30 / 66
30話 転生者狩り(3)
しおりを挟む
レンはくっと笑った。
「エロかったぜ、お前の誘惑。ちょっと妬けたわ、このおっさんに」
僕は顔を赤らめた。妬けた?
「な、何言ってんだよレンこそすごかった……」
「あと、まだ終わってねえ。もう『一匹』残っている。静かーに殺したつもりだが、流石に主人を殺されたら気づくか?」
寝そべっていたフェンリルが体を持ち上げていた。
グルルっと唸り声をあげ、僕らを睨みつけている。
フェンリルはその口をくわっと開き、僕らに襲い掛かろうと身を屈める。
レンがすっと手を掲げて言った。
「テイム・レベル4、『ザイ』」
レンの手のひらから緑色の光が放たれた。
緑の光を浴びて、フェンリルの表情が急に柔らかくなった。
そしてそのまま腰を落とし、おすわりの体勢になる。
僕はびっくりし、レンも自分で驚いたように口を丸めた。
「お、フェンリルに効いたよ、俺のおすわり魔法。レベル4なのに。やっぱ俺、才能あるかも」
「す、すごすぎるよレン!魔法なんて使えたの!?」
「うん、なんでか知らんが、使える。普通の転生者は使えねえんだが」
言いながらレンは僕の両手のロープをナイフで切ってくれた。
「こっちの角が生えてる長髪がフェンリルの主人なんだ?よく分かったね」
「ああ、有角人種は魔法に長けてるからな。フェンリルを手懐けるレベルの魔法持ってそうなのはこっちだろうと思った」
そしてレンはおすわりしているフェンリルに向き合って言った。
「じゃ殺すか」
「えっ!?かわいそうじゃない!?」
思わず言ってしまった僕の言葉に、レンが呆れ声を出す。
「何言ってんだ、俺たち転生者にとってこの世で最も厄介な存在だぜ、魔獣フェンリルは。この世界のフェンリル全てを抹殺したいくらいだ」
「あ、そ、そうだよね。ごめん家で犬飼ってたからつい……」
僕は悲しい気持ちで、フェンリルを見た。
体は大きい、ライオンくらいはあるんじゃないだろうか。
この大きさだけでも恐ろしいけど、目つきはそんなに怖くない。狼より犬っぽい気がした。
うう、なんて純粋な目なんだ。うちの柴犬のワン太を思い出してしまう!
と思ったら。
「くうう……ん」
と、レンを見つめて甘えるような声を出した。
うっ、とうろたえるレン。
「な、なんだその子犬みたいな声は、そんな声出すのかよフェンリルって」
僕は目が潤んでしまう。
「や、やっぱ無理だ!ワン太にしか見えない!」
「ワン太ってなんだよその安易な名前は……って、あ、あいつんちの犬の名前もワン太だったな……」
僕はどきりとした。え、まさか「ヨル」の犬の名前なんか覚えてくれてたの、レン?
フェンリルがのそりと起き上がり、レンに近づいた。でも攻撃する風じゃなくて、甘えるような感じで。
くんくんとレンの股間をかいだ。
「ちょっ、やめろって、おすわりっ」
動物に慣れない様子で腰がひけているレンの股間を、フェンリルがべろんと舐めた。
「うげっ!」
レンの顔が面白すぎて、僕は思わずふき出してしまう。
レンの股間をなめたフェンリルの目が、なぜだか急にとろんとした。
そして突然、くるりと腹をひっくり返して床に寝そべった。
その腹に、緑色に光る文様が浮かんで、数秒で消えた。
レンが息を飲んだ。
僕はなんだか分からなくて、目をぱちくりさせる。
「な、なに、今の光の模様みたいなの」
「魔獣が人間に服従したときに出るやつだ……」
「えっと、つまり?」
レンが参った、という風に額をおさえた。
「俺、こいつの飼い主になっちまった……」
「ええー!?」
「エロかったぜ、お前の誘惑。ちょっと妬けたわ、このおっさんに」
僕は顔を赤らめた。妬けた?
