少女はドラゴンハンターになった。

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旅立ち

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 イヴリンの店を出た愛理はブラブラと歩く。
 「朝霞に向かうにしても、食料とか手に入れたいわね」
 愛理がそう思って、店先を覗くが、店主は嫌そうな顔で愛理を見て、避けるように奥へと引っ込む。
 「何よ・・・不愛想ね」
 それを見ていたアミルが言う。
 「愛理・・・多分、人間だから歓迎されていない」
 それを聞いた愛理は憮然とした表情で立ち止まる。
 「あっそう・・・エルフって奴は、確かに人間に酷い事をされたかもしれけど、露骨に嫌がらなくて」
 と思った時、銃を手にしたエルフが3人。愛理達を囲んだ。その内の一人が愛理に尋ねる。
 「お前・・・人間だな?」
 「そうだけど?物騒な感じね?」
 「お前がこいつを中に入れたのか?」
 尋ねられたアミルは静かに頷く。
 「悪いが・・・ここはエルフの村だ。人間に入って貰いたくない。去ってくれ」
 「なるほどね・・・解ったわ。ここで喧嘩するつもりも無い。出ていくわ」
 愛理が立ち去ろうとした時、アミルに声が掛けられる。
 「お前はエルフだろう?我々と一緒に居ても良いんだぞ?その人間に何かされたのか?」
 その問い掛けにアミルは慌てて、否定する。
 「ち、違います。愛理は私の命の恩人で・・・それで一緒に居るんです」
 それを聞いた愛理がつまらなそうな顔で言う。
 「いいわよ。アミル。あんたはエルフなんだから、ここの方が安全だから、ここに居なさいよ」
 「そ、そんな。愛理。あなたと私の仲でしょ?」
 「仲でしょ・・って。出逢って1ヵ月ぐらいしか経って無いわよ。私は1人の方が楽だし」
 そう言って、愛理は歩き出した。
 「待ってくださいよぉ!一緒に行きますからぁ」
 アミルは慌てて、愛理の後をついて行く。
 
