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Ⅴ.後日談
第4話 秘め事④ ※
しおりを挟むシェンバーの目に映る世界は暗闇ではない。
自分の部屋の中は把握しているから、隣の寝室に行く時も迷ったりはしない。
それでも、椅子から降りたイルマはシェンバーを導いていく。
仄暗い世界の中に、手と手から伝わる温もりだけがある。
寝室は、燭台の蝋燭に火が灯されていた。
イルマは、ベッドにシェンバーを座らせた。
「シェンは⋯⋯。シェンは、そのままでいてね」
「そのまま?」
イルマの指が、シェンバーの服の釦にかかる。一つ一つ外し、上着を脱がせていく。
絹のシャツに手をかけたところで、シェンバーはイルマの体を抱き寄せた。
「イルマ、自分で出来るから」
「⋯⋯ぼくが、やりたいんだ」
イルマは、シェンバーのシャツを脱がすと、足の間に跪いた。
シェンバーのズボンの前を寛げて、下着に触れる。そこは、先ほどからずっと勃ち上がっている。
「⋯⋯イルマ、やめ⋯⋯!」
イルマの温かい指先が、シェンバーの剛直を取り出して口づけた。
「⋯⋯!!」
小さな舌が、雁首の先を舐め、鈴口を啜る。
──どこで教わってきた⋯⋯!?
先走りが溢れるところを吸っては、必死に口に含む。
熱く包まれる感触に雁首がぶるりと震え、蕩けそうだった。あやうく弾けてしまいそうになる。
「イルマ、イルマ、待って⋯⋯」
「き⋯⋯もち⋯⋯くない?」
「咥えたまま、話すのは⋯⋯」
頼りなくぺろぺろと舐めていく拙さが、逆にたまらない。
シェンバー自身が、獰猛に膨れ上がる。
「んっ⋯⋯あ。おっきい⋯⋯」
イルマは、喉の奥まで咥え込もうとして、うまく出来ずに困っている。
やわらかいイルマの髪を捉えて、何度も撫でる。
頭を自分の股間に押しつけてしまわないように、シェンバーは必死だった。
咥えきれない竿の部分を、イルマが指で上下に扱きあげる。
「⋯⋯くっ! 駄目だ、イルマっ!!!」
シェンバーは、耐えきれずに、イルマの口の中に白濁を迸らせた。
肩で息をしているところに、イルマが体を寄せてくる。
「に⋯⋯がい」
「飲んだのか!?」
「うん」
思わずイルマの体を抱きしめて、唇を重ねた。
果てたばかりの自身が、もう一度勃ち上がる。小さな尻を抱えると、硬くなったものが、イルマの腿に当たった。
「んっ⋯⋯あ、ふ」
甘い吐息を聞いて、シェンバーは、自分がどうにかなってしまいそうだった。
「イルマ⋯⋯イルマ」
身につけていた服を全て脱ぎ捨てて、シェンバーはイルマをベッドに押し倒した。
シェンバーの均整の取れた身体は、イルマには見惚れるほど美しかった。
白銀の瞳には、ぎらぎらと情欲が滲んでいる。
──まるで、きれいな獣みたいだ。
そう思いながら、イルマは愛しい者の名を呼んだ。
「⋯⋯シェン」
イルマは、シェンバーの瞼に口づけた。瞼の次は唇に。
お互いに言葉を交わさず、貪るように唇を求めあう。
互いの舌を絡め合う行為は、ついさっき覚えたばかりなのに。
まるで、ずっと昔から求めていたような気もする。
シェンバーの指がイルマの乳首を捉え、こねて潰す。もう片方は舌で舐め上げ、軽く齧られた。
「んっ! あっ!!」
びくりと跳ねても抑えつけられ、胸を弄られるたびに腰が動く。
勃ち上がった己自身が、シェンバーの鍛えられた腹筋を先走りで汚している。
イルマは、たまらなく恥ずかしかった。
シェンバーの指がイルマ自身に触れる。双球を優しく揉み、竿を緩く上下に扱かれる。
まるで悪戯するように、力を入れずに行われる動作は、もどかしくてたまらない。
「シェン、もっと⋯⋯」
「もっと?」
「⋯⋯こすって」
シェンバーの指が竿を強く扱きあげる。
「ひ! あっ」
波のように熱い快感が押し寄せる。
「⋯⋯だめ」
シェンバーは、イルマ自身の根元をぐっとつかんだ。
「ん! ど⋯⋯して?」
びくびくと震えながらシェンバーに問うと、宥めるように軽く口づけられた。
指が後孔を探り当てる。円を描くようにそこを撫でると、シェンバーは甘い声で囁いた。
「何度もいくと、イルマの体力がなくなる」
ベッドの脇にあった小瓶を開けて、シェンバーは中の香油を手に取った。
少し温め、イルマ自身と後孔に塗り付ける。
塗られたところが、少しずつ熱を持つ。
「⋯⋯なに? これ」
「これは、香油なんだ。⋯⋯少しだけ、媚薬が入ってる」
シェンバーがイルマの耳元で囁いた。
「初めてだと、つらいと思うから。⋯⋯ごめん」
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