「な、何言ってんだよレンこそすごかった……」
「あと、まだ終わってねえ。もう『一匹』残っている。静かーに殺したつもりだが、流石に主人を殺されたら気づくか?」
寝そべっていたフェンリルが体を持ち上げていた。
グルルっと唸り声をあげ、僕らを睨みつけている。
フェンリルはその口をくわっと開き、僕らに襲い掛かろうと身を屈める。
レンがすっと手を掲げて言った。
「テイム・レベル4、『ザイ』」
レンの手のひらから緑色の光が放たれた。
緑の光を浴びて、フェンリルの表情が急に柔らかくなった。
そしてそのまま腰を落とし、おすわりの体勢になる。
僕はびっくりし、レンも自分で驚いたように口を丸めた。
「お、フェンリルに効いたよ、俺のおすわり魔法。レベル4なのに。やっぱ俺、才能あるかも」
「す、すごすぎるよレン!魔法なんて使えたの!?」
「うん、なんでか知らんが、使える。普通の転生者は使えねえんだが」
言いながらレンは僕の両手のロープをナイフで切ってくれた。
「こっちの角が生えてる長髪がフェンリルの主人なんだ?よく分かったね」
「ああ、有角人種は魔法に長けてるからな。フェンリルを手懐けるレベルの魔法持ってそうなのはこっちだろうと思った」
そしてレンはおすわりしているフェンリルに向き合って言った。
「じゃ殺すか」
「えっ!?かわいそうじゃない!?」
思わず言ってしまった僕の言葉に、レンが呆れ声を出す。
「何言ってんだ、俺たち転生者にとってこの世で最も厄介な存在だぜ、魔獣フェンリルは。この世界のフェンリル全てを抹殺したいくらいだ」
「あ、そ、そうだよね。ごめん家で犬飼ってたからつい……」
僕は悲しい気持ちで、フェンリルを見た。
体は大きい、ライオンくらいはあるんじゃないだろうか。
この大きさだけでも恐ろしいけど、目つきはそんなに怖くない。狼より犬っぽい気がした。
うう、なんて純粋な目なんだ。うちの柴犬のワン太を思い出してしまう!
と思ったら。
「くうう……ん」
と、レンを見つめて甘えるような声を出した。
うっ、とうろたえるレン。
「な、なんだその子犬みたいな声は、そんな声出すのかよフェンリルって」
僕は目が潤んでしまう。
「や、やっぱ無理だ!ワン太にしか見えない!」
「ワン太ってなんだよその安易な名前は……って、あ、あいつんちの犬の名前もワン太だったな……」
僕はどきりとした。え、まさか「ヨル」の犬の名前なんか覚えてくれてたの、レン?
フェンリルがのそりと起き上がり、レンに近づいた。でも攻撃する風じゃなくて、甘えるような感じで。
くんくんとレンの股間をかいだ。
「ちょっ、やめろって、おすわりっ」
動物に慣れない様子で腰がひけているレンの股間を、フェンリルがべろんと舐めた。
「うげっ!」
レンの顔が面白すぎて、僕は思わずふき出してしまう。
レンの股間をなめたフェンリルの目が、なぜだか急にとろんとした。
そして突然、くるりと腹をひっくり返して床に寝そべった。
その腹に、緑色に光る文様が浮かんで、数秒で消えた。
レンが息を飲んだ。
僕はなんだか分からなくて、目をぱちくりさせる。
「な、なに、今の光の模様みたいなの」
「魔獣が人間に服従したときに出るやつだ……」
「えっと、つまり?」
レンが参った、という風に額をおさえた。
「俺、こいつの飼い主になっちまった……」
「ええー!?」
18
あなたにおすすめの小説
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと
mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36)
低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。
諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。
冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。
その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。
