84 / 89
6章~正義の制裁者~
向ける善意と向けられる憎悪
しおりを挟む
「すまない」
ミシュリは一人一人気絶させていき、体を部下に運ばせ保護した。しかし、その数を増やしていくうちにその目撃者が増え、ミシュリはあらぬ疑いを掛けられるようになった。
「女に殺されたやつが何人もいる!その仲間に遺体を運ばせていた。奴が犯人だ。」
ミシュリは、これまでの事件の犯人にされてしまった。その上、やってもいない殺しまで疑われミシュリの名誉はズタボロだ。しかし、ミシュリは、これも人を守る為と唇を噛みながら自分のするべき事を為した。しかし、時間がたつに連れてそれは困難を増していく。さがしだして捕まえる対象が向こうからやってくる上に攻撃してくるのだから。それが敵であるなら戦闘能力的にも考えてミシュリは、目をつぶってでも殺せるだろう。しかし、向かってくる敵意を持った人間は、ミシュリにとって守るべき人間なのだからなるべく傷つけたくはないのだ。そのうちミシュリは、囲まれてしまった。
「守るというのは難しいものだ。いっそこのまま私が殺されてしまえば………」
と、ミシュリが抵抗する事をやめ武器を放し、目を瞑った。
「今だ殺せぇぇ!」
ミシュリを囲んだ人々は沸き上がった殺意のままにその刃をミシュリに突き立てた。
「お前今諦めただろ。犯人にされた自分が死ねば、人々は止まるって。何甘えてんだ!その後はどうする。暴動が一時的に止まったところであいつは殺しを止めない。犠牲が増えるだけだ。」
ミシュリは間一髪、ハルトのテレポートで助けられた。
「すまなかった。助けてくれてありがとう。」
「礼は後でして貰うからな。それよりも大半の人間は保護できた。あいつと接触は?」
「無かった。それどころか殺された人もいない。」
二人は辺りを見渡した。そこで一つの結論に至る。
「違う!そうじゃない!待ってたんだ!」
二人は慌てて保護した先へ向かう。
「リリィ!保護はできたか?」
「ハルくん遅いです。それになんですか?無理やり詰め込めって」
「ならいい。ルナ!ここら一体を木で覆って守りを固めろ出来れば根を張って地面まで埋めてくれ。」
ハルトの指示でルナが地面まで保護した直後に大きな地響きがした。
「攻撃された!アルビオン備えて!」
しかし、一回の爆撃で不可能を感じたのかそれ以降何も起こらなかった。そして、その爆撃は悪い事ばかりではなかった。無理やり収容され、不満を募らせ、リリィ達が黒幕なのではないかという疑念を和らげたからだ。事実ルナがいなければ建物もろとも木っ端微塵になっていただろう。そのおかげで、少なくとも敵意を見せる人はいなくなった。
「何これ……」
町でさまざまなことが起こっているころ。チカ達はいつも通りに稽古に励んでいた。しかし、あちらこちらに上がる煙に驚き不安を見せていた。
「姉ちゃん…」
一人が不安のあまりチカにしがみついた。
「大丈夫、お姉ちゃんが絶対守るから。」
そう言って、頭を撫でたチカの手は震えていた。何せ国全体が荒れているのだ。何が起きているのかも分からず不安にならない訳が無い。
ザッ……ザッ……
「誰だ!」
チカは、足音に気づき叫んだ。
「良かった……」
ハルトは、チカが無事かを確認しに来ていたのだ。
「ハルト?その体は何だ……?」
チカがハルトの姿を見て怯えている。両手には武器を持っていたのだ。そして、チカは慌てて町を見た。
「ハルトがやったの?」
「違う!そうじゃない!俺はチカを守りに来たんだ!」
しかし、一度パニックに陥ったチカの思考は止まることが無かった。チカは後ろを向き、守るべきものを再確認して拳を強く握った。
「大事な弟達は触れさせない。」
ハルトは、チカの本気の目にどうしていいか分からなくなった。ミシュリもこんな気持ちだったのだろうかと思いながらチカを見つめる。
「分かった。疑ってるなら好きなだけ攻撃しろ。俺は攻撃しない。」
ハルトはそう言って2本の剣を地面に捨てた。
チカは、迷い無くハルトに向かって走ってきた。その時ハルトは驚くべき行動に出た。地面に捨てた剣を慌てて拾いチカに向かって走ったのだ。
「やはりそうだったのか……」
二人の攻撃が互いに届く瞬間ハルトはチカを自分の元に引き付けた。
ガキン……
「えっ……」
チカは戸惑った。ハルトは武器を取ったのにも関わらずチカに対してその刃を向けていなかったのだから。チカは、その拳をハルトの腹に突き立てたのに対しハルトはチカを庇うように抱き締めたのだ。
「君は本当に勘がいい。よく気付いた。自分を犠牲にしてまでその女を守るなんて大した正義感だ。」
そうハルトはチカを亡霊の攻撃から守ったのだ。そこでようやくチカは自分の勘違いに気づく。
ミシュリは一人一人気絶させていき、体を部下に運ばせ保護した。しかし、その数を増やしていくうちにその目撃者が増え、ミシュリはあらぬ疑いを掛けられるようになった。
「女に殺されたやつが何人もいる!その仲間に遺体を運ばせていた。奴が犯人だ。」
