勝手に魔王と呼ばれて困ってます。/【旧題】俺的魔王の楽しみ方。

きつねころり

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第4話

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「おい!くそ!ショウ!先を急ぐぞ!」

 大盾君は、勇者君を呼び捨てにして、先に進む様に急かす。

「そうだね、此処に居ても仕方ない。メグ、援護は頼んだよ」

 勇者君は、魔法使いちゃんの手をそっと解き、通路を進み始めた。

「……ん、そうだよね……。私、頑張るからっ」

 勇者君の後を追いながら、魔法使いちゃんは勇者君の背中に向けてそう言った。

「ったく、ショウもメグにしておけばいいじゃねーか。そしたら俺はさおりと……、あ、おい!置いて行くなよ!」

 大盾君は自分の黒い気持ちを少しだけ吐き出し、勇者君の後を追った。



☆☆☆☆☆



「魔王様、勇者パーティーの一人を連れてきました」

 リルリーが転移を使って俺の、前に現れる。僧侶ちゃんを連れて。

 因みに俺の【モニター】は他人には見えない。これね、すごく便利。とはいえ、何もない中空に意識を向けているとバレてしまいそうだから、今は消しておこう。

「ご苦労。それで、名前は?」

 俺は僧侶ちゃんの名前を聞き出す素振りをした。だった、もう知ってるし。

「……」

 僧侶ちゃんは項垂れたまま、何も答えない。まだ【恐怖】の効果が残っているのだろう。それに、仲間が見ている前で粗相をしてしまったのだ。放心状態でも仕方ないか。

 とはいえ、

「女、聞こえているな?答えぬなら、それ相応の拷問を受けて貰うが。勿論、仲間の見ている前でな」

 キャー!鬼畜!自分で言って何だけど、マジ最低だな!

 僧侶ちゃんは身体をビクッっとさせ、恐る恐る顔を上げ俺を見た。

「……さおり……です……」

 うん、ちゃんと人の目を見て名乗れるのは良い事だよ。

 そんなさおりちゃんの目には、涙が溜まっている。

 もうね、この泣くのを堪えてる女の子の表情とか、ほんとすk……。こほん。

「うむ。で、さおり。お前は何故この城に侵入してきたのだ?」

 さおりちゃんはキョトンとした表情で固まっている。

「ん?質問の意図が伝わらないか……。あー、そうだな。お前達の目的は何かと聞いている」

 その質問の意図を理解したのかは分からないが、さおりちゃんの身体が強張った様に見えた。

「そ……それは……」

「まぁ、想像は出来るがな。ほら、本人の口から聞いておかないと後々困るだろう?大丈夫だ。その返答でお前に危害を加えるつもりはない」

 そんな事言われても、まさか「魔王を討伐しに来ました!」なんて言えないよなぁ。

「……魔王が……悪い人だと聞いて……その、やっつけに……ごめんなさい!殺さないで!!」

 言い終わらない内に、さおりちゃんは取り乱してしまった。

 泣きながら後ずさり、俺から距離をとろうとしている。

 それをリルリーに抑えられ、絶望した表情で涙を流している。

「待って――、まだ何もしてないよ――……」なんて俺の心の声が届くはずも無く、さおりちゃんはイヤイヤをする様に顔を左右に振っている。

 そんなさおりちゃんも、非常にそそr……こほん。

「はぁ……。まぁそうなるよな。サザンスター、居るか」

 俺がそう呟くと、

「はい、ここに」

 俺の横に、猫耳少女が現れた。

 この少女は、サザンスター(本名:星 りえ)という名前の猫耳パワフル少女だ。因みに茅ケ崎とかその辺りの有名ロックバンドの大ファンらしい。いや、知らんけど。

 確か、今年で26歳?

「さおりちゃんを「さおりちゃん?」――あ、この女の服をとりあえずひん剥いて、綺麗にして此処へ連れてこい」

 この猫耳、外からの女の子に対して嫉妬心が強いから怖いんだよ。でもまぁ、面倒見が良いから、そこは素直に評価できるんだけど。

「分かりました。ビリビリに引き裂いてやります」

 悪戯っぽく笑いながら言う猫耳少女に、これから何をされるのか悪い方に想像してしまったさおりちゃんは、またしても恐怖で固まってしまった。

 顔の色が青白くなってる。

「では、行くとするのにゃ」

 リルリーに変わりさおりの腕を掴んだサザンスターは、そのまま転移して消えた。
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