11 / 18
第11話
しおりを挟む「みんな確認できたみたいだから、今から部屋に移動して荷物置きに行くぞー。ついてこいよー」
加藤先生の声が聞こえて意識がそっちに戻る。
私たちは一旦考えるのをやめて、荷物を持ちに向かった。
「……加藤先生に、聞いてみる?」
小さな声で聞いてくる早絵に、私は頷いた。
「そう、だね。聞いてみよ」
少し離れたところで立っていた加藤先生を見つけ、周りにまだクラスメートがいないことを確認してから近寄る。
「……先生、少しいいですか」
そう言う私に目を向けると、どうした?と聞かれたので、話し始める。
「さっき自分たちの部屋の番号を確認したんですけど、私たち404って書いてあって……」
そう言った瞬間、加藤先生の顔が一瞬驚きに染まった。
「何だって?そんなはずは……少し待ってろ。もし他に奴らがきたらここで静かに待機してるように伝えてくれ」
早口で捲し立てるように言った後、足早に角谷先生の方に向かう先生の後ろ姿を、私たちは少し驚きながら見送る。
「……もしかして、何かの手違いだった、とか?」
そう言う私に、早絵は少し首を傾げながら答える。
「そうかも知れないけど、何で先生、あんなに焦ってたんだろう」
私たちたちが揃って首を傾げていると、クラスメートが次々と集まってくる。
みんなにここで待機だってと伝えていると、亮太たちと、少し遅れて私と早絵の荷物も持ってきてくれた美咲と玲奈の姿が目に入る。
慌てて2人に駆け寄り、ありがとうと伝えると、玲奈は笑っていいよと言ってくれたが、美咲が少し頬を膨らませた。
「私、普通に凛たちいると思って話しかけちゃって恥ずかしかった!どっか行くならそう言ってよ!」
そう言って少し強めに私に荷物を渡してくれた美咲に、ごめんね、荷物ありがとうと伝えると、いいよ!と少し怒りながら返してくれた。
「なんか、加藤センセーと話してたよね。何話してたの?」
玲奈の言葉に、私と早絵は少し首を傾げながらさっきのことを話そうとした。
「大城さん」
私の名前を呼ぶ声が聞こえてそちらに視線を向けると、角谷先生が立っていて、その後ろに眉間に皺を寄せて少し不機嫌そうな加藤先生がいた。
「加藤先生に聞きました。あなた達の部屋番号は404で間違いはないです。変更することもできません。……他の組はもう移動を始めています。あなた達も早く移動するように」
少し様子のおかしい角谷先生に唖然としていると、加藤先生が大きめのため息をついて私たち4人を少し離れたところに連れて行く。
「……ごめんな。なんかよく分からんがそうらしい。4の部屋は使わないと言い出したのは、あの人なんだけどな……。今のは失言だった、忘れてくれ」
それだけを言い、私たちから離れていく加藤先生に、今度こそ私たちは言葉を失った。
「え、ほんとにどーゆーことなの?」
美咲が言うと、玲奈も同意する。
「私も何が何だか。先生達の様子もいつもと違ったし……2人は何を聞いたの?」
そう言う玲奈に、私と早絵はまた顔を見合わせて頷く。
「……もう移動するみたいだし、部屋に着いたら話す」
そう言って歩き出す私たちに、2人は曖昧に頷きながら着いてきた。
この施設のつくりは、少し変だった。
長い一本の廊下に、全ての部屋が横並びで配置されていた。
そして部屋の向かい側には、1枚1枚が大きな窓がびっしりとはめられていて、そこから見える景色は、全てが緑。
森の中なのか、不気味な雰囲気が漂っていた。
「ここから左に進んだ方が男子、右が女子です。それぞれドアの上に番号が貼ってあるので、それを確認してください」
少し遠くから角谷先生の声が聞こえる。
前にいる生徒から順に、男女で分かれて進んでいる様子が見えた。
私たちの番になり、右に進もうとすると角谷先生と目が合う。
先生の唇が動いた。
「え……」
立ち止まるには、みんなが流れに合わせて動く中では邪魔すぎる。
進みながら、もう一度先生の方に顔を向けるが、もうこちらを見てはいなかった。
しばらく歩くと、『404』を見つけた。
「ここ、だね」
そう言って早絵が扉に手をかける。
ドアを開けると、6畳ぐらいの部屋に1つの二段ベットが左の壁にそうように置かれ、正面には一面に大きな窓。
その下に2組の布団が置かれていた。
「ベットが2つに、布団が2つか。じゃんけんする?」
そういう美咲に、私は布団でいいと伝えると、早絵も私に同意した。
「私は家でも布団だから、布団がいい」
早絵の言葉に玲奈が頷き、しかし首を傾げた。
「早絵はわかるけど、凛はいいの?家でベットでしょ?」
そう聞いてくる玲奈に、私は苦笑いを返す。
「私、環境が変わるとあんまり寝れないから。ゴソゴソすると起こしちゃうかも知れないし」
私の言葉に、そう言うことならと2人は納得した。
さっきの続きを話そうとして、そういえばと思い出す。
角谷先生の唇の動き。
――あれは
「さっきの……」
私が話し始めようとした時
コンコン
部屋にノック音が響いた。
「さっきの部屋に集合だってー」
鈴菜の声が聞こえる。
私たちに緊張が走る。
昨日の夜の光景が頭をよぎる。
――亮太の声を使う何か
早絵が時間を確認して、私たちに声をかける。
「……確かに、その時間ではある、ね」
その言葉に私たちの間にあった緊張は消え、ホッと胸を撫で下ろす。
「でも、一応もう少し後で行こう」
そう言う私の言葉に、3人は頷いた。
――ずっとタイミングが悪いのは、偶然……?
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる