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絵本と手紙
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『昔、昔。国民が仲良く暮らす平和な国がありました。
その国には優しく物静かな姫と勇ましくかっこいい王子がいました。
姫と王子には強い騎士の友達しかいませんでした。
けれど三人は仲良しで、とても幸せでした。
でもそんなある日ー』
「あぁ、この絵本。ここから破れちゃって続きはもうないんだっけ…」
そう言ってベッドに座り本を閉じる、長い金髪を一つに束ねた彼女の名前はリリィ。
この国、クロスウェードの姫だ。
「たしか王子が旅にでて三人一緒にいられなくなって、それで…なんだっけ?」
幼き日に読んだ続きを思い出そうと頑張る。
けれどどうしても続きが思い出せなかった。
けれどできるならハッピーエンドであってほしい。
なぜなら
「でも本当…今の私達とそっくり」
そうすれば似た境遇のリリィ達も救われる気がするからだ。
コンコン
「リリィ様、失礼します」
リリィの部屋に入ってきたのは女騎士。
赤い髪を肩先で揃えたカミアだ。
「カミア。あの人は…」
「…アスラ様はまだ戻っておりません」
アスラとはリリィの許婚で、銀髪に青い目をしている。
今は家臣と旅をしている。
「そうよね…ねぇ、カミア。」
「なんでしょう?」
「また前みたいに三人でお話できるよね?」
少しの沈黙のあとカミアは口を開く。
「前のようにはいきません。何もかも変わったのですよ?立場も進むべき道も」
「そう、よね…」
悲しそうに頷きリリィは俯く。
カミアは冷たく言ったことを後悔し
「ですがまた三人で話せたら…楽しいでしょうね」
と付け加える。
「ええ、そうね!」
リリィはパッと笑顔になる。
可愛らしく愛おしい笑顔。
それを大事そうにみつめたあとカミアは
「それではまだ仕事がありますので。失礼します」
と告げて部屋をでていった。
カミアが出ていき一人になった部屋でリリィは、絵本を大事そうに抱えて仰向けにベッドに横になる。
しばらく絵本の続きについて考えたがやっぱり浮かばなかったのでアスラを想うことにした。
「きっと、無事よね?帰って、くるよね…?」
嫌な想像ばかりが浮かぶ。
それを頭を振って払う。
「私が信じないでどうするの…そうだ!」
バッと起き上がると絵本を置いて机に向かう。
机の上にペンと紙を置いて椅子に座る。
『アスラ様に手紙を書かれてはどうですか?』
ある時執事に言われた言葉。
ずっと、何度も書こうとしていた。
ペンを握る手が震える。
今回アスラが行っている旅は、船で遠く離れた陸地を探索し、人がいれば助け帰る。そういうものだった。
けれど危険が伴う上にいつまでかかるかわからない。
無事手紙が届けられるのかも。
それどころか、アスラが無事かどうかさえ…
だからリリィは怖かった。
もし返事がこなかったら?代わりに届く報せが悪いものだったら?
それがとても怖かった。
「駄目だ…」
ペンを置き、溜息をつくともう一度ベッドに横になる。
「やっぱり待つしかできないよ…私には」
枕をぎゅっと抱きしめ顔を埋めた。
その声は、震えていた。
その国には優しく物静かな姫と勇ましくかっこいい王子がいました。
姫と王子には強い騎士の友達しかいませんでした。
けれど三人は仲良しで、とても幸せでした。
でもそんなある日ー』
「あぁ、この絵本。ここから破れちゃって続きはもうないんだっけ…」
そう言ってベッドに座り本を閉じる、長い金髪を一つに束ねた彼女の名前はリリィ。
この国、クロスウェードの姫だ。
「たしか王子が旅にでて三人一緒にいられなくなって、それで…なんだっけ?」
幼き日に読んだ続きを思い出そうと頑張る。
けれどどうしても続きが思い出せなかった。
けれどできるならハッピーエンドであってほしい。
なぜなら
「でも本当…今の私達とそっくり」
そうすれば似た境遇のリリィ達も救われる気がするからだ。
コンコン
「リリィ様、失礼します」
リリィの部屋に入ってきたのは女騎士。
赤い髪を肩先で揃えたカミアだ。
「カミア。あの人は…」
「…アスラ様はまだ戻っておりません」
アスラとはリリィの許婚で、銀髪に青い目をしている。
今は家臣と旅をしている。
「そうよね…ねぇ、カミア。」
「なんでしょう?」
「また前みたいに三人でお話できるよね?」
少しの沈黙のあとカミアは口を開く。
「前のようにはいきません。何もかも変わったのですよ?立場も進むべき道も」
「そう、よね…」
悲しそうに頷きリリィは俯く。
カミアは冷たく言ったことを後悔し
「ですがまた三人で話せたら…楽しいでしょうね」
と付け加える。
「ええ、そうね!」
リリィはパッと笑顔になる。
可愛らしく愛おしい笑顔。
それを大事そうにみつめたあとカミアは
「それではまだ仕事がありますので。失礼します」
と告げて部屋をでていった。
カミアが出ていき一人になった部屋でリリィは、絵本を大事そうに抱えて仰向けにベッドに横になる。
しばらく絵本の続きについて考えたがやっぱり浮かばなかったのでアスラを想うことにした。
「きっと、無事よね?帰って、くるよね…?」
嫌な想像ばかりが浮かぶ。
それを頭を振って払う。
「私が信じないでどうするの…そうだ!」
バッと起き上がると絵本を置いて机に向かう。
机の上にペンと紙を置いて椅子に座る。
『アスラ様に手紙を書かれてはどうですか?』
ある時執事に言われた言葉。
ずっと、何度も書こうとしていた。
ペンを握る手が震える。
今回アスラが行っている旅は、船で遠く離れた陸地を探索し、人がいれば助け帰る。そういうものだった。
けれど危険が伴う上にいつまでかかるかわからない。
無事手紙が届けられるのかも。
それどころか、アスラが無事かどうかさえ…
だからリリィは怖かった。
もし返事がこなかったら?代わりに届く報せが悪いものだったら?
それがとても怖かった。
「駄目だ…」
ペンを置き、溜息をつくともう一度ベッドに横になる。
「やっぱり待つしかできないよ…私には」
枕をぎゅっと抱きしめ顔を埋めた。
その声は、震えていた。
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