乙女ゲームの悪役令嬢は生れかわる

レラン

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プロローグ

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 皆様がた。召喚や転生など、ファンタジー小説にあるようなこと。信じますか?
 いや、信じなくても、「あったら面白いのにな~」ぐらい思ったことないですか?私はあります。
 だって人生辛いことが多すぎます。

 私は幼い頃親に捨てられ孤児院育ち。高校では彼氏が出来たけど、結局友達に取られてしまう。
 大人になってからも、何度か付き合ったけど、結婚までは発達せず、三十路の今でも独身。
 合コンも何回かしたし、婚活パーティーにも行った。見合いもした。でも、結局ダメだった。
 もうここまで来ると、開き直るよ。ここまで行っても頑張る人は、いると思うけど、私は諦める。
 私は仕事に力を入れて、現実で恋愛できない分、乙女ゲームをプレーしまくった。

 え?寂しい女だなって?いいんだよ。それで。
 私は捨てられ続ける運命なんだと思う。
 親に捨てられ男に捨てられ‥‥
 人生めんどくさくなっちゃったんだもん。

「はぁ。やっと全ルートコンプリート~」

 私が今プレーしているのは、最近ハマったファンタジー乙女ゲーム。『LOVEtheHERO~アイトの光~』。
 なかなか適当な名前だと思う。ファンタジーだから、もちろん『剣と魔法の世界』だ。
 アイトは、『誓い』という意味らしい。だから、少し気になった。
 パッケージの絵もなかなか綺麗だったし、それに主人公がなかなか可愛かった。
 普通の乙女ゲーム主人公は、顔がスチルでなかなか見えない。
 それは、ゲームをプレーしている人が、主人公になりきった視点にしたいからだと思う。

 でも、このゲームは違った。
 スチルでは主人公の姿が出てきて、まるでアニメを見ている感覚に近くなっている。
 アニメ好きの私にとってはとても嬉しい作りだった。
 このゲームは、好き嫌いが極端に別かれた。
 ゲーム内容は、主人公は平民なのに希少な魔法。”他者強化”の持ち主で、世界一の学校に入学することになる。
 そこで出会う5人の男の誰かと恋に落ちるという内容だ。

 結構どこにでもありそうなゲームだ。だから、ゲーム内容で、好き嫌いはあまり別れなかった。
 でも、スチルで、別れたのだ。
 私はそのゲームを今しがた、完全コンプリートした。
 バットエンドもすべてだ。

「‥‥明日ゲーム屋によって、新しいゲーム探すか」

 私は同時進行できるほど器用じゃない。
 だから、一つづつ買って、それをクリアしていく。
 時計を見ると、もう夜の1時を回っていた。
 明日も仕事がある。私は眠ることにした。

「あ、明日のご飯の材料買ってないじゃん‥‥コンビニでいいか」

 私はシャワーを浴びて寝ようとしたところで思い出した。
 今から行くのはめんどくさいが、明日‥‥というか今日の朝早起きして買いに行くのはもっと面倒だ。

「行くか‥‥さっむ」

 私は寝間着の上からコートを着て、外に出た。
 まだ1月だから、夜は冷えるし今日は風も強かった。

 近くのコンビニにつくと同時に、風がやんだ。
 いつもなら不良の1人2人はいるはずなのだが、今日はいなかった。

「‥‥平和な日もあるんだな~」

 そんなことを言いやながらコンビニで、弁当を買うことにした。

「‥‥あの。いつもこのコンビニ利用されてますよね?家が近くなんですか?」

 声をかけてきたのは、店員さんだった。
 多分大学生ぐらいの歳だと思う。髪がド金髪だ。

「‥‥‥まぁー」

 適当に答えて、弁当のお金を渡す。

「‥‥あの!これ!俺の電話番号です!よかったら‥‥‥連絡ください!」
「‥‥‥」

 私は絶句した。
 髪がド金髪だから、不良だと思っていたが、顔を赤くしてそう言ってくる姿は、とてもウブだった。
 だから、魔が差したんだと思う。

「‥‥大人をあんまりからかわない方がいいよ?ま、気が向いたら電話するよ。ありがとう」

 私はそう言って電話番号の書いた紙を受け取り、コンビニから出ていった。

 人生初の告白だった。
 いつも告白は私からだった。私は自分から告白して付き合ったことしかない。
 だから、浮かれていた。
 不良ぽくっても、告白紛いのことをされて、浮かれていた。

「‥‥明日は赤飯かな?」

 スキップしながら帰る三十路のおばさんのえは、なかなかキツい。
 そう理解していたが、スキップで帰った。

  キッキーーーー!!!

「え?」

 私に車が突っ込んできた。
 ライトが眩しくて、目を隠すことしかできず、その場から動けなかった。
 でも、目を開けたら、車は私からそれて電柱に突っ込んでいた。

「た、助かった?」

 私はその場に腰を抜かしてしまった。
 その瞬間だった。

「‥‥キャ!」

 また私の目に眩しい光が入ってきた。
 今度は前とかからじゃなくて、下‥‥地面からだった。
 光が強すぎて、私は目を開けられなくて周りが見えなかった。
 だけど、かすかに聞こえた気がした。
 コンビニで、私に電話番号を渡してきた店員の声が‥‥聞こえた気がした。

 あ、そう言えば自己紹介してなかったね?
 私の名前は『神星  神奈かみぼし  かんな』。
 神が2回もつく名前なのに、神に見放されているらしい女です。
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