勝手に魔王と呼ばれて困ってます。/【旧題】俺的魔王の楽しみ方。

きつねころり

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第17話

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 話を軽く聞いた後は、もうアキラの食いっぷりがやばかった。

 まぁ、それも、他の面々が「これも美味いぞ」とか「ほら、食べな」とか言って、どんどんアキラに勧めたってのもあるんだけど。

 なんか、言うなれば親戚の叔母さん……いや、近所のお姉さん達みたいだった。

 何となくだが、皆が最初にアキラに対して抱いてた人物像の認識を改めた感じだった。
 いや、まぁ、15歳だしねぇ。


 僧侶ちゃんは、何だか複雑そうな顔をしてたけど……道中、年齢の話とかしなかったの??

 まぁいいか。


 何だかんだ言って、俺の城に来たんだ。これから上手くやってくれたらそれでいいか。

『イース、どうやらお客さんみたいよ』

 何となく食事風景を見ている時に、リルリーから念話が届いた。

 リルリーは気にもしていない風で、食事を続けている。

 という事は、危険度は低い。という事だろう。

『了解した。俺が見て来る、ここは頼んだ』

 リルリーにそう伝え、俺は一旦定位置・・・に行く事にする。

『お客さんの様だ、とりあえず何かあれば呼ぶからアキラとさおりちゃんを頼む』

 そうリルリー、マチルダ、サザンスターに纏めて念話を送った。

『分かったわ』『了解』『さおりちゃん?』

 と、快く返事をいただいたので、転移でこの場を後にする。

 まぁ、俺が居なくてももう・・大丈夫だろうしね。



 
 謁見の間に転移し、椅子に座る。

 とりあえず【モニター】を起動し、状況を確認する。

「ん?何処だ?」

 画面を切り替えるが、お客様・・・の姿をとらえられない。

「帰った?……いや、それはないか」

 そんな考えを巡らせている時に気付いたのだが……。

「あ――、罠とか何も仕掛けてないぞ」

 そう、勇者君達が来てからそんなに日数も経っていないので、次は暫く無いだろうと踏んで、全て解除してある。昔のRPGに出て来る最初の城位にシンプル設計。

 つまり、今のこの迷宮城(仮)は、只の博物館っぽい城状態って事なんだ。

 その証拠に、謁見の間の入り口に駆け足で来たのであろう人物が肩で息をしながら立っていた。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 膝に手を乗せ、少し前屈みになっている。

 侵入を確認してから。そんなに時間経ってないと思うんだけど……まぁ、殆ど直線だからなぁ。
 
 この侵入者お客さんが単独で、しかも手ぶらのラフな格好だったからそこまで警戒はしてないんだけど……もしかしてこいつも勇者的な?

「あんたが……魔王?」

 中性的な声のお客さんはどうやら魔王を捜しているご様子。

「もし、俺が魔王だったらどうするんだ?」

 その言葉にお客さんは顔を上げ、俺の方を睨んでいる様だった。

「そんな恰好で魔王とか言われても信じられないのだけど」

 言われて気付いたけど、俺、着替えるの忘れてたわ。

 まじかー。普段着みたいな格好だよ。もうね、威厳も何もありゃしないの。

「……だろうな」

 いやー、俺がお客さんの立場でもそう思うよ。
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