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3章~最強の剣士現れる?!~
無型
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「「迅、今日の勝負は5本だ。」
「いいけど、また負けが増えるよ?兄さんまだ勝ったことないんだから。」僕には単純に数をこなしたいだけだとこの時は思っていた。
「今まであとちょっとのところまで言ったことが何回かあっただろ?だから、勝てる!」確かに最近僕は兄さんに勝ってもギリギリで勝つことが珍しくなかった。
「いいよ!」
「じゃあはじめるぞ!」開始した直後目の前から兄さんが消えた。
「え?」するとそのすぐ後に僕の剣が宙を舞っていた。
「よし一本!な?勝てただろ?」僕は目の前で起きたはずの事なのに何が起きていたのか理解できなかった。
「じゃあ次行くぞ!」また兄さんが消えた。何か魔法でも使わないとこんなのは無理だ。
「はい、もう一本。」あっさりとやられてしまった。
「兄さんどうやって…目の前で何が起きてるのか全く分からないんだけど」
「ちゃんと見てたか?同じことやるからしっかり見とけよ?」
「はじめ!」次の瞬間やっと何が起きていたのか理解できた。けれどもそれではもう遅かった。兄さんはたったの一ふみで僕の懐まで潜り込んでいた。ここまでこられていたらここに来ると分かっていないと止められっこない。
「やった。3本目。」
「兄さん速すぎだよ!」
「まあ、剣以外でもトレーニングはしてたからな。このまま5本とってやるぜ。」
「もうどこにくるか分かったからそんなに簡単にはやられないよ。」
「さあ、それはどうだろうね。俺が見せたのはまだアレだけだから。」
「じゃあもう一回!」兄さんは最初の3本と同様に懐にもぐりこんできた。ここから僕の剣を弾く事は分かってる。だったらそれを止めるまで!
「な!」
兄さんに向かって剣を振り下ろした。はずなのに、そこに兄さんがいない?どこに?
「迅、剣士たるもの背中は開けたらいけないなぁ」後ろから肩をポンと叩かれた。
「いつの間に?!」
「懐に飛び込んだあと、そのままもう一歩踏み込んで迅の背後に回っただけ。型にはまった動きだと無駄が多いからな。何も構えない、自由な形の方が相手の無駄に付け入ることができる!名付けて「無型」だ!」
「そのままだし。それにしてもこの型は隙が無いことが強さなのにどうして?」
「型にはまりすぎてるからだよ。型にはまりすぎてるがゆえに動きに変化がないそれに急速な動きに対応出来ない」
「じゃあ先に攻撃されたら。兄さんは負けるんじゃ?」
「じゃあやってみな。俺は迅が動くまで動かない。」
「ホントに?」
「ホントだって何なら剣を地面においててもいいよ」
「それは、流石にいいよ。じゃあいくよ!」
「迅、狙う所分かりやすすぎ」第一撃を止められた。だけどそれは、想定内だ。
「兄さんまだ、終わってないよ」
「俺の剣を弾いて右上から振り下ろす」兄さんが呟いた一言は確かに僕が考えていた次の行動をバッチリ当てた。
「何でそれを…」けど、ここまできたら動きを変えられない。
「気ぃ抜いてるとやられるぞ」兄さんはそう言ったが、剣を落とすことはできなくても確実に腕を弾くことができた。
「分かってても弾かれてたら意味がないじゃないか」
「バーカ、わざとだよ」
カランカランカラン
「痛った~」手首に猛烈な痛みがはしった。
「これが木刀で良かったな」
「確かに剣を弾いたはずなのにどうして」
「持ち替えただけだぞ?」
「持ち替えるってどういう風に」
「こんな感じ」弾かれたと同時に剣を逆さに持ち替えていた。おそらくそれで僕の手首に当てたのだろう。
「そんなので的確に僕の手首を…(強い強すぎる)」
「初めての勝利にして全勝!」親指を立てて、笑顔で勝ちを感じていた。
「兄さん…」けど、このままじゃ終われない。
「何?」
