クロスフューチャー

柊彩 藍

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6章~正義の制裁者~

死人との再会

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 ハルトは不意打ちによるチカへの攻撃を防ぐことに成功した。だが、その時チカに貰った一発の威力は重くハルトは、チカにもたれ掛かったあとずり落ちてしまった。
 「私の勘違いのせいで……」
 「いや、君は悪くないだろう。そいつもこうなることを承知で君を守ったのだから。」
 亡霊は、塀の上に立ちチカたちを見下ろしながら言った。
 「この惨状はお前の仕業か」
 「そうと、言えばそうなのだが。少し違うなあれは人々が選んだ結末であり、人々が見ない振りをしてきた犠牲の惨状だ。」
 チカは、怒りに任せて一撃を食らわせようと踏み込んだときに、その怒りが薄れていってしまった。それは風によって剥がれたフードのしたの素顔を見てしまったからだ。
 「イ……ヴァ……ン?」
 「そうか、お前はあれかテオの姉か」
 「と言うことは。やっぱりあなたはイヴァン・グルーヴで間違いないんだね。だったら何でこんなことをしてるのさ!」
 そうチカと亡霊、イヴァンは知り合いだったのだ。
 
 それはまだ、王国時代の話だった。
 「イヴァン!今日は、どこに行ってたの?」
 「ん?テオか。今日はあの洞窟の中を探検してきた。」
 イヴァンと、チカの弟テオは仲がとてもよくテオにとって血の繋がってない兄のような人だった。イヴァンは、ふらふらと、どこかへ行っては他所の地域の話やたくさんの食料を持って帰って来た。その影響もあってか、テオは旅をすることに憧れるようになり。成長するにつれてイヴァンの旅に着いていくようになった。チカの本心としては弟がいないことに寂しさを感じてはいたが楽しそうな弟の表情を見て止めることは出来なかった。
 そして、テオは王国の革命を見ないまま好奇心の為に外へ出たいってしまった。その頃、イヴァンの働きにより生活はそれほど苦しくは無かった為、テオも、姉の事を心配することなく旅に出掛けることができた。チカにとってイヴァンは、テオの面倒を見てくれ自分達の食材の面倒を見てくれた恩人でもあるのだ。しかし、さらにいうと、ある理由によりチカは、イヴァンが死んだとも思っていた。それは、革命の時、サラディンの側で武力として支えていたのだが、とあるゲリラ作戦の最中にイヴァン率いる部隊が炎に焼かれてしまったときいていたからだ。
 
 「生きていたならなぜ顔を見せなかった!?」
 チカは、昔よくしてくれていた人間がこのような事件を引き起こしていることをまだ信用しきれていないのだ。
 「顔を見せられなかったからな。ひどい火傷のせいでうごけなかったから。シモンっていう魔導師が助けてくれなければ確実に死んでいた。」
 そう言って、イヴァンはチカから去っていった。そのときに、イヴァンは少し後悔したような表情を見せた。少なくとも、チカにはそう感じられた。
 
 しばらくしてあとから追い掛けてきた蓮が到着した。
 「無事か!?」
 蓮は、かなり心配した様子で駆けつけてきたがやがてその真剣な表情は、一変してしまう。そう、羨ましさでそこを代われと言わんばかりの顔で気絶したハルトとチカ、そして子供達の安否を確認した。さらに周りに敵がいないことを確認し、そしてこう言いはなった。
 「羨ましい!」
 そう、蓮にはその感情しかなかった。なぜなら気絶したハルトは、チカによって気持ち良さそうに寝ていたからだ。それも、男の憧れである膝枕で!蓮にとってはゆゆしき事態であった。国の平和?人の安否?そんな者はどうでもいい、いち早くハルトを起こし、その羨ましい状態から引き剥がさなければ……!それだけが誰にも求められてもいない蓮に課せられた使命であった。
 「ちょっ…まだ、気絶してる…」
 チカが蓮を引き留めようとしたが蓮の意志は固かった。ハルトを担ぎ上げてその場を去ろうとした時蓮は一言残していった。
 「子供を連れてあの倉庫を目指せ。そこで俺の仲間が助けてくれる。」
 しかし、チカは蓮を引き留めた。
 「私も何か出来ることがないか?」
 蓮はその子供を守れとだけ言い残し去っていった。それは町を守る為でもやるべきことがあるわけでもなく、ただそれを引き剥がしたかったからだ。実際、ハルトを別の場所に移した後に、子供達に危険が及ばないように密かにカバーしていたのだ。
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