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精霊使い
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フレアは魔獣と言うより精霊である。
火の鳥や不死鳥と呼ばれるのは具現化した彼の形が鳥のようだからに過ぎない。
精霊である為、実体は無く、炎は具現化する為の器のような物だ。故に不死と言われる。
精霊の多くは知能が低く、獣並だが、フレアは人と対等に会話が可能な程に高い知能を備えている。
「俺は精霊の中でも高等種族だからな」
古びた蝋燭の上で偉そうに言うフレア。
「主様に対して、偉そうです。消しますよ?」
エリスが冷たい目でそう言い放つとフレアは怯えたように身体を小刻みに震わせる。
「それで・・・君はかつて、魔王と戦ったのかい?」
マリクは興味津々に尋ねる。するとフレアは再び偉そうに胸を張る。
「あぁ、そうとも。魔王って奴は俺らと同じ精霊みたいな存在でね。人間の負の感情が源なんだ。だから、まともにやり合っても殺せないからな」
「剣で切れないって事かい?」
「その通りだ。魔を浄化する力が無いとな。幸い、俺は伊達に火の化身ってわけじゃない。火には全てを浄化する力があるからな。俺の力で魔王の奴を燃やし尽してやったのよ」
「へぇ・・・じゃあ、君が居れば、魔王も倒せるわけだ」
マリクが感心したように言うと、フレアは少したじろぐ。それをエリスは見逃さない。
「なるほど、全てを燃やし尽くすのですね。早速ですが、表に出したゴミをすぐに燃やし尽くしてください」
エリスにジト目で言われて、フレアは少し腹が立った様子で言う。
「なんだと?ゴミを燃やすぐらいに俺を使うなんて、なんてメイドだっ!」
「うるさい・・・本当に消すぞ?」
エリスはバケツに汲んだ水をフレアに掛けようとする。慌てて、フレアが部屋中を飛び回る。
「解った!解ったから、バケツを置け!お前は魔王を倒せる数少ない俺を何だと思ってるんだ?」
「便利な火種程度ですが?」
エリスにあっさりと言われ、フレアは怯えながら、蝋燭に戻った。
それからフレアにゴミを燃やして貰いつつ、掃除は進み、城は何とか住める程度になった。
箒を手にエリスは仕事をしたって顔で綺麗になったホールを眺める。
そこにフレアが戻って来た。
「おい、メイド。ゴミは全て、灰にしてやったぞ」
「ご苦労様です。ランプを用意してみました」
エリスはランプのガラスを開く。するとフレアは嬉しそうにランプの芯へと飛び込む。
「おお。これはなかなかの油じゃねぇか」
フレアは嬉しそうにランプの中で灯っている。それが彼にとっての食事なのか休息なのか疑問を抱いたマリクは不思議そうにランプを眺めている。そんな主の姿をジト目で一瞥したエリスは帰り支度を始める。
「では、主様、仕事は終わりました。街に戻り、残りの報酬を頂きましょう」
「あぁ、そうだね」
二人は城を出て、帳が下りる頃に街へと到着した。
依頼主に城の話をして、仕事を終えた事を伝えた。そして、報酬を受け取り、宿へ戻る。
報酬は二人が三日間ぐらいは宿代と飯代が出る程度だった。実質、1日で終わった仕事なので、相応だろうと思うが、常に仕事があるわけじゃない事を考えると、マリクは考え込んだ。
部屋代を抑える為、同室に居るエリスはフレアが灯るランプの油を注ぐ。
「フレアさん。ふと思ったのですが、あなたは常に灯っている必要はあるのですか?」
その問い掛けにフレアは驚いたように大きく揺らぐ。
「も・・・もちろんだ。具現化していないと消えてしまうからな」
「しかし・・・実体がないのなら、どこかに収まっていても良いのでは?こうして、注ぐ油も安くはありませんよ?」
「おいおい・・・俺様はそこらへんの精霊とは違うんだぞ?」
フレアは怒ったように炎を大きくする。
