7色Music

藤亮遠真

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たった2人で学園祭 Part1

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九重さ……じゃなかった。音葉と「7色Music」を組んだ次の日、学校にて音葉と俺は職員室に来ていた。

「あの…お願いがあるんですけど…」
と音葉が担任に切り出す。
「軽音楽部を作らせてください!」
そう。俺たちの部活を作りに来たのだ。昨日話し合って、バンドをやるなら部活としてやった方が早いという結論が出たので、早速放課後に先生に相談しに来たのだ。
「軽音楽部?あぁ、確かにうちにはないわね…」
うちの担任は偶然だが部活動の事務を担当しており、部設立するためにはこの人を通さなきゃならない。
「部員は何人なの?」
当然の疑問だ。
「俺と音葉の二人です。」
俺が答えた。
「えっ?呼び捨て?(小声)」
先生が呟いた。いやだって、そう呼べって言われたんだもん。今隣で赤面してる人に…
なんでこの人まで恥ずかしがってるの?確かに歌った後で性格が変わってたのかもしれないけどさ、あなたが言ったんですからね?
昨日素に戻った音葉が死ぬほど恥ずかしがってたので、呼び捨てを辞めようかと申し出たところ、そのままでいいと言ったのでそのままだったんだけど。
「ゴホン…2人か、なら同好会になってしまうな…」
先生が咳払いをして、そう言った。
同好会か…部員の人数のことは考えてなかったな。
「それでも大丈夫です!」
「ならまあ認可しよう。名前は軽音楽同好会でいいな?顧問は…とりあえず私がやろう。」
おっと?意外とトントン拍子で話が進んだぞ?
さすが綺麗だけどガサツなところが玉に瑕で彼氏のできたことがない、根は優しい鈴木先生だ!
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます。」
まあ何はともあれ、ミッション1クリアだ。


「良かったね♪同好会になっちゃったけど。」
「あぁ…そうだな。どうする?今日から練習していいそうだけど?」
「んー…、とりあえず掃除はしようと思って部屋の鍵はもらってきたから、準備が整ったら練習しようか。」
「そうだな。じゃあ俺は音楽準備室から使ってないドラム持っていくから。」
「大丈夫?1人で持ってこれる?」
そこが問題なんだ。部室としてもらった部屋は離れの校舎。そこの使われてない空き教室。
音楽準備室も部室も1階で階移動はないのが救いだが、それでも本校者と離れを5、6回往復しなければならない。ドラムのパーツを持って。
「まあ…頑張るわ。」
「うん♪頑張って。私は少し片付けておくから。」
「りょーかい」
よし、やるか。

~音楽準備室~
「あったあった。ん?これって」
そこにあったドラムはYAMAHAのHIPGIG…しかもカラーはメローイエロー。
「某軽音楽アニメの田井中さんのやつじゃないっすか。」
りっちゃん、俺の推し(作者の声)
「しかし、やっぱり普通に考えてキツイだろ…」
だが文句を言っている場合ではない。
「まずはバスドラムから…」

こうして6往復を果たし、俺はドラムとマット、椅子を運び終えた。まじ辛い。
「お疲れ様~♪」
音葉が労ってくる。
「まじもう無理……てか結構綺麗になったなここ。」
「えへん。頑張りました♪褒めてくれてもいいんだよ?」
そんな可愛いことを言いながら頭を突き出してくるので…
「はいはい、偉い偉い。」
そう言って頭を撫でてしまった。
「えへ♪」
まじ可愛い。てか最近音葉変わったな。クラスに居る時は普通なんだけど、こうしてバンド活動になると、ぐいぐい話しかけてくる。ほんとに音楽が好きなんだな。
「もう練習は出来そうだけど、どうする?」
「そうだね始めちゃおうかな。……あ」
突然何かに気づいたかのような声を上げる音葉
「ギターアンプ持ってきてない」
「何だって?マジかよ。」
あれもかなり重い。
「七音くん…お願いがあるんだけど…」
そう言うと音葉が上目遣いでこちらを見てきた
やめて!そんな顔されたら大体の男子は二つ返事でOKしてしまうだろ!
「分かったよ…持ってくるよ」
「ありがとう♪」
なんて卑怯な…

そんなやり取りを音葉と終えたあと、音楽準備室へ向かう途中に、ある人から話しかけられた。
「あ…お兄ちゃん!」
「お、心音ここねか。」
今話しかけてきたのは響音心音。
俺の双子の妹で、クラスメート。美人と評判で、クラスの男子からは音葉と同じくらい人気がある。なお、優等生であるため、先生にも気にいられていてよく頼み事を引き受けてる。部活には所属していない。
「また頼まれ事か?」
「うん♪このプリントを教室まで持っていくんだ。」
その両手を見ればかなりの量のプリントを持っている。
「半分持って行ってやるよ」
「え…ありがとう♪いつもの事だけど、やっぱり優しいね」
そりゃ、兄さんですもの。
「そんなことねえよ」
「そんなことあるよ。そうだお兄ちゃん。今日友達と帰るから一緒に帰れないんだ。ごめんね。」
「あぁその事なんだが、これからは多分一緒に帰れない。」
「え?どうして?」
「理由は言えないんだ、ごめんな。」
「最近、音葉ちゃんと仲良いのと関係あるの?」
「ごめん、それも言えないんだ。でももう少ししたらわかるから、それまで待っててくれないか?」
「どういうこと?それっていつ?」
「文化祭だ。文化祭になったら分かる。だからそれまでは詮索しないでくれ。」
「…………分かった」
しばらくの沈黙の後、なんとか了解してくれた。
「その代わり、うちに帰ったら毎日必ず私との時間も作って。私と話したり、遊んだりする時間を作って。」
「分かった。約束する。」
「ならよかった♪」
そう…何を隠そう心音は大のブラコンである。
もちろん七音は気づいていない。


「持ってきたぞ」
「あ、ありがとう♪遅かったね?」
「あぁ、途中で心音にあって手伝ってきたから」
「心音ちゃんまた先生の手伝いさせられてるんだ…」
音葉が呆れたように言った。
「断れないらしんだけど、家に帰ってから愚痴聞かさせるのは俺なんだよな…」
「あはは…まあ何はともあれ部室も完成したところだし、早速部活を始めようか。」
「あぁ、そうだな。とりあえず今日はミーティングみたいなのをやろうか」
「バンドっぽい♪」
音葉は余程バンドっぽいことがしたかったのかとてもテンションが高かった。
「まず、俺達の最初のステージは文化祭だ。」
「うん。」
「やっぱ、知名度を上げんのにも、メンバー集めんのにも、目立つことが1番だろう。」
「そうだね♪私たちの目標に近づく為にもそれが一番かもね。」
俺達の目標…音葉の口からは簡単にでたが、それはこの世では誰もなしえないんじゃないかと思ってしまうほど、遠く険しい目標だった。
【世界4大音楽賞制覇】
音楽界最大の誉れと呼ばれる4つの栄誉
(ロックの殿堂、グラミー賞、ビルボード、アメリカン・ミュージック・アワード)
これらを全て制覇するのが俺たちの目標。
そんなの無理だろって思うかもしれない。なんなら俺も思ったし、今も思ってる。でも音葉の目は本気だった。だから俺も乗ったんだ。でもいきなりそんなこと言って、すぐに目標に届くわけない。だからまずは、いちばん身近にある文化祭で暴れてやる。圧倒的なデビューしてやる。たった2人でスタートだけど、たった2人の文化祭だけど、どんなバンドよりもすごいデビューをしてやる。

こうして俺達の文化祭デビューライブへの道がスタートした。
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