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6章~正義の制裁者~
惨状の中で
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「クソッ、こんなに揺らいでたらどっちにもなれやしねぇ」
イヴァンは1人混乱する町を眺めて、覚悟の弱さを責めた。
「蓮!チカは無事か!?」
気絶していたハルトはようやく目を覚ましチカの安否を確認した。
「当然。あのおっぱいを傷つけさせる訳がないだろ?」
蓮の通常(変態)運転はともかくチカ達が無事で何よりだと胸を撫で下ろす気持ちだった。
「それであいつはどこにいる?」
「全く。何をしてるのか検討もつかん。動きが無さすぎるのが逆に不安だ。今ミシュリが探しているらしい。」
その名を口にしたとたん蓮は口をつぐんだ。そして、その重い口を再び開く。
「ハルト、俺はお前を信用してるし信頼もしてる。ただなぜあの女と共闘していることを言ってくれなかった。」
弟を殺された組織の一員と、共闘しているとなれば気持ちのいい話ではないのだろうが、ハルトにはむしろミシュリがあのような組織にいるのが不思議なくらいに思えていた。
「話してなかったことは悪かった。けど、俺はあいつは少し違うと思う。もし間違ってたらミシュリを殺したあとに俺に何でもすればいい。殺すのも痛め付けるのも俺は拒まない。」
蓮は、ハルトに考えがあって共闘しているのだろうと理解はしていた。だから、ハルトが何かしらミシュリに思うことがあるのは間違いないと思っていたのだが、予想を遥かに上回る思いが感じられたので少し言葉がつまってしまった。
「別にどうこう、しようって話じゃねぇよ。ただ少し気になっただけだ。」
そして、二人はイヴァンを探しはじめた。
イヴァンは比較的すぐに見つかった。
「これで終わりだ。」
状況は2対1。さらに蓮とハルトという比較的戦闘能力の高い二人が揃っている。
「俺はまだ、終わらねぇ。俺以外の全ての偽善を消し去った時が俺の最期だ。それまでは、絶対に止まれない。」
しかし、ハルトは既に勝った気でいた。それは2対1どころの優位差出はなかったからだ。イヴァンの遥か後方で、スコープのレンズが反射するのを確認した。そう、2対1ではなく3対1だったからだ。さらにそれはイヴァンの知るよしもない状況である。イヴァンの血飛沫をもって、この戦いは終止符をうつだろうと誰もが思っていた。
「そう例え背後から狙撃されようと…」
イヴァンは、軽々と迫り来る銃弾を弾いて見せた。それは誰もが驚くべき光景であり?また、ハルト達の想定外であったため完全に虚をつかれてしまっていた。その一瞬の間に、イヴァンは振り向き深く被っていたフードをとった。後ろから、ハルトが攻撃を仕掛けようとしたが、完全な不意打ちであった筈の正確無比な背後からのミシュリの狙撃をいとも容易く防いだことが脳裏に焼き付き動けなかった。更に、動きが止まったのはハルトだけではない。ミシュリも、次弾を撃たずに銃口を下に向けてしまった。
「久しぶりだな」
そう、ミシュリもまた革命に参加していた人物であり、イヴァンを知る人物なのである。当然知り合いであるゆえ共に武器をとり立ち上がった戦友なのだ。
「なぜお前がここにいるお前の隊は全滅したのではなかったのか」
ミシュリは、戦術的な指示も行っていた為各隊の戦績を把握している。勿論、死亡の確認も。特にイヴァンの場合隊の長を努めており戦績もトップクラスであった為名前も顔も一致する存在であった。
「俺は、ある男に助けられた。それは、どうでもいいのだがな。今は俺が成すべき事を見つけた。」
「それがこんな惨状だと言うのか!」
ミシュリは、激怒した。武器をとり血相を変えて町中を駆け回る民の姿を善しと捉えるものがいるのだろうか。ミシュリは、この国の革命を助けた人物であるため、その分民への思いやりもある。そんなものがないハルトでさえこれは最悪の状況だった。仮にサラディンの死を節目に幕引きを考えていたとしても、見せしめのように磔台に死体を掲げればこうなることは予想は出来た筈だ。かつて正義を求め立ち上がった者とは思えない。
「ミシュリ、よそ者だったあんたに聞くのもおかしいかもしれないがあの戦いに正義はあったと思うか?」
「当然だ!我々の戦いの成果が、これまで繋いできた平和な暮らしだったではないか。貴様は、それをないがしろにしようとしているのだぞ!」
