37 / 41
中等部
修学旅行
しおりを挟む
早くも中学生活の修学旅行。
小等部の時のような事件はないとは思うが、警戒に越したことはない。
なので、私は(元)死亡フラグ持ちの悠真と一緒の班になった。
「水永様。今回の修学旅行の場所についてなのですが‥‥」
「ん?なんだ?」
次の場所について、バスの中で相談をする。
対して問題が起こるような場所ではないのだが、やはり小等部のこともあり、私と悠真は目を光らせている。
「本日回る金閣寺はクラスで回るので問題は無いと思います。ですが、問題は明日の奈良公園ですわね」
「ああ。そうだな。先輩の話を聞くと、去年は奈良公園で生徒が制服を食べられそうになり、逃げた生徒が危うく迷子になるところだったらしい。奈良公園は生徒だけで回るからな」
「はぁー‥‥そんなことがないといいのですが‥‥‥こればかりは奈良公園の鹿次第ですわね」
「ハハハ‥鹿が腹を好かせていなければいいがな」
そんな軽口をたたく悠真の顔は、心配でたまらないという顔をしていた。
小等部では人と関わらなかった悠真だが、最近ではクラスの男子生徒と話す姿が見られ始めている。それを考えると、悠真がゲームプレイヤーだった時ように、冷たい印象として捉えることができない。
「‥‥‥私は少し仮眠をとりますわ」
「わかった。着いたら起こす」
「お願い致します」
私は悠真の成長に喜びを感じながら、修学旅行先の奈良・京都へと向かう。
「皆様?鹿はただ皆様が好きなだけなのです。ですから、制服を食べられそうになっても、決して慌ててはなりません。わかりましたか?」
「はい!」×取り巻き
「ふぅー」
私の取り巻き( 決して私が自ら作ったものでは無い )にはちゃんと言い聞かせたが、悠真の方はどうなのだろうか。残りのクラスメイトには、悠真の方から注意をしてもらっている。私の事を嫌う者は、だいたいが悠真の事を好んでいるからだ。
私と悠真はクラスでも喋るのだが、私に対して敬語を使わず、素で対応しているから、そこを評価して悠真の方についているのだろう。
悪い考えでは無いと私は思うが、それが将来どうなるのかは、その人しだいというところだ。
「鹿せんべいをください」
「はい。鹿せんべいね」
「お、大友様!」
「?」
奈良公園にある鹿せんべいを買おうとすると、一人の取り巻き令嬢に止められた。
何かと首を傾げると、令嬢は少し躊躇いながらも反抗してきた。
「お、大友様。何故大友様が自らお買いになるのですか?そんなこと、召使いに命じればいいではありませんか」
勇気ある令嬢の言葉に、他の令嬢達も首を縦に振って同意している。
なるほど、この人達は生徒だけで奈良公園を回っている意味が分かっていないらしい。
確かに、今回っているのは、第三者からすれば令嬢達だけなのだが、実際はそうではないだろう。SPなどが影から見守っているに違いない。
「‥‥‥皆様。今、ここに召使いがいますか?」
「い、いません」
「では、どのようにして召使いに命じるのですか?」
「それは、そこにいる方に命じればいのでは?」
そう言って取り巻き令嬢が指さしたのは、道を歩いている一般人の人だった。
それを知った私は、口が開きそうになるのを頑張って我慢して、引き攣り笑いに押さえ込んだ。
「皆様‥‥一般の方に命じては、私達が生徒だけで回っている意味がありませんわ」
「??」×取り巻き
「‥‥はぁー。私が思うに、これは、私達に一般常識が少しでも身についているか。一般の方の気持ちになって考えることが出来るか。それを見るテストだも思うのです」
「??」×取り巻き
「‥‥‥つまりは、私達は今、試されているのです‥‥会社の上に。一般人である部下への思いやりなどができる人物であるかを」
「!!」×取り巻き
やっと理解ができたのか、取り巻き令嬢達は、一気に一人で買い物を頑張り始めた。
「お、お嬢ちゃん‥‥どこかのお嬢様なのかい?」
「店先で申し訳ありません。少しの間ですがお力をお貸しください」
「あ、ああ」
私が金持ちのお嬢様だと分かったのか、店員が冷や汗を垂らしながら私に鹿せんべいの入った袋を渡してきた。
「つっかれたー」
ホテルに帰ると、私はすぐにベッドにダイブした。
「お嬢様。人がいないからと、そのような立ち振る舞いは‥‥」
「あーいいのいいの。ここには涼。貴方しかいないから」
涼は、私の専用メイドだ。
今までは、家での私の身の回りの事をしてくれていたが、今回の修学旅行に一人付き人を連れてきてよかった。だから、涼を連れてきた。
「涼~お風呂準備できてる~?」
「はい。出来ております」
「なら入る~。準備よろしく~」
「了解致しました」
「‥‥‥うんしょ」
涼にバスローブなどの用意をしてもらっている間に、私は部屋につく風呂場に移動し、服を脱ぐ。
ホテルでは基本自由だ。
朝の食事は点呼も兼ねて、ホテルのレストランで食べなければならないのだが、それ以外の食事は部屋でとっても怒られない。風呂も大浴場・部屋についている風呂。どちらを使っても構わない。
多くのビックな人が使うこのホテルは、セキュリティが固い。なので、生徒は大浴場を使う人が多いが、私は部屋についているのを使う。
「風呂ぐらいはゆっくり入りたいもんね~はぁー」
体を洗い湯船に浸かると、丁度いい温度が私を包んだ。
修学旅行は4泊5日。今日はその二日目。
「‥‥‥持つかな~この疲れ方」
一日で予想以上に疲れた自分の体に、私は簡単なマッサージをしながらそう呟いた。
小等部の時のような事件はないとは思うが、警戒に越したことはない。