その時、マリクは何かを思い出す。
「そう言えば、かつて、精霊使いと呼ばれる人々が居たなぁ」
その言葉にフレアはまた、驚いたように激しく揺れる。
エリスはマリクに問い掛けた。
「その精霊使いとはどんな人々なのですか?」
「うん。精霊を自在に操るらしい」
「自在ですか」
エリスはフレアをジッと見る。まるで怯えるようにフレアは縮こまっていた。
「主様は精霊を扱えないのですか?」
そうエリスに問われ、マリクは考え込む。
「精霊使いの書物は幾つか読んだなぁ。フレアのように目に見える精霊に会った事が無いし、空想だと思ってたから試した事は無いけど・・・確か、精霊使いは小瓶に精霊を詰めて、必要な時に出し入れが出来たとか」
それを聞いたフレアは慌てて騒ぎ出す。
「おいおい。そんなのは嘘だよ。嘘。小瓶に精霊が入るわけないだろ?」
その様子にエリスはジト目で見つめる。
「主様・・・小瓶に精霊を入れる術は知っているのですか?」
「あぁ・・・読んだ本に書いてあったから覚えているよ」
エリスは荷物の中から水筒を取り出した。
「こちらにお願いします」
「そんな小汚い水筒なんて嫌だよっ!」
水筒を差し出したエリスにフレアは怒鳴る。
「まぁ・・・試してみるか」
マリクは水筒を受け取り、思い出しながら、言葉を紡ぐ。
「精霊よ。我の言葉に従い、我の元へと戻れ」
そう言うと、フレアは突如、水筒の口に吸いこまれた。そして、マリクは水筒の口に蓋をする。
「凄いですね。それで・・・出す時は?」
「あぁ・・・我に力を貸せ。出でよ。フレア」
水筒の口を開くと、フレアが宙へと舞い出した。
「わあああああ!くそっ!こんなつまらない事を知ってやがるなんてっ!」
フレアは部屋中を飛び回る。
「火事になるから暴れるな」
エリスは箒でフレアを叩き落とした。正気に戻ったフレアはランプへと移る。
「やはり主様は頭の出来が違います。今では廃れた精霊使いにもなれるなんて」
「いやぁ・・・体が弱かったから、本ばかり読んでたからねぇ。うちもそこそこ古い家だから本だけは多かったしねぇ」
マリクはエリスに褒められて、恥ずかしそうにする。
火の鳥や不死鳥と呼ばれるのは具現化した彼の形が鳥のようだからに過ぎない。
精霊である為、実体は無く、炎は具現化する為の器のような物だ。故に不死と言われる。
精霊の多くは知能が低く、獣並だが、フレアは人と対等に会話が可能な程に高い知能を備えている。
「俺は精霊の中でも高等種族だからな」
古びた蝋燭の上で偉そうに言うフレア。
「主様に対して、偉そうです。消しますよ?」
エリスが冷たい目でそう言い放つとフレアは怯えたように身体を小刻みに震わせる。
「それで・・・君はかつて、魔王と戦ったのかい?」
マリクは興味津々に尋ねる。するとフレアは再び偉そうに胸を張る。
「あぁ、そうとも。魔王って奴は俺らと同じ精霊みたいな存在でね。人間の負の感情が源なんだ。だから、まともにやり合っても殺せないからな」
「剣で切れないって事かい?」
「その通りだ。魔を浄化する力が無いとな。幸い、俺は伊達に火の化身ってわけじゃない。火には全てを浄化する力があるからな。俺の力で魔王の奴を燃やし尽してやったのよ」
「へぇ・・・じゃあ、君が居れば、魔王も倒せるわけだ」
マリクが感心したように言うと、フレアは少したじろぐ。それをエリスは見逃さない。
「なるほど、全てを燃やし尽くすのですね。早速ですが、表に出したゴミをすぐに燃やし尽くしてください」
エリスにジト目で言われて、フレアは少し腹が立った様子で言う。
「なんだと?ゴミを燃やすぐらいに俺を使うなんて、なんてメイドだっ!」
「うるさい・・・本当に消すぞ?」
エリスはバケツに汲んだ水をフレアに掛けようとする。慌てて、フレアが部屋中を飛び回る。
「解った!解ったから、バケツを置け!お前は魔王を倒せる数少ない俺を何だと思ってるんだ?」