ミシュリは、これまでの事件の犯人にされてしまった。その上、やってもいない殺しまで疑われミシュリの名誉はズタボロだ。しかし、ミシュリは、これも人を守る為と唇を噛みながら自分のするべき事を為した。しかし、時間がたつに連れてそれは困難を増していく。さがしだして捕まえる対象が向こうからやってくる上に攻撃してくるのだから。それが敵であるなら戦闘能力的にも考えてミシュリは、目をつぶってでも殺せるだろう。しかし、向かってくる敵意を持った人間は、ミシュリにとって守るべき人間なのだからなるべく傷つけたくはないのだ。そのうちミシュリは、囲まれてしまった。
「守るというのは難しいものだ。いっそこのまま私が殺されてしまえば………」
と、ミシュリが抵抗する事をやめ武器を放し、目を瞑った。
「今だ殺せぇぇ!」
ミシュリを囲んだ人々は沸き上がった殺意のままにその刃をミシュリに突き立てた。
「お前今諦めただろ。犯人にされた自分が死ねば、人々は止まるって。何甘えてんだ!その後はどうする。暴動が一時的に止まったところであいつは殺しを止めない。犠牲が増えるだけだ。」
ミシュリは間一髪、ハルトのテレポートで助けられた。
「すまなかった。助けてくれてありがとう。」
「礼は後でして貰うからな。それよりも大半の人間は保護できた。あいつと接触は?」
「無かった。それどころか殺された人もいない。」
二人は辺りを見渡した。そこで一つの結論に至る。
「違う!そうじゃない!待ってたんだ!」
二人は慌てて保護した先へ向かう。
「リリィ!保護はできたか?」
「ハルくん遅いです。それになんですか?無理やり詰め込めって」
「ならいい。ルナ!ここら一体を木で覆って守りを固めろ出来れば根を張って地面まで埋めてくれ。」
ハルトの指示でルナが地面まで保護した直後に大きな地響きがした。
「攻撃された!アルビオン備えて!」
しかし、一回の爆撃で不可能を感じたのかそれ以降何も起こらなかった。そして、その爆撃は悪い事ばかりではなかった。無理やり収容され、不満を募らせ、リリィ達が黒幕なのではないかという疑念を和らげたからだ。事実ルナがいなければ建物もろとも木っ端微塵になっていただろう。そのおかげで、少なくとも敵意を見せる人はいなくなった。
「何これ……」
町でさまざまなことが起こっているころ。チカ達はいつも通りに稽古に励んでいた。しかし、あちらこちらに上がる煙に驚き不安を見せていた。
「姉ちゃん…」
一人が不安のあまりチカにしがみついた。
「大丈夫、お姉ちゃんが絶対守るから。」
そう言って、頭を撫でたチカの手は震えていた。何せ国全体が荒れているのだ。何が起きているのかも分からず不安にならない訳が無い。
ザッ……ザッ……
「誰だ!」
チカは、足音に気づき叫んだ。
「良かった……」
ハルトは、チカが無事かを確認しに来ていたのだ。
「ハルト?その体は何だ……?」
チカがハルトの姿を見て怯えている。両手には武器を持っていたのだ。そして、チカは慌てて町を見た。
「ハルトがやったの?」
「違う!そうじゃない!俺はチカを守りに来たんだ!」
しかし、一度パニックに陥ったチカの思考は止まることが無かった。チカは後ろを向き、守るべきものを再確認して拳を強く握った。
「大事な弟達は触れさせない。」
ハルトは、チカの本気の目にどうしていいか分からなくなった。ミシュリもこんな気持ちだったのだろうかと思いながらチカを見つめる。
「分かった。疑ってるなら好きなだけ攻撃しろ。俺は攻撃しない。」
ハルトはそう言って2本の剣を地面に捨てた。
チカは、迷い無くハルトに向かって走ってきた。その時ハルトは驚くべき行動に出た。地面に捨てた剣を慌てて拾いチカに向かって走ったのだ。
「やはりそうだったのか……」
二人の攻撃が互いに届く瞬間ハルトはチカを自分の元に引き付けた。
ガキン……
「えっ……」
チカは戸惑った。ハルトは武器を取ったのにも関わらずチカに対してその刃を向けていなかったのだから。チカは、その拳をハルトの腹に突き立てたのに対しハルトはチカを庇うように抱き締めたのだ。
「君は本当に勘がいい。よく気付いた。自分を犠牲にしてまでその女を守るなんて大した正義感だ。」
そうハルトはチカを亡霊の攻撃から守ったのだ。そこでようやくチカは自分の勘違いに気づく。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生後はゆっくりと
衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。
日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。
そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。
でも、リリは悲観しない。
前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。
目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。
全25話(予定)
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる