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第二部 眼病の泉
第25話 相愛① ※
しおりを挟む「は⋯⋯あっ」
見事に均整の取れた身体が、自分の下に寝転がる。
逞しい胸に左手を当てて、膝を立てたまま、少しずつ腰を落とす。
──やっぱり、無理だよ。
泣きそうな気持ちで堪らず逃げようとすると、大きな手にぐっと腰を掴まれた。
「⋯⋯や! ⋯⋯はい⋯⋯んないっ」
「大⋯⋯丈夫⋯⋯だから」
切なげな声に、視線を落とす。
自分を見上げる瞳と目が合った。
わずかに寄せられた眉。輝く瞳の中の欲を含んだ色に堪らなくなる。
熱くはちきれんばかりの怒張に右手で触れると、ぴくぴくと血管が浮き立つ。
鈴口から露を零す姿を愛しいと思う。自分で感じてくれているのかと思うと素直に嬉しい。
後孔の奥がきゅんと疼く。
体中に狂おしいほどの愛撫を受けて、後孔は散々指で解されていた。
お互いに昇りつめそうになっていたところで、シェンは言った。
「今日は、イルマから来て」と。
低く蕩けるような声で言われて、拒むことは出来なかった。
時間をかけて解された中は、既に柔らかく綻んでいる。
さっきからずっと、滾る熱が欲しいと訴えているのだ。
これまでだって、何度も体を重ねてきたじゃないか。
でも、違う。今までとは違うんだ。
⋯⋯その理由は。
瑠璃色の瞳が自分を見ている。そう思っただけで、全身が熱くなった。
「⋯⋯イルマ?」
「シェ、シェンが見えるようになってからするの、初めてだから⋯⋯」
シェンは答えずに、ぼくの腰を掴んでいた右手を外して、左手だけで腰を支えた。
ぼく自身をゆっくりと、シェンが右手の人差し指で撫でる。思わず、ぷるりと雄が震えた。
優しく双球も揉まれて先走りが滲むのが分かる。
「⋯⋯ん!」
ぞくぞくするような感覚が背に走る。
「も⋯⋯だめ、シェン。集中できなくなるから」
ぼくは震える右手で、露に濡れた怒張をそっと後孔の入り口に当てる。
どちらからともなく、甘いため息が零れた。
シェンの雁首が、くちゅりと後孔に入り込む。張りつめた杭が襞を拡げて押し入る感覚に、堪らず声が漏れる。
「あ! あっ⋯⋯!!」
自分の重さで、そそり立つ相手を受け入れるなんて初めてだ。
隘路がみちみちと拡がり、はち切れんばかりの熱を受け入れていく。
──いつもと全然違う。
喘ぎながら、苦しさと少しずつ擦られる気持ちよさに、わけがわからなくなる。
ふっと息を吐いた途端、腰を掴んでいたシェンの手が離れた。
その瞬間、奥深くまで、滾る熱で一気に貫かれた。
「ッ! ん!! あッあ──ッ!」
目の前が、真っ白になる。ちかちかと瞼の奥で火花が散った。
体がびくびくと痙攣し、隙間なく咥え込んだ怒張に奥まで串刺しにされる。
「ふ⋯⋯うっ」
膨れ上がる涙で目の前が滲んだまま下を見れば、自分の雄から白濁が零れて、周りに散らばっていた。シェンの腹にも、織物の上にも。
いつの間にか両手の指は絡められ、愛しい男は眉根を寄せて自分を見上げていた。
「シェ⋯⋯あッ!!」
いきなり、下から突き上げられた。
「や⋯⋯だ! うごか⋯⋯さないで!!」
「⋯⋯無理」
奥の深いところを突かれるたびに腰が跳ね上がる。いやいやと首を振っても、腰の動きは止まらなかった。
ぐちゅぐちゅと水音がする。
「あ⋯⋯あああ! いく! また⋯⋯いっちゃ⋯⋯」
指に力が籠められ、擦られる快感に足先からびりびりと痺れが走る。
「イルマ⋯⋯イルマ。ああ、すごくいい。こんな姿が見られるなんて」
そう言われた瞬間、体の中心に羞恥心が駆け上った。
瑠璃色の瞳がぼくを見ている。いつものように優しい色じゃない。
昏い炎のように、体中に纏わりついて、全てを焼き尽くしていく。
たまらず、奥がうねった。
「シェ! あ! あっ!! ⋯⋯ひっ!!」
「────ッ!!!」
一際強く突き上げられて、全身に快感が走る。自分の雄から透明な何かが噴き出す。
腹の中が熱いものでいっぱいに満たされ、体中が震えて力が抜けるのがわかった。
ぐったりした体が力強い腕の中に抱きしめられた時、自分が一瞬気を失っていたのを知った。
見上げれば、額に汗を浮かばせて息を荒げた美しい獣が、ぼくを睨んでいる。
「シェン? ⋯⋯なんで? おこってるの⋯⋯」
シェンは、不満げに少し口を尖らせて首を振った。
「⋯⋯こんな突然に⋯⋯、いかされたのなんて初めてだ⋯⋯」
小さな呟きに、ぼくは黙った。⋯⋯聞かなかったことにする。
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