ミシュリの怒りは治まる事を知らない。
「本当に正義があったと言えるのか?その正義に偽りは無かったといえるのか?」
イヴァンは1人混乱する町を眺めて、覚悟の弱さを責めた。
「蓮!チカは無事か!?」
気絶していたハルトはようやく目を覚ましチカの安否を確認した。
「当然。あのおっぱいを傷つけさせる訳がないだろ?」
蓮の通常(変態)運転はともかくチカ達が無事で何よりだと胸を撫で下ろす気持ちだった。
「それであいつはどこにいる?」
「全く。何をしてるのか検討もつかん。動きが無さすぎるのが逆に不安だ。今ミシュリが探しているらしい。」
その名を口にしたとたん蓮は口をつぐんだ。そして、その重い口を再び開く。
「ハルト、俺はお前を信用してるし信頼もしてる。ただなぜあの女と共闘していることを言ってくれなかった。」
弟を殺された組織の一員と、共闘しているとなれば気持ちのいい話ではないのだろうが、ハルトにはむしろミシュリがあのような組織にいるのが不思議なくらいに思えていた。
「話してなかったことは悪かった。けど、俺はあいつは少し違うと思う。もし間違ってたらミシュリを殺したあとに俺に何でもすればいい。殺すのも痛め付けるのも俺は拒まない。」
蓮は、ハルトに考えがあって共闘しているのだろうと理解はしていた。だから、ハルトが何かしらミシュリに思うことがあるのは間違いないと思っていたのだが、予想を遥かに上回る思いが感じられたので少し言葉がつまってしまった。
「別にどうこう、しようって話じゃねぇよ。ただ少し気になっただけだ。」
そして、二人はイヴァンを探しはじめた。
イヴァンは比較的すぐに見つかった。
「これで終わりだ。」
状況は2対1。さらに蓮とハルトという比較的戦闘能力の高い二人が揃っている。
「俺はまだ、終わらねぇ。俺以外の全ての偽善を消し去った時が俺の最期だ。それまでは、絶対に止まれない。」
しかし、ハルトは既に勝った気でいた。それは2対1どころの優位差出はなかったからだ。イヴァンの遥か後方で、スコープのレンズが反射するのを確認した。そう、2対1ではなく3対1だったからだ。さらにそれはイヴァンの知るよしもない状況である。イヴァンの血飛沫をもって、この戦いは終止符をうつだろうと誰もが思っていた。
「そう例え背後から狙撃されようと…」
イヴァンは、軽々と迫り来る銃弾を弾いて見せた。それは誰もが驚くべき光景であり?また、ハルト達の想定外であったため完全に虚をつかれてしまっていた。その一瞬の間に、イヴァンは振り向き深く被っていたフードをとった。後ろから、ハルトが攻撃を仕掛けようとしたが、完全な不意打ちであった筈の正確無比な背後からのミシュリの狙撃をいとも容易く防いだことが脳裏に焼き付き動けなかった。更に、動きが止まったのはハルトだけではない。ミシュリも、次弾を撃たずに銃口を下に向けてしまった。
「久しぶりだな」
そう、ミシュリもまた革命に参加していた人物であり、イヴァンを知る人物なのである。当然知り合いであるゆえ共に武器をとり立ち上がった戦友なのだ。
「なぜお前がここにいるお前の隊は全滅したのではなかったのか」
ミシュリは、戦術的な指示も行っていた為各隊の戦績を把握している。勿論、死亡の確認も。特にイヴァンの場合隊の長を努めており戦績もトップクラスであった為名前も顔も一致する存在であった。
「俺は、ある男に助けられた。それは、どうでもいいのだがな。今は俺が成すべき事を見つけた。」
「それがこんな惨状だと言うのか!」
ミシュリは、激怒した。武器をとり血相を変えて町中を駆け回る民の姿を善しと捉えるものがいるのだろうか。ミシュリは、この国の革命を助けた人物であるため、その分民への思いやりもある。そんなものがないハルトでさえこれは最悪の状況だった。仮にサラディンの死を節目に幕引きを考えていたとしても、見せしめのように磔台に死体を掲げればこうなることは予想は出来た筈だ。かつて正義を求め立ち上がった者とは思えない。
「ミシュリ、よそ者だったあんたに聞くのもおかしいかもしれないがあの戦いに正義はあったと思うか?」
「当然だ!我々の戦いの成果が、これまで繋いできた平和な暮らしだったではないか。貴様は、それをないがしろにしようとしているのだぞ!」
ミシュリの怒りは治まる事を知らない。
「本当に正義があったと言えるのか?その正義に偽りは無かったといえるのか?」
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