「もう一回…もう一回やろう」
「いいよ。」
「けど、このままだと俺が瞬殺してしまうから、相手がまいったって言うまで勝負は続行する。だから、勝利条件は相手に『まいった』って言わせたらだ。」
「わかった。」
「まあ、何回でも立ち上がれるからがんばれー」何回も倒されるものか。
「知らないよ僕意外と諦め悪いから」
「臨むところだな」
「いきなりあわせてくるとは思わなかったな」勝負が始まってすぐに木刀と木刀がぶつかる音が静かな夜の森に鳴り響いた。
「だいぶ賭けだったけどね。兄さんはもう一回懐に入ってくれると思ったから」
「けどその先が分かってないと意味がない」
グラッ
「僕はこかされたのか?」
「ああ、俺がこかした」
「剣で勝負しろよ!」
「してるじゃん。それに相手が何するか何で自分の常識のなかだけどとある程度までしか分からないよ」
「相手が何するか分からないからこかすのもありか。汚いけど実際はそうだよね。」足をかける。それも戦い方のひとつだ。
「でも、僕はまだ、できるよ。」
「おう!そうこなくっちゃな」
「次は、僕からだね」
「うおっ、迅。速度上がったな。これが最大か。まだ、遅いけど。」
「兄さん周りは良く見とくべきだよ」兄さんの後ろに太い木の枝が迫っていた。
「何だ忠告か?それとも気を逸らしたいのか?」
ドン
「キュー~~」後頭部を強打した。
「大丈夫?アレ、言ってもいいんだよ?」
「まいった?」
「え?」
「そんなの言うわけ無いじゃん。」
「ごめん兄さんそんなつもりじゃなかったんだけど…」
「どうした?…あれ?もしかして?」兄さんは気づいたみたいだ。
「そう、それ」
「何か変なとこで負けたぁ」
「聞かなかった事にしてもいいけどどうする?本当にまいったわけじゃないんだし。」
「いや、負けは負けだ。それだけは理由はどうであれ変わらない」
「何か僕が勝った気しないんだけど」
「じゃあまたやろうぜ!勝負!」
「まったく兄さんは、その事しか頭に無いんじゃない?でも次は僕が勝つから」
「まあ、楽しみにしといてやる。」
これから僕らはいつもの場所で1日5本、勝負するようになった。その日々はとても楽しかった。そして、こんな日々に終わりは来ないと思っていた。あの事件が起こるまでは…」
「いいけど、また負けが増えるよ?兄さんまだ勝ったことないんだから。」僕には単純に数をこなしたいだけだとこの時は思っていた。
「今まであとちょっとのところまで言ったことが何回かあっただろ?だから、勝てる!」確かに最近僕は兄さんに勝ってもギリギリで勝つことが珍しくなかった。
「いいよ!」
「じゃあはじめるぞ!」開始した直後目の前から兄さんが消えた。
「え?」するとそのすぐ後に僕の剣が宙を舞っていた。
「よし一本!な?勝てただろ?」僕は目の前で起きたはずの事なのに何が起きていたのか理解できなかった。
「じゃあ次行くぞ!」また兄さんが消えた。何か魔法でも使わないとこんなのは無理だ。
「はい、もう一本。」あっさりとやられてしまった。
「兄さんどうやって…目の前で何が起きてるのか全く分からないんだけど」
「ちゃんと見てたか?同じことやるからしっかり見とけよ?」
「はじめ!」次の瞬間やっと何が起きていたのか理解できた。けれどもそれではもう遅かった。兄さんはたったの一ふみで僕の懐まで潜り込んでいた。ここまでこられていたらここに来ると分かっていないと止められっこない。
「やった。3本目。」
「兄さん速すぎだよ!」
「まあ、剣以外でもトレーニングはしてたからな。このまま5本とってやるぜ。」
「もうどこにくるか分かったからそんなに簡単にはやられないよ。」
「さあ、それはどうだろうね。俺が見せたのはまだアレだけだから。」
「じゃあもう一回!」兄さんは最初の3本と同様に懐にもぐりこんできた。ここから僕の剣を弾く事は分かってる。だったらそれを止めるまで!
「な!」
兄さんに向かって剣を振り下ろした。はずなのに、そこに兄さんがいない?どこに?