 愛理達は再び、朝霞を目指した。
 朝霞までの道は大きな地形変化によって、地図など当てにならない程であった。
 川の無い所に川があり、山の無い所に山がある。
 街も道も破壊され、木々が生え、自然へと還っていた。
 時折、ゴブリンなどの魔獣が出没する。愛理達はそれらを狩りながら、進んだ。
 体力の無いアミルのお蔭でかなりの休憩を挟みつつ、何とか夜が来る前に朝霞に到着した。
 「やっと着いたか」
 愛理は街の入り口を守る自衛官に身分証明証を見せる。自衛官はそれを見て、驚く。
 「練馬か・・・ドラゴンの群れに襲われて壊滅しただろ?こちらも偵察を出して、確認したんだ」
 「はい。ドラゴンの群れから何とか逃げ出して、こちらを目指しました」
 「それは大変だったな。まぁ、中に入ってくれ」
 通された街は練馬と同じぐらいの規模であった。
 「朝霞は練馬よりも田畑が広くて、野菜とか豊富だって聞いたわね」
 愛理達は露天商を眺めながら、休憩の出来る喫茶店に入った。
 「さて・・・ここで落ち着くか・・・」
 愛理は窓の外を眺めながらそう呟く。クリームソーダ―を飲みながらそれを聞くアミル。
 「ここでも魔獣を狩れば金になるし・・・世界が終わるまでをここで過ごすのも悪くないかもね」
 「愛理さんは余裕ですね」
 「あんたはどうなの?あんな話を聞いて」
 「私は1人じゃ、無理だし」
 「そうね。あんたの体力じゃ、どこかでゴブリンに捕まって終りね」 
 「嫌なバッドエンドですね」
 アミルは愛理をジト目で見る。愛理はそんなアミルを無視して、アイスコーヒーを飲み干す。
 「さて・・・まずは仕事を探さないとね」
 愛理はそう言って、職業安定所へと向かった。
 名称こそ、馴染みのある職業安定所だが、運営は自衛隊が行っている。街中の求人を集めて、紹介する。それ以外に愛理のようなハンターの為に魔獣情報を提供したりする。自衛隊が駆除に手が回らない魔獣などをハンターが狩る。こうして、人手不足を補っている。
 愛理も魔獣情報を手に入れる為に訪れた。
 「相変わらず、ゴブリンが多いわね」
 愛理は呆れたように情報を眺める。
 「まぁ、ゴキブリ並の繁殖力ですからね」
 アミルも呆れている。
 「ゴブリンを駆除しても、あまり金にならないのよね。巣を潰して、溜め込んだ財宝でもあれば良いけど」
 「嫌ですよ。ゴブリンの巣なんて・・・想像しただけでもおぞましい」
 「しかし、この辺は自衛隊が強いせいで、ドラゴンとか、強い魔獣は居ないみたいね。ハンターじゃ金にならないわ」
 「どうするんですか?ハンター以外に愛理さんが働けるとは思えないのですけど?」
 アミルの言葉に愛理が苛立ち、彼女を睨む。
 「私だって、まともな仕事ぐらい・・・出来るわよ。それより、あんたこそ、まともに働けるの?」
 「な・・・何を言ってるんですか。私だって、その気になれば」
 「その気になればって・・・山の中で餓えて、ゴブリンの餌になりそうだった癖に」
 「そ、それは・・・」
 アミルは顔を赤らめる。
 「まぁ・・・んっ?面白いのがあるわね」
 愛理は一枚の求人票に目を止める。
 「横浜までのコンボイの護衛だって」
 「コンボイ?」
 「トラックの集団輸送よ。結構、良い金になるわ」
 「へぇ・・・横浜ってどこですか?」
 「神奈川県よ」
 「はぁ・・・遠いんですか?」
 アミルはまったく解らない感じだった。
 「あんたって奴は・・・海があるのよ。海」
 「海ですか・・・東京にもあったような」
 「似たようなもんよ。そこから海外と貿易の為に船が出ているんだから」
 「なるほど・・・その護衛の仕事があるんですか」
 「そうよ。飯も付いているし、良い仕事になるわ。多分、往復仕事だろうし」
 愛理はすぐに窓口でアミルの分も含めて申し込んだ。

 出発は二日後。
 荷物を積み込んだトラックの車列が待機している。
 愛理とアミルは護衛の為に集められたハンター達の中に居た。
 大抵は屈強そうな男達だ。その中に女子高生が居るのだから、奇異な目で見られるのは仕方がない。
 「嬢ちゃん・・・そんなデカい銃・・・撃てるのか?」
 対物ライフル銃に気付いた男が話し掛けて来る。
 「えぇ、もちろん。私、ドラゴンを狩ってるから」
 それを聞いた男達が笑う。
 「そりゃ、冗談にもならねぇぜ」
 彼等の言うのも最もだろう。ドラゴン相手なら自衛隊でも1個中隊は必要だと言われる。まさか女子高生が狩るなんて言って、誰が信じるか。
 「まぁ、信じて貰う気は無いわ。だけど、腕は確かよ」
 愛理は自信満々に言うが、それをまともに信じている者はそこには居なかった。
 そうこうしている内にミーティングが始まる。
 リーダー格らしき男がハンター達が乗る車を決めていく。
 愛理達は10台あるトラックの内、後ろから3台目だった。
 1台のトラックに2から3人のハンターが乗り込み、更に前後に護衛用の車両が付く。それには3人のハンターが乗り込む。これだけのハンターと装備ならば、ドラゴンであっても相手が出来るはずだった。
 愛理は担当となったトラックへと乗り込む。
 トラックは何の変哲も無いトラックだが、運転席の屋根には扉が設けられ、更にターレットが装着され、軽機関銃が装備されている。
 「何かあれば、機関銃で対処だ。あんたのデカブツが必要になる事は無いよ」
 運転手のおじさんは慣れているのか、愛理にそう言って、笑う。
 「まぁ、私の弾丸が消費しないってのはありがたい話」
 愛理もその方が助かると思った。
 そうこうしている内に出発の時間が訪れ、車列は街から外へと出た。
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