なので、私は(元)死亡フラグ持ちの悠真と一緒の班になった。
「水永様。今回の修学旅行の場所についてなのですが‥‥」
「ん?なんだ?」
次の場所について、バスの中で相談をする。
対して問題が起こるような場所ではないのだが、やはり小等部のこともあり、私と悠真は目を光らせている。
「本日回る金閣寺はクラスで回るので問題は無いと思います。ですが、問題は明日の奈良公園ですわね」
「ああ。そうだな。先輩の話を聞くと、去年は奈良公園で生徒が制服を食べられそうになり、逃げた生徒が危うく迷子になるところだったらしい。奈良公園は生徒だけで回るからな」
「はぁー‥‥そんなことがないといいのですが‥‥‥こればかりは奈良公園の鹿次第ですわね」
「ハハハ‥鹿が腹を好かせていなければいいがな」
そんな軽口をたたく悠真の顔は、心配でたまらないという顔をしていた。
小等部では人と関わらなかった悠真だが、最近ではクラスの男子生徒と話す姿が見られ始めている。それを考えると、悠真がゲームプレイヤーだった時ように、冷たい印象として捉えることができない。
「‥‥‥私は少し仮眠をとりますわ」
「わかった。着いたら起こす」
「お願い致します」
私は悠真の成長に喜びを感じながら、修学旅行先の奈良・京都へと向かう。
「皆様?鹿はただ皆様が好きなだけなのです。ですから、制服を食べられそうになっても、決して慌ててはなりません。わかりましたか?」
「はい!」×取り巻き
「ふぅー」
私の取り巻き( 決して私が自ら作ったものでは無い )にはちゃんと言い聞かせたが、悠真の方はどうなのだろうか。残りのクラスメイトには、悠真の方から注意をしてもらっている。私の事を嫌う者は、だいたいが悠真の事を好んでいるからだ。
私と悠真はクラスでも喋るのだが、私に対して敬語を使わず、素で対応しているから、そこを評価して悠真の方についているのだろう。
悪い考えでは無いと私は思うが、それが将来どうなるのかは、その人しだいというところだ。
「鹿せんべいをください」
「はい。鹿せんべいね」
「お、大友様!」
「?」
奈良公園にある鹿せんべいを買おうとすると、一人の取り巻き令嬢に止められた。
何かと首を傾げると、令嬢は少し躊躇いながらも反抗してきた。
「お、大友様。何故大友様が自らお買いになるのですか?そんなこと、召使いに命じればいいではありませんか」
勇気ある令嬢の言葉に、他の令嬢達も首を縦に振って同意している。
なるほど、この人達は生徒だけで奈良公園を回っている意味が分かっていないらしい。
確かに、今回っているのは、第三者からすれば令嬢達だけなのだが、実際はそうではないだろう。SPなどが影から見守っているに違いない。
「‥‥‥皆様。今、ここに召使いがいますか?」
「い、いません」
「では、どのようにして召使いに命じるのですか?」
「それは、そこにいる方に命じればいのでは?」
そう言って取り巻き令嬢が指さしたのは、道を歩いている一般人の人だった。
それを知った私は、口が開きそうになるのを頑張って我慢して、引き攣り笑いに押さえ込んだ。
「皆様‥‥一般の方に命じては、私達が生徒だけで回っている意味がありませんわ」
「??」×取り巻き
「‥‥はぁー。私が思うに、これは、私達に一般常識が少しでも身についているか。一般の方の気持ちになって考えることが出来るか。それを見るテストだも思うのです」
「??」×取り巻き
「‥‥‥つまりは、私達は今、試されているのです‥‥会社の上に。一般人である部下への思いやりなどができる人物であるかを」
「!!」×取り巻き
やっと理解ができたのか、取り巻き令嬢達は、一気に一人で買い物を頑張り始めた。
「お、お嬢ちゃん‥‥どこかのお嬢様なのかい?」
「店先で申し訳ありません。少しの間ですがお力をお貸しください」
「あ、ああ」
私が金持ちのお嬢様だと分かったのか、店員が冷や汗を垂らしながら私に鹿せんべいの入った袋を渡してきた。
「つっかれたー」
ホテルに帰ると、私はすぐにベッドにダイブした。
「お嬢様。人がいないからと、そのような立ち振る舞いは‥‥」
「あーいいのいいの。ここには涼。貴方しかいないから」
涼は、私の専用メイドだ。
今までは、家での私の身の回りの事をしてくれていたが、今回の修学旅行に一人付き人を連れてきてよかった。だから、涼を連れてきた。
「涼~お風呂準備できてる~?」
「はい。出来ております」
「なら入る~。準備よろしく~」
「了解致しました」
「‥‥‥うんしょ」
涼にバスローブなどの用意をしてもらっている間に、私は部屋につく風呂場に移動し、服を脱ぐ。
ホテルでは基本自由だ。
朝の食事は点呼も兼ねて、ホテルのレストランで食べなければならないのだが、それ以外の食事は部屋でとっても怒られない。風呂も大浴場・部屋についている風呂。どちらを使っても構わない。
多くのビックな人が使うこのホテルは、セキュリティが固い。なので、生徒は大浴場を使う人が多いが、私は部屋についているのを使う。
「風呂ぐらいはゆっくり入りたいもんね~はぁー」
体を洗い湯船に浸かると、丁度いい温度が私を包んだ。
修学旅行は4泊5日。今日はその二日目。
「‥‥‥持つかな~この疲れ方」
一日で予想以上に疲れた自分の体に、私は簡単なマッサージをしながらそう呟いた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
451
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる