クロスフューチャー

柊彩 藍

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0章~プロローグ~

プロローグ

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俺は魔王の息子として生まれた。人を殺し、動物を殺し、土地を更地に、親に言われるがままにありとあらゆるものを破壊していた。たちまち、俺は魔界の巨大戦力となった。その時俺はまだ五歳だったがもうすでに精神状態がおかしかった。ただただ無感情だった。喜怒哀楽の全てが欠けていた、更には欲望さえ俺の心に存在しなかった。いや、心なんてものは、俺に存在しなかったのかもしれない。やがて10才になったころ、俺はひとつの戦場にかり出された。俺はいつものように自分の持つ力を使いその戦場を炎で包み込んだ。俺は何故かその炎の中を一人で歩いた。そのなかで聞こえてくるのは『悲鳴』ただそれだけだった。見えるのは絶望しながら死んでいく生き物だけ、しかしその風景にひとつ目が離せないものがあった。それは母親が娘を抱いて
 「私は足を怪我したから動けないの、私をおいて逃げなさい、せめて…あなたは生きて…」そう言いながら死んでいく姿だった。その光景は俺に感情と光を与えた。俺はこの光景を見てその母親に憧れた、かっこいいと思った。今まで破壊しか行って来なかった俺に守るという概念を与えた。そうして俺は決意した、もう誰も殺さないと…
 ただし、魔王の息子がこんな決意を抱いていては、国の中で反乱がおき得ない、そう感じた俺は現在の魔王、俺の親父にこの決意を告げた。当然親父には怒られ、弟がいたのだが、その弟にも蔑まれ、独房にぶちこまれていた。5年後、俺は釈放された、ただ一人の少女を殺すことと引き換えに…
 ギャラリーが騒ぐなか、俺の決意は揺るがなかった。この少女を逃がす。そのために俺の力を使うと。
 「さあ、殺せ!我が息子よ!」
 「殺さない…決してこの少女殺さない!」
 「そうか、残念だ。ならばここで死ね!」
 「うおおおおおお!」
 途中までは持ちこたえていたがやがて相手は数で攻めてきて、俺の肉をさいた。
 「もう、どこもうごかねぇや、なああんた何て言う名前なんだ?」
 「ミシェル・アーネットです。さあその力で私を殺して下さい。」彼女は死ぬ覚悟を決めているようだった。
 「ミシェルか、ごめんな守ってやれなくて」
 「はやく…はやく、私を殺して下さい!どのみち殺される命です。でないと…でないとあなたが…」こんな時でも俺の身をあんじてくれているのか、なんて優しい心の持ち主なんだ。
 「いいんだ、これで俺は俺の決意を果たした。それだけだ。君を守れなかったのは、俺が死んでも償いきれない。だから、いいんだ。」魔王の息子になんて生まれなければ良かった心からそう思った。
 (あぁ、もし生まれ変われるなら破壊するだけの力じゃなくて、人を守れる力が欲しい)   
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