「迅、剣士たるもの背中は開けたらいけないなぁ」後ろから肩をポンと叩かれた。
「いつの間に?!」
「懐に飛び込んだあと、そのままもう一歩踏み込んで迅の背後に回っただけ。型にはまった動きだと無駄が多いからな。何も構えない、自由な形の方が相手の無駄に付け入ることができる!名付けて「無型」だ!」
「そのままだし。それにしてもこの型は隙が無いことが強さなのにどうして?」
「型にはまりすぎてるからだよ。型にはまりすぎてるがゆえに動きに変化がないそれに急速な動きに対応出来ない」
「じゃあ先に攻撃されたら。兄さんは負けるんじゃ?」
「じゃあやってみな。俺は迅が動くまで動かない。」
「ホントに?」
「ホントだって何なら剣を地面においててもいいよ」
「それは、流石にいいよ。じゃあいくよ!」
「迅、狙う所分かりやすすぎ」第一撃を止められた。だけどそれは、想定内だ。
「兄さんまだ、終わってないよ」
「俺の剣を弾いて右上から振り下ろす」兄さんが呟いた一言は確かに僕が考えていた次の行動をバッチリ当てた。
「何でそれを…」けど、ここまできたら動きを変えられない。
「気ぃ抜いてるとやられるぞ」兄さんはそう言ったが、剣を落とすことはできなくても確実に腕を弾くことができた。
「分かってても弾かれてたら意味がないじゃないか」
「バーカ、わざとだよ」
カランカランカラン
「痛った~」手首に猛烈な痛みがはしった。
「これが木刀で良かったな」
「確かに剣を弾いたはずなのにどうして」
「持ち替えただけだぞ?」
「持ち替えるってどういう風に」
「こんな感じ」弾かれたと同時に剣を逆さに持ち替えていた。おそらくそれで僕の手首に当てたのだろう。
「そんなので的確に僕の手首を…(強い強すぎる)」
「初めての勝利にして全勝!」親指を立てて、笑顔で勝ちを感じていた。
「兄さん…」けど、このままじゃ終われない。
「何?」
「もう一回…もう一回やろう」
「いいよ。」
「けど、このままだと俺が瞬殺してしまうから、相手がまいったって言うまで勝負は続行する。だから、勝利条件は相手に『まいった』って言わせたらだ。」
「わかった。」
「まあ、何回でも立ち上がれるからがんばれー」何回も倒されるものか。
「知らないよ僕意外と諦め悪いから」
「臨むところだな」
「いきなりあわせてくるとは思わなかったな」勝負が始まってすぐに木刀と木刀がぶつかる音が静かな夜の森に鳴り響いた。
「だいぶ賭けだったけどね。兄さんはもう一回懐に入ってくれると思ったから」
「けどその先が分かってないと意味がない」
グラッ
「僕はこかされたのか?」
「ああ、俺がこかした」
「剣で勝負しろよ!」
「してるじゃん。それに相手が何するか何で自分の常識のなかだけどとある程度までしか分からないよ」
「相手が何するか分からないからこかすのもありか。汚いけど実際はそうだよね。」足をかける。それも戦い方のひとつだ。
「でも、僕はまだ、できるよ。」
「おう!そうこなくっちゃな」
「次は、僕からだね」
「うおっ、迅。速度上がったな。これが最大か。まだ、遅いけど。」
「兄さん周りは良く見とくべきだよ」兄さんの後ろに太い木の枝が迫っていた。
「何だ忠告か?それとも気を逸らしたいのか?」
ドン
「キュー~~」後頭部を強打した。
「大丈夫?アレ、言ってもいいんだよ?」
「まいった?」
「え?」
「そんなの言うわけ無いじゃん。」
「ごめん兄さんそんなつもりじゃなかったんだけど…」
「どうした?…あれ?もしかして?」兄さんは気づいたみたいだ。
「そう、それ」
「何か変なとこで負けたぁ」
「聞かなかった事にしてもいいけどどうする?本当にまいったわけじゃないんだし。」
「いや、負けは負けだ。それだけは理由はどうであれ変わらない」
「何か僕が勝った気しないんだけど」
「じゃあまたやろうぜ!勝負!」
「まったく兄さんは、その事しか頭に無いんじゃない?でも次は僕が勝つから」
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