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第2章 【異世界召喚】冒険者
第83話 脅威との遭遇。
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サリーはソレを見て、ほんの数秒硬直してしまった。
無数の光る物が、煙幕の向こう側に見えたのだ。
そう、それは間違い無く魔物の目。
星の僅かな光を反射し、それ以上に禍々しい光を帯びた無数の目。
それが確かにこちらに近付いて来ているのだ。
そして完全に先程の煙幕が消えた瞬間。
バガーーン!
激しい衝突音と共に身を隠していた木の上辺りに何かが激突した。
その音に反射的に身を屈めたサリーは、パラパラと降り注ぐ木片を浴びながら咄嗟に煙幕を投げつけた。
慌てていた為、そこまで遠くには投げられなかったものの、時間稼ぎは出来るだろう。そう判断し、ここでやっと撤退行動を開始するのだった。
流石に木片と共に振り注ぐ生き物の骨の破片に気付く事は無かっただろう。
痛む左肩をだらりと下げ、必死に反対方向へと疾走する。
「煙幕が消えた瞬間にあの正確な攻撃って……一体何なのよ。それに、あの数。10や20じゃない!」
頭の中で誰に言うでもなく呟き、焦る感情を押し殺す様に務めて冷静を装う。
「しかもあの精度。あれがオーガだとしたら、脅威以外の何物でもないじゃない!」
最早悲鳴にも似た感情だが、それでも第一に撤退する事を意識し、時折後ろを確認しながら煙幕の方を見る。
まだ煙幕を越えて来ていない。
あの時、2人を先に行かせて正解だったのだろうか。そんな疑問を抱く。
だが、ここで2人が居た所でオーガ達と戦う事は絶対にあり得ない。
良くて煙幕を3人で交互に投げながら撤退していた位か。
そんな考えを抱いてしまうのは、心細さからくるのだが……今のサリーにそんな余力はない。
だが、煙幕は随分と後方に遠ざかった。あの無数の目もここからは視認出来ない。安心はできないが、距離は離せたはずだ。
そんな時、前方に腰の高さ位の岩が見え、そこで少し、ほんの少しだけ足を止める事にした。
何故なら、肩の出血もあり、体力が持たない。そう判断したからだ。
滑り込む様に岩陰に隠れ、片膝をついて息を整える。左肩の感覚が無い。血を流し過ぎたのかも知れない……。
「どれ位かな……。城まで……帰れるといいなぁ……」
普段の体力ならば、何の問題も無く帰還する事は出来るだろうが。正直、目が霞んで力が入らない気がしていた。
オーガが全速力で走って来ない限り、サリーには絶対に追いつけないハズだ。
しかし、サリーは例え様の無い不安に襲われていた。
そう、あの精密射撃の様な攻撃だ。
あれが無ければ、もう少し心に余裕があったかも知れない。
無数の光る物が、煙幕の向こう側に見えたのだ。
そう、それは間違い無く魔物の目。
星の僅かな光を反射し、それ以上に禍々しい光を帯びた無数の目。
それが確かにこちらに近付いて来ているのだ。
そして完全に先程の煙幕が消えた瞬間。
バガーーン!
激しい衝突音と共に身を隠していた木の上辺りに何かが激突した。
その音に反射的に身を屈めたサリーは、パラパラと降り注ぐ木片を浴びながら咄嗟に煙幕を投げつけた。
慌てていた為、そこまで遠くには投げられなかったものの、時間稼ぎは出来るだろう。そう判断し、ここでやっと撤退行動を開始するのだった。
流石に木片と共に振り注ぐ生き物の骨の破片に気付く事は無かっただろう。
痛む左肩をだらりと下げ、必死に反対方向へと疾走する。
「煙幕が消えた瞬間にあの正確な攻撃って……一体何なのよ。それに、あの数。10や20じゃない!」
頭の中で誰に言うでもなく呟き、焦る感情を押し殺す様に務めて冷静を装う。
「しかもあの精度。あれがオーガだとしたら、脅威以外の何物でもないじゃない!」
最早悲鳴にも似た感情だが、それでも第一に撤退する事を意識し、時折後ろを確認しながら煙幕の方を見る。
まだ煙幕を越えて来ていない。
あの時、2人を先に行かせて正解だったのだろうか。そんな疑問を抱く。
だが、ここで2人が居た所でオーガ達と戦う事は絶対にあり得ない。
良くて煙幕を3人で交互に投げながら撤退していた位か。
そんな考えを抱いてしまうのは、心細さからくるのだが……今のサリーにそんな余力はない。
だが、煙幕は随分と後方に遠ざかった。あの無数の目もここからは視認出来ない。安心はできないが、距離は離せたはずだ。
そんな時、前方に腰の高さ位の岩が見え、そこで少し、ほんの少しだけ足を止める事にした。
何故なら、肩の出血もあり、体力が持たない。そう判断したからだ。
滑り込む様に岩陰に隠れ、片膝をついて息を整える。左肩の感覚が無い。血を流し過ぎたのかも知れない……。
「どれ位かな……。城まで……帰れるといいなぁ……」
普段の体力ならば、何の問題も無く帰還する事は出来るだろうが。正直、目が霞んで力が入らない気がしていた。
オーガが全速力で走って来ない限り、サリーには絶対に追いつけないハズだ。
しかし、サリーは例え様の無い不安に襲われていた。
そう、あの精密射撃の様な攻撃だ。
あれが無ければ、もう少し心に余裕があったかも知れない。
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