったのだろう。ハルトは、気を失なっているどころか、瀕死状態だったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生後はゆっくりと
衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。
日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。
そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。
でも、リリは悲観しない。
前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。
目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。
全25話(予定)
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる