乙女ゲームの悪役令嬢は生れかわる

レラン

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 それは、あの謁見から数日たった晴れた日だった。私は身分がバレたせいで、家へ戻る他なくなってしまった。冒険者ギルドには、既に私達への指名依頼が入っていたが、それを全てキャンセルしてもらった。アミ君に頼んでおいた解体は、終わった頃に家の使いが受け取りに行ってくれた。

「はぁー。まるで鳥籠の中の鳥ね」
「そうなる行動をとったのは、元はと言えばお嬢様ではないですか」

 そう言って、お茶を目の前に出してきたのはルルンだった。
 私は、ルルンが出してくれたお茶を一気にのみほし、おかわりをお願いした。

「それはそうだけどさ?お父様もやりすぎじゃない?見てよこの服。お父様の趣味をここぞとばかりに反映させてるのよ?」「‥‥‥」

 ルルンは苦笑いをして私の服を見た。
 私が今着ているのは、赤がベースで裾には鳳凰と星の刺繍が散りばめられており、肌の露出が少ないわりにセクシーに見えるという服だ。
 昨日はお母様の着せ替え人形にさせられていた。でもお母様の選んだ服は、何故か男子系の服だったので、ズボンばかりでとても楽だったのだ。

「本当に、お父様とお母様の趣味が分からないわ」
「‥‥‥」

 無言で肯定してくれるルルンは、やはりこの家の使用人だ。お母様とお父様の趣味を聞いても、追求せずに肯定だけで済ませてくれる。

「‥‥ん?」

 急に屋敷の方が騒がしくなってきた。何があったのかと、目だけでルルンに様子を見てくるように頼むと、ルルンは屋敷へと歩いていった。

「‥‥‥‥あら?」

 ルルンが行ってすぐに、一羽の鳥がテーブルに舞い降りた。
 鳥の足には何やら黒にホルダーらしきものがついており、それを開けてみると、中から手紙が出てきた。開いて誰からの手紙か差し出し人を見ると、アインハイトからだった。
 私は直ぐに手紙の内容に目を通した。内容はこの前のアンジェロとの決着の詳細だった。

「‥‥‥明日か」

 時刻は明日の午前10時開始。場所は国立大決闘場。この場所は、年に一度の武道会で毎年使われている会場だ。そして、一番大事な決着の内容は‥‥。

の決闘‥‥ね」

 私はテーブルに肘をつき手紙を眺めた。
 『なんでもあり』と書いてあるぐらいだから、ルールなどは多少はあるだろうが、と思った方がいいだろう。手紙にも、備考で「常識の範囲内での決闘」と書いてあるぐらいだ。

「お、お嬢様!!ハァハァ」
「あらルルン。大丈夫?」

 ルルンが息を切らした状態で、屋敷から飛び出してきた。文字通り、2から飛び出してきた。

「お嬢様!!先程屋敷に手紙が届きまして、その内容が先日の決着の内容でーー」
「ーーああ。それだったら今、私の所にも手紙が来たわよ?『なんでもありの決闘』なんて、よくそんな馬鹿げたこと思いついたわよね~」

 私は、読んでいた手紙をヒラヒラと振りながらルルンに見せた。
 そんな私を見てより一層顔を強ばらせるルルン。

「笑っている場合ですか!こんなのお嬢様に不利過ぎます!しかも、今街まで使いに行ってきたものの言葉では、街では貼り紙が現在貼ってあり、その内容は明日の決闘への参加者募集だそうです!」
「‥‥‥よくやるわ」

 期限は明日だってのに、そんなのに参加する人がいるのだろうか。いたとしても、皆用事があるだろうから17・8人だろう。

「しかも、参加者には報奨金が支払われるようです‥‥しかもかなりの額が」
「え、嘘!」

 私は予期せぬ出来事に、思わず立ち上がって驚いてしまった。
 多分これは全部リッターらへんが手配したことだと思う。しかも考え方は、「俺はあの女をボロボロに負かせたいから、仲間お前らを守れない。だから他の参加者を募集して、お前らを守ってもらう」だと思う。

「どこまで馬鹿なの?」
「お嬢様も何か対策を練りませんと、負けてしまいます!!」

 ルルンの言う通りだ。少しの期間だけと言っても、冒険者だった私だ。そこら辺の令嬢よりは力も体力もある。だが何人か知らないが、大勢の一斉攻撃には慣れていない。何か対策を練らなければ。














「‥‥‥‥り」
「はい?」
「無理!対策なんて考える時間も惜しい!」

 私は考えた末、対策を考える時間をもっとほかのことに使いたいと考えついた。
 私は直ぐに自室へと向かい、タンスに入っている冒険者の服へときがえ、馬小屋へと向かった。

「お嬢様!どこへ行かれるのですか!」

 急に冒険者の服へと着替えた私を、色々な使用人が心配そうに見た。そして、自分の愛馬を連れ出して乗り始めた私を見て、ルルンは私の足を掴んで、どこかへ行こうとするのを止めた。

「ルルン‥ごめんなさい。私ちょっと、ヤレガ隊長の所に行ってくる」
「わ、私も行きます!」
「ダメ。今回は留守番よ、ルルン」
「ですが護衛もいません!お嬢様を1人にはできません!」
「‥‥‥ごめんね」

 最後に私は小さくルルンに謝って、問答無用で馬を走らせた。
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