「便利な火種程度ですが?」
エリスにあっさりと言われ、フレアは怯えながら、蝋燭に戻った。
それからフレアにゴミを燃やして貰いつつ、掃除は進み、城は何とか住める程度になった。
箒を手にエリスは仕事をしたって顔で綺麗になったホールを眺める。
そこにフレアが戻って来た。
「おい、メイド。ゴミは全て、灰にしてやったぞ」
「ご苦労様です。ランプを用意してみました」
エリスはランプのガラスを開く。するとフレアは嬉しそうにランプの芯へと飛び込む。
「おお。これはなかなかの油じゃねぇか」
フレアは嬉しそうにランプの中で灯っている。それが彼にとっての食事なのか休息なのか疑問を抱いたマリクは不思議そうにランプを眺めている。そんな主の姿をジト目で一瞥したエリスは帰り支度を始める。
「では、主様、仕事は終わりました。街に戻り、残りの報酬を頂きましょう」
「あぁ、そうだね」
二人は城を出て、帳が下りる頃に街へと到着した。
依頼主に城の話をして、仕事を終えた事を伝えた。そして、報酬を受け取り、宿へ戻る。
報酬は二人が三日間ぐらいは宿代と飯代が出る程度だった。実質、1日で終わった仕事なので、相応だろうと思うが、常に仕事があるわけじゃない事を考えると、マリクは考え込んだ。
部屋代を抑える為、同室に居るエリスはフレアが灯るランプの油を注ぐ。
「フレアさん。ふと思ったのですが、あなたは常に灯っている必要はあるのですか?」
その問い掛けにフレアは驚いたように大きく揺らぐ。
「も・・・もちろんだ。具現化していないと消えてしまうからな」
「しかし・・・実体がないのなら、どこかに収まっていても良いのでは?こうして、注ぐ油も安くはありませんよ?」
「おいおい・・・俺様はそこらへんの精霊とは違うんだぞ?」
フレアは怒ったように炎を大きくする。
その時、マリクは何かを思い出す。
「そう言えば、かつて、精霊使いと呼ばれる人々が居たなぁ」
その言葉にフレアはまた、驚いたように激しく揺れる。
エリスはマリクに問い掛けた。
「その精霊使いとはどんな人々なのですか?」
「うん。精霊を自在に操るらしい」
「自在ですか」
エリスはフレアをジッと見る。まるで怯えるようにフレアは縮こまっていた。
「主様は精霊を扱えないのですか?」
そうエリスに問われ、マリクは考え込む。
「精霊使いの書物は幾つか読んだなぁ。フレアのように目に見える精霊に会った事が無いし、空想だと思ってたから試した事は無いけど・・・確か、精霊使いは小瓶に精霊を詰めて、必要な時に出し入れが出来たとか」
それを聞いたフレアは慌てて騒ぎ出す。
「おいおい。そんなのは嘘だよ。嘘。小瓶に精霊が入るわけないだろ?」
その様子にエリスはジト目で見つめる。
「主様・・・小瓶に精霊を入れる術は知っているのですか?」
「あぁ・・・読んだ本に書いてあったから覚えているよ」
エリスは荷物の中から水筒を取り出した。
「こちらにお願いします」
「そんな小汚い水筒なんて嫌だよっ!」
水筒を差し出したエリスにフレアは怒鳴る。
「まぁ・・・試してみるか」
マリクは水筒を受け取り、思い出しながら、言葉を紡ぐ。
「精霊よ。我の言葉に従い、我の元へと戻れ」
そう言うと、フレアは突如、水筒の口に吸いこまれた。そして、マリクは水筒の口に蓋をする。
「凄いですね。それで・・・出す時は?」
「あぁ・・・我に力を貸せ。出でよ。フレア」
水筒の口を開くと、フレアが宙へと舞い出した。
「わあああああ!くそっ!こんなつまらない事を知ってやがるなんてっ!」
フレアは部屋中を飛び回る。
「火事になるから暴れるな」
エリスは箒でフレアを叩き落とした。正気に戻ったフレアはランプへと移る。
「やはり主様は頭の出来が違います。今では廃れた精霊使いにもなれるなんて」
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