語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。
みにくい凶王は帝王の鳥籠【ハレム】で溺愛される
志麻友紀
BL
帝国の美しい銀獅子と呼ばれる若き帝王×呪いにより醜く生まれた不死の凶王。
帝国の属国であったウラキュアの凶王ラドゥが叛逆の罪によって、帝国に囚われた。帝都を引き回され、その包帯で顔をおおわれた醜い姿に人々は血濡れの不死の凶王と顔をしかめるのだった。
だが、宮殿の奥の地下牢に幽閉されるはずだった身は、帝国に伝わる呪われたドマの鏡によって、なぜか美姫と見まごうばかりの美しい姿にされ、そのうえハレムにて若き帝王アジーズの唯一の寵愛を受けることになる。
なぜアジーズがこんなことをするのかわからず混乱するラドゥだったが、ときおり見る過去の夢に忘れているなにかがあることに気づく。
そして陰謀うずくまくハレムでは前母后サフィエの魔の手がラドゥへと迫り……。
かな~り殺伐としてますが、主人公達は幸せになりますのでご安心ください。絶対ハッピーエンドです。
辺境の酒場で育った少年が、美貌の伯爵にとろけるほど愛されるまで
月ノ江リオ
BL
◆ウィリアム邸でのひだまり家族な子育て編 始動。不器用な父と、懐いた子どもと愛される十五歳の青年と……な第二部追加◆断章は残酷描写があるので、ご注意ください◆
辺境の酒場で育った十三歳の少年ノアは、八歳年上の若き伯爵ユリウスに見初められ肌を重ねる。
けれど、それは一時の戯れに過ぎなかった。
孤独を抱えた伯爵は女性関係において奔放でありながら、幼い息子を育てる父でもあった。
年齢差、身分差、そして心の距離。
不安定だった二人の関係は年月を経て、やがて蜜月へと移り変わり、交差していく想いは複雑な運命の糸をも巻き込んでいく。
狼領主は俺を抱いて眠りたい
明樹
BL
王都から遠く離れた辺境の地に、狼様と呼ばれる城主がいた。狼のように鋭い目つきの怖い顔で、他人が近寄ろう者なら威嚇する怖い人なのだそうだ。実際、街に買い物に来る城に仕える騎士や使用人達が「とても厳しく怖い方だ」とよく話している。そんな城主といろんな場所で出会い、ついには、なぜか城へ連れていかれる主人公のリオ。リオは一人で旅をしているのだが、それには複雑な理由があるようで…。
素敵な表紙は前作に引き続き、えか様に描いて頂いております。
【完結】スパダリを目指していたらスパダリに食われた話
紫蘇
BL
給湯室で女の子が話していた。
理想の彼氏はスパダリよ!
スパダリ、というやつになったらモテるらしいと分かった俺、安田陽向(ヒナタ)は、スパダリになるべく会社でも有名なスパダリ…長船政景(マサカゲ)課長に弟子入りするのであった。
受:安田陽向
天性の人たらしで、誰からも好かれる人間。
社会人になってからは友人と遊ぶことも減り、独り身の寂しさを噛み締めている。
社内システム開発課という変人どもの集まりの中で唯一まともに一般人と会話できる貴重な存在。
ただ、孤独を脱したいからスパダリになろうという思考はやはり変人のそれである。
攻:長船政景
35歳、大人の雰囲気を漂わせる男前。
いわゆるスパダリ、中身は拗らせ変態。
妹の美咲がモデルをしており、交友関係にキラキラしたものが垣間見える。
サブキャラ
長船美咲:27歳、長船政景の年の離れた妹。
抜群のスタイルを生かし、ランウェイで長らく活躍しているモデル。
兄の恋を応援するつもりがまさかこんなことになるとは。
高田寿也:28歳、美咲の彼氏。
そろそろ美咲と結婚したいなと思っているが、義理の兄がコレになるのかと思うと悩ましい。
義理の兄の恋愛事情に巻き込まれ、事件にだけはならないでくれと祈る日々が始まる…。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
異世界ぼっち暮らし(神様と一緒!!)
藤雪たすく
BL
愛してくれない家族から旅立ち、希望に満ちた一人暮らしが始まるはずが……異世界で一人暮らしが始まった!?
手違いで人の命を巻き込む神様なんて信じません!!俺が信じる神様はこの世にただ一人……俺の推しは神様です!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる