少女はドラゴンハンターになった。

エムポチ

文字の大きさ
13 / 19

海を渡る。

しおりを挟む
 愛理とアミルは戻る術も金も無いから仕方なしに護衛艦に乗った。
 「思ったよりも揺れないのね」
 愛理は艦長の誘いで入れて貰えた艦橋でそう感想を漏らす。
 「ははは。これだけ大きいと船は簡単には揺れないわよ」
 艦長は笑う。アミルはそんな彼女に不思議そうに尋ねる。
 「でも、これ、凄い船なんですよね?所詮は生物である竜にこれだけ痛い目に遭う意味が解りませんけど」
 「簡単な話よ。これは相手が戦艦や戦闘機などを相手にする為に作られた船なの。捕鯨船じゃないから、鯨は捕まえられないし、漁船じゃないから魚も捕れない。つまり、怪獣を相手にする事なんて出来ないのよ」
 「あんな大砲とか積んでいるのに?」
 「陸の上や空なら主砲や機関砲で何とかなるけど、相手が海中だとねぇ。むしろ昔ながらの爆雷投下が出来る方が遥かに効果があるわね。下手に現代化されて、対潜装備が魚雷になっているのがデメリットなのよ」
 「爆雷ですか」
 「そうよ。相手が生物だと、魚雷でも近接信管は反応しないし、動きも読めないから、誘導も難しい。爆雷なら、面で制圧するから、海中に潜った奴も逃がさないわ。まぁ、同じ事は可能だけど、コスト高なのよ。魚雷は」
 「コスト高ですか」
 「こんな状況だからね。魚雷を一本、作るだけでも大変ってね。だから、爆雷投下装置がこれにも載せられる事になったわ。飛行甲板を潰してね」
 「ヘリが飛べなくなるって事ですか?」
 「不便だけど、ヘリを使う場面も減ってるからねぇ。むしろ、爆雷で海中を潰す方が先。すでに改造を終えた船は成果を上げてるしね。海龍だって、爆雷が間に合ってたら、苦戦しなかったわ」
 それを聞いた愛理とアミルは納得した。
 「まぁ、それよりもあなた達にはこの船の修理と改造をする為に横須賀に回送するまでの護衛を頼むわ。報酬はお金じゃないけど、食事と寝る所と余っている武器をあげるわ」
 「余ってる武器って・・・」
 「今、見せてあげるわ。飯島海曹、彼女達を」
 艦長は1人の下士官に後を任せた。二人は下士官に連れられて、艦内の下層へと向かった。
 そこは貨物室のような場所だった。木箱などが多く置かれている。
 「彼方此方で放棄された武器を回収している。自衛隊装備や使える物は再利用するが、再利用が不可能な銃器がこれだ。溶かして資源にする手はあるけど、勿体ないからな」
 木箱が開封されると多種多様な銃器が入っていた。
 「アメリカ以外のばかりね」
 愛理も左程、知識があるわけじゃないが、これまでに色々と教えて貰っているので、何となく解る。
 「アメリカ製は自衛隊の装備と親和性が高いからな。回収対象だ。残ってるのは大抵はロシアや中国とかだな」
 「そんなのが日本に何であるんですか?」
 「いや、日本で手に入れたんじゃない。周辺の調査の為に派遣された時に回収したのさ」
 「周辺・・・外国って事ですか?」
 「あぁ、こんな状況だからな。通信が途絶している国も多い。現状を把握する為に調査が行われているんだよ」
 下士官の説明に愛理は納得する。因みにアミルはロシアとか中国とか聞いてもあまりよく解っていないらしい。
 「銃は弾薬が手に入らないと鉄くずだからダメね」
 愛理は眺めているとアーチェリーを見付けた。
 「へぇ・・・こんな物まであるのね。アミルなら使えるんじゃない?」
 「弓ですか。それなら得意です」
 下士官はそれを聞いて笑う。
 「ゴブリンぐらいなら弓でも殺せるだろうけど」
 下士官が言うように現実的に弓では猪だって殺せるかどうかである。ちょっとした魔獣となれば無力である。だが、愛理はアーチェリーをアミルに手渡す。
 「エルフは力が無いから、短機関銃の反動でも抑えきれずにまともに撃てないのよ。反動が無いアーチェリーの方が役に立つんじゃないかと思ったけど」
 受け取ったアーチェリーを触りながら、アミルは満足そうにする。
 「問題ありません。これはとても使いやすい弓ですね。私達が使っていた物とは雲泥の差です」
 「最近のアーチェリーは光学照準器も装着が出来るからね」
 「それは凄いです。これなら矢に魔法を付与して撃てば、相当の力になりますよ」
 愛理はアルミの言葉を気にする。
 「矢に魔法を付与?」
 「そうです。一部の魔法は物体に効果を掛ける事が出来るんです」
 「へぇ・・・例えば?」
 「こうやって石や金属に炎や氷の魔法を掛けると、効果が切れるまで持続します」
 「効果が切れるまで・・・例えば、石に氷の魔法を掛けると、ずっと氷になっていると?」
 「ずっとは難しいですけど数分程度は」
 「役に立たない」
 「で、でも、炎の魔法を掛けて、矢を射れば、当たった部分が燃えますよ!」
 「それは魔法を使わなくても出来るし、爆薬を付けた方が効果が高いわ」
 「うー!破邪の魔法を掛けたら、実体の無い魔物にも効果があります!」
 「実体が無い魔物って何?幽霊?」
 「幽霊・・・そんなようなものです」
 「そ、そんなの本当に居るの?」
 愛理は驚いて、アミルを問い詰める。
 「は、はい。悪魔とか幽霊とか居ますよ。ただ、実体が無いので、簡単に動けないとか制約がありますが」
 「動けない・・・地縛霊みたいなもん?」
 「そんなもんです。悪魔は高位になるとかなり自由に動けたりしますが」
 「実体が無いって事は銃は効かないの?」
 「普通の剣や槍では効果が薄いですね。まぁ、金属や石にも破邪の力がある物もありますので、そうした素材で作れば、効果があります」
 「それって、どんなの?」
 「例えば金や銀とかですね」
 「高いわ」
 「銅でも良いです」
 「どうでも良いけど・・・銀の銃弾でも用意しておいた方が良いわね」
 愛理は呆れたように貨物室を後にした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

弁えすぎた令嬢

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。  彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。  彼女は思った。 (今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。  今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。  小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

転生『悪役』公爵令嬢はやり直し人生で楽隠居を目指す

RINFAM
ファンタジー
 なんの罰ゲームだ、これ!!!!  あああああ!!! 本当ならあと数年で年金ライフが送れたはずなのに!!  そのために国民年金の他に利率のいい個人年金も掛け、さらに少ない給料の中からちまちまと老後の生活費を貯めてきたと言うのに!!!!  一銭も貰えないまま人生終わるだなんて、あんまりです神様仏様あああ!!  かくなる上はこのやり直し転生人生で、前世以上に楽して暮らせる隠居生活を手に入れなければ。 年金受給前に死んでしまった『心は常に18歳』な享年62歳の初老女『成瀬裕子』はある日突然死しファンタジー世界で公爵令嬢に転生!!しかし、数年後に待っていた年金生活を夢見ていた彼女は、やり直し人生で再び若いままでの楽隠居生活を目指すことに。 4コマ漫画